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第1117話 アリス達一行。(領地持ちになるとわかる事。)

アリス達は雑貨屋に来ていた。

「ん~・・・」

ジーナは王都で使う肩下げ用のショルダーバックを3つ選びどれを買おうか品定めをしていた。

「んー・・・アリス殿。これ・・・安くないですか?」

ジーナの後ろではエリカがワナワナしていた。

「あぁ。やっぱり王都から見ると安いですよね。」

アリスが苦笑している。

「同じようなデザインの靴を見ましたけど・・・やっぱり王都は高いですね。

 それにしてもいろんな同等品が割安になっていますね。

 豊かな土壌があるアズパール王国ですらこうなのですか。」

エリカが唸っている。

「カトランダ帝国では価格差が酷いのですか?」

「割と・・・というかほとんどの品物が街ごとに値段が違うんですよ。

 カトランダ帝国は技術者や職人が多いのが特色ですけど、その影響で物流が盛んと言えます。

 ですが、いくら物流が盛んでも産地からの距離がある物は高くなりますし、近場にあれば安くなります。

 街毎に家具や穀物、服や下着まで値段が違うんですよね。」

エリカがため息を漏らす。

「下着までは・・・そこはある程度は同じにしたいですよね。

 まぁ産地があるのはわかるので、王都と比べると多少のばらつきはしょうがないですよ。

 我が国は割と中央部に王都があるのであそこが割高で標準となる価格ですね。」

「そういうものなのですか・・・・

 アズパール王国では価格差はどう対応しているのですか?」

「うちは・・・というか領地ごとに違うはずですよ。

 基本的に国中での価格統一は出来ません。

 国の指針としては下着や小麦といった生活必需品は領内である程度低くし、統一するようにとの通達があったはずです。

 なので領地毎に価格が違うという事はあっても領内では統一価格にしています。」

「なるほど。領内での価格統一をするべきなのですね。

 現状の各々の町での価格の平均か、最低価格でするかは出来高を見ないといけませんかね・・・」

エリカがメモを取りながら言う。

「でしょうね。

 けど、どちらにしても流通価格を低くすると今利益を得ている工房や農家は収入が下がりますからね。

 恨みを買う可能性はありますね。」

「なるほど・・・価格を平均化するのは難しいのですか。」

「詳しい話はフレデリック達に聞いた方が良いですね。

 私は統一しているのは知っているだけですし、具体的なやり方はわからないですね。」

アリスが棚にある物を手に取りながら言ってくる。

「そうなのですね。後で聞かせて貰います。

 ・・・実はウィリアム殿下領も街と町、村があるのですけどね。

 各地の穀物価格や日用品やらの価格リストを見て驚いたんですよ。」

エリカも何気ない物を手に取って値段を確認している。

「違ったのですか?」

「ええ。まぁ村で扱う物と町で扱う物は違っているのは当たり前なんですけど。

 どうも・・・あ。こういった帽子も安いんですね。」

「帽子は地域色が出るみたいですけどね。

 で?」

アリスがエリカに続きを促す。

「えーっと・・・そうそう。村どうし、村と町ですら穀物や衣服の価格が違うのです。

 近場ですら。」

「ふむ・・・商隊の頻度ですかね。」

「村に特産品があるのかどうかにもよっているみたいですけどね。

 今、王城に居る第3皇子一家の局長達と話をしてどういった方策が出来るか意見を出し合っているのです。」

「なるほど。

 新規の領地は大変そうですね。」

「バビントン男爵が新たに領地持ちになりましたけど。

 いきなり現地に行きましたから大変なんだろうとは皆で言い合っています。」

「そうですね。」

アリスも「そりゃ大変そうだ」と苦笑するのだった。


------------------------

バビントン男爵領の男爵邸がある街のとある屋敷。

バビントンとアルダーソンは屋敷が出来るまで仮住まいしている。

家族たちは屋敷が出来るまで勤めていた街の家に住んで貰っている。

2人とも貴族になったが今は単身赴任だ。


「ふむ・・・これは決裁終りました。」

「畏まりました。

 今日の分はこれで終わりです。」

執事が書類を受け取る。

「わかりました。お疲れ様です。」

バビントンが執事に今日の業務は終了と言うと同時にノックがされアルダーソンが入って来る。

「失礼する。バビントン殿。今日の仕事は終わったかぁ?」

「ええ。今終わった所です。

 さて、アルダーソン殿が来ましたので少し早いですが、飲みに行きますか。」

「お。すまんな。」

「良いですよ。」

2人とも久しぶりの独身生活で気軽に飲みに出歩くのだった。

・・

「この辺も随分店が出来て来たな。」

「少しずつですね。」

バビントンとアルダーソンが表通りを歩きながら周りの店を見て感想を呟いている。

「あ!男爵方!今日はうちに来ませんか?

 安くしておきますよ。」

たまたま店先に居た酒場の店員が声をかけて来る。

「どうします?」

「あそこ。ツマミがなぁ・・・酒は良いんだが。」

「ですね。」

バビントンとアルダーソンがヒソヒソと話している。

「おう。今度な。」

「はい。お待ちしております。」

アルダーソンが手を振って答える。

「アルダーソン殿。私は今日はあっさりが良いですね。」

「あっさりかぁ・・・お。あの店はどうだ?」

「無難ですね。

 では、今日はここにしましょうか。」

2人の新人貴族が店に入って行くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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