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第1118話 新領地持ちと新研究所長。(何もかもが足らない。)

バビントンとアルダーソンは普通の酒場で普通の食事をしている。

周りの席は・・・まぁいつの間にか騎士団員達が居たりする。


「・・・領地運営はどうだ?」

「どうもこうも・・・足らない事ばかりですよ。

 人・物・金・時間。全てが足らないですね。

 研究所の試験小隊の方々も実務とは違う事をさせてすみませんね。」

「問題はないし、そこはしょうがないだろう。

 集まったのは500名にも満たない・・・兵士も足らないんだ。

 各町と村の巡回程度なら名目として訓練と地理把握の一環だと言ってある。

 まぁ・・・同情はするさ。

 一文官が一夜にして領地持ち。すぐに領地は宛がわれて放り込まれるんだからな。」

「・・・ウィリアム殿下達は1年の猶予があって羨ましい限りではありますが・・・

 それは殿下達だからでしょうね。」

「否定は出来ないな。

 それに殿下達はその土地に根差した文官を用意は出来ないだろう。

 出来たとしても現状居る王都から派遣されている文官達ぐらいか。

 人材面で言えば局長達は頭は良いんだろうが・・・実働出来る者達が居ないな。」

「ええ。そういった面では私はまだ恵まれていますかね。

 ニール殿下の所とアシュトン子爵家から文官の人員の補充もされていますし、試験小隊の人員の伝手のおかげで魔王国方面の貴族領と王都以外の貴族領から兵士を集められましたからね。」

「恵まれているのか?

 軋轢になっているとしか見えないが・・・」

「あれはあれで十分ですよ。

 文官達は隣接している領地から入れることによって物資は融通されますし、各兵士を入れて巡回や町を取りまとめる事によってどこの貴族にも(・・・・・・・)属さない村と町(・・・・・・・)が出来ますからね。

 お互いへの牽制と検証は必須です。」

「・・・兵士同士で殴り合っていたと報告は受けているんだが・・・」

「その辺は息抜きでしょう?

 あってしかるべき事で想定内ですよ。」

バビントンはそう居ながら淡々と夕食を取っている。

「・・・まぁ・・・俺が言うのも何だが・・・クリフ殿下がお前を推薦した理由がわかるよ。

 上手く熟している。

 文官での働きも凄かったのだろうというのは今の判断力を見れば伺えるな。」

「そうですか?普通に判断しているだけなんですけどね。

 私は貴方がニール殿下に推薦された理由が良くわかります。貴方は人心掌握が得意なようですね。

 兵士達や騎士団が貴方の命令には拒否をしませんし。

 そう言えばうちの騎士団長に聞きましたが、王都の御前競技会に出場なさったのでしょう?」

「昔の話だ。最終的に勝てはしなかったがな。」

「上位に食い込んだと聞いていますが。」

「・・・上位との差は努力が足らなかったと言っておこう。

 だが、今も地方の騎士団からの出場での最高位らしいがな。」

「それだけでも十分でしょう。

 その名声は今でも兵士達に轟いているのは良い事です。」

「いつまでそんな肩書が通用するようなのも問題なんだが・・・

 後進の者達が腑抜けなのか、俺が優秀なのかわからんな。」

「少なくとも私も貴方も一定以上に優秀なのは確かです。

 それに私達の同期は優秀な者達ばかりですよ。

 王都の新貴族達・・・過去の書類を見ると名前が出て来る者達ですからね。

 一番新しいのはキタミザト殿でしょうけども。」

「・・・戦闘報告書か・・・

 実際に会ってみると成し遂げた者とは思えない程、穏和だったな。」

「でしょうね。だからこそ貴族となれたのでしょう。

 それに王都から今朝報告が来たのですけどね。」

バビントンが書類を懐からだしてアルダーソンの前に置く。

「・・・あぁ。今朝来たな。

 バビントン殿。これをどう見る?」

アルダーソンが書類をバビルトンに押し返す。

「ふむ・・・キタミザト殿がウィリプ連合国で見聞きし、行動した生きた情報でしょう。

 アルダーソン殿にも通達されたという事は王都は動きますか。」

バビントンが懐に書類をしまう。

「元々そういう話だったがな。

 ・・・バビントン殿。間に合うか?」

「5年後・・・いや。準備期間が必要なら3年以内には領地の運営を軌道に乗せないといけないでしょうからね。

 このままでは難しいでしょうね。」

「そうか。

 こっちも戦術をどうするかはこれからだが・・・バビントンは後方だろうな。」

「1000名の派兵までこぎつけられる・・・出来ても有象無象でしょうね。

 今居る500名の訓練をしっかりとする事の方が重要かと思いますが・・・1000名ですかぁ。」

バビントンはワイングラスを上に持ち上げ、ワインを見ながら言う。

「・・・バビントン殿。4000名から5000名の兵士をアシュトン子爵領からニール殿下領に移動させる際にこの領地を何日で移動出来ると思う?」

「・・・兵士・・・徒歩も兼ねてだと・・・9日でしょうか。

 騎馬だけでなら数も少ないでしょうから2日と見積もりますね。」

「なるほど。

 文官出身者の意見はそうなるのか。」

バビントンの答えにアルダーソンが頷く。

「違うと?」

「あぁ。

 実際に最大規模の5000名の移動はほとんどした事がないんだ。

 カトランダ帝国方面では国境に向け2貴族が1500名と殿下が500名、ウィリプ連合国方面では国境に向け2000名と殿下が500名、魔王国方面では1000名と3000名の移動をした記録しかない。

 それも事前に開始時期が(・・・・・・・・)わかっている状態(・・・・・・・・)でな。」

「・・・確かに5000名と言われた際にはアシュトン子爵領への行軍を元に考えましたが・・・

 アルダーソン殿は何日と?」

「この領内を移動するのに現状では11日。騎馬のみでなら2日だな。

 これは皆が平静でいられたらと考えた甘い考えの下でなんだがな。」

「・・・戦場から戦場は違うと?」

「気が逸る者や気落ちする者・・・総じて士気の低下が想定出来る。

 となるともっとかかるかもしれない。」

「・・・一研の試験小隊の戦術考察を早々に実施して最悪の報告を上げてください。

 こっちで出来るのは街道整備と炊き出しぐらいでしょうからね。

 士気低下を防ぐ一手は有効なのは食の心配をさせない事となっています。

 備蓄は多めに用意しないといけません。」

「そうだな。

 4月以降の建物が出来次第取り組もう。」

「ええ。お願いします。」

バビントンとアルダーソンは難しい顔をさせながら食事を取るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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