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第1108話 さて結果はどうなったのか。(対魔眼戦の極意とは引き分けで良しとする心を持て。)

ジーナは正面に構えていたのを左足を前にしたまま、剣を握る両手を顔の右に持っていく。タイ捨流の独特の構えをする。

武雄は「様になっているとはこの事か・・・」とジーナの構えに恐怖する。

そしてジーナはジリジリと近寄ってくる。

武雄はじっとその時を待っている。

・・

ジーナが右足を踏み込んでくる。

一拍置いて上半身も始動・・・しない。

ジーナは一瞬武雄から目を離し剣を見るがその瞬間剣を持つ手が始動を始める。

ジーナが目線を戻すと武雄が懐に潜り込んでいる。

力いっぱい動き出しているのでジーナは意識としては警鐘を鳴らしているが腕は振り下ろしている最中。

それにただでさえ踏み込みが終わっている状態からの始動なので力が全く乗っていない。

もう稽古で幾回もしてきた事がここでバラバラになる。

武雄は入って来た一瞬でジーナに右肩を向けて左手でジーナの左手越しに右手首を掴み、右手でジーナの両腕の下から回す感じで右二の腕部分の服を掴む。

この時点で武雄がジーナの懐で背を向けていた

「あ・・・」

ジーナはマズいと思うだけで体は動いているので何も出来ない。

武雄はジーナを腰に担ぐと。

「うりゃ。」

「きゃっ!!」

ジーナはものの見事に投げられる。

ジーナの腰より若干下に重心を持って来るので武雄は膝立のような状態でジーナを投げていた。

「・・・」

ジーナは投げられるという思いも付かない攻撃に唖然と空を見上げている。

両手で持っていた剣は今は右手のみで左手は右手のように万歳の形で寝ていた。

「・・・」

武雄がひょこっと頭の上の方から顔を出しジーナの顔を見る。

「ご主人さ・・・ぎゃ!」

そして武雄がジーナの上に頭の方から覆いかぶさり腹で頭を押さえつける。

武雄の両手はジーナの肩の後ろから通して短パンの紐が通っている所をがっしりと掴んで逃がさない。

「おぉ。上四方固めか。

 うん。適切だな。」

その様子を見てマリが頷く。

「タケオ様!?」

アリスが驚いている。

「ぐぅぅ!!ご主人さ・・あひゃひゃひゃ!ぎょ!」

ジーナが魔眼の力で下から武雄を持ち上げ退けようとするが武雄が脇腹を軽くつねると力が抜け再び武雄の腹の下敷きにされていた。

「タケオ様!女子になんてことを!

 そんな体勢で!」

「はいはい。戦闘に女子も男子もないですよ。

 恥ずかしいからと好機を逃すのは子供のする事。それに私とジーナはほぼ無限にケアが出来ますし、ジーナには打撃が通じない・・・そもそも私だと真っ当に対戦したら勝てないんですよ。

 で。勝てないなら勝てるまで抑え込んでしまうしかないと考えました。

 ほーれ。」

「あひゃ!ぎゃ!」

ジーナの抵抗は力ずくだったり体を左右に回そうとするが、武雄が両足を開いて回転させないようにつっかえているし力を入れ始めると武雄がジーナの脇腹に悪戯して力を抜いていた。

「タケオ。こういった上に乗ったり抱えられた時の最大の加重方法って知ってる?」

チビコノハが武雄の前にやって来て言う。

「こうやって突っ張ったりするしかないと思いますけど?」

武雄はそう言いながらジーナを組み伏せている。

「力を抜く事よ。」

コノハが指を立てて言ってくる。

「力を抜く?・・・この状況下でですか?」

「そ。と言っても足での突っ張りもあるから難しいのはわかるんだけどね。

 人間って抱えられたりおんぶされたりするでしょう?」

「しますね。」

「あの時意識があると抱えられたりおんぶされたりする方は無意識にバランスを取っているのよ。

 相手の重心を思ってね。」

「ほうほう。

 力を抜くというのは極論から言えば相手の重心を考えない事だと?」

「ま。そうね。」

「無意識にしている事を意識的にするなとは・・・訓練が必要でしょうね。」

「だよね。

 でも実際問題として意識のない人間を運ぶのって相当苦労するらしいわよ。

 意識がなくなると簡単に言って砂袋を繋ぎ合わせたような物みたいね。

 救助する人達は砂袋を繋いだ物で救助の訓練をするみたいね。」

「ほぉ。良い事を聞きましたね。

 ・・・いや。無理ですね。」

武雄はその場で試そうとするが難しいみたいだ。

「あら。そう?」

「力を抜くとジーナが逃げそうで。こらっ。」

「あひゃひゃ!にぎゃ!」

ジーナの抵抗は成功していない。

「力を抜く恐怖感がありますね。

 これを訓練で習得出来るんですかね。」

「ある程度の素質かなぁ。

 ニオ辺りが得意そうよね。

 それに投げ技は資質があるけど寝技は努力で向上するしね。」

「寝技は努力次第なんですか?」

「そう言われているわよ。

 投げは相手とのタイミングを計る能力と素早く技を掛ける資質が必要ね。

 だけど寝技は型をしっかりと覚え、解かれないように相手の抵抗を察知して適時対処するからね。

 今のタケオと一緒よ。

 解かれないように力を抜かしているでしょう?」

「まぁ。そうです。えいっ。ね。」

ジーナがジタバタしているのを武雄が適時弄っている。

「そこが努力の賜物ね。」

「私努力していませんが?」

「さっきからケアしっぱなしでしょう?」

「ええ。常に全力でないと魔眼の力に勝てませんよ。

 これも努力ですか?」

「魔法がなければあっという間に魔眼の力でタケオの寝技なんか解かれちゃうわよ。

 そうさせない為にずっとケアをかけているんでしょう?それって努力だと思うわよ。」

「そうですかね。

 と・・・反抗が小さくなってきましたね。

 諦めましたかね?」

「どうかなぁ?

 マリ。どうするの?」

「タケオの攻撃手段の小太刀はあそこだしなぁ。」

マリが武雄が最初居た位置から少し離れた所にある小太刀を見る。

そう。武雄はジーナの懐に潜る際に剣を外に軽く投げていた。

「ジーナはこれよ?」

コノハが下を指す。

「・・・引き分けで良いか。」

「そうね。」

「両者引き分け!」

マリが宣言するのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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