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第1105話 卒業式。(王立学院と魔法師専門学院。)

王都の王立学院の講堂と言う名の大広間。

王立学院の全生徒や教師達が集まっている。


パットが学院長代理の前に立ち宣誓をしていた。

「証書を授与された我ら32名。本日王立学院を卒業し、各分野において王国の礎となる事を誓います。

 卒業生筆頭 パット・クリフ・アズパール。」

そして礼をして壇上を去り列に戻る。

「オーブリー・ボブ・クラーク王立学院学院長代理より訓示。」

「本日、伝統ある王立学院の卒業式に当たり、これからの我が国の中枢を担う諸君に心からのお祝いを申し上げます。

 卒業、おめでとう。

 諸君らが歩こうとしている道は多くの諸先輩方が歩んできた道であります。

 前を見据えて仕事に邁進して欲しいと願うと共に、君達が歩いた道を後輩達も歩くと自覚をして貰いたい。

 今後、仕事をする中で苦しい時もあるだろう。

 その時はこの学び舎で学んだ事を、そして多くの友と過ごした事を思い出して欲しい。

 その思いを胸に乗り切って貰いたい。

 苦難に面している仲間を見かけたら手を差し伸べて欲しい。

 部署に拘らず、自尊心に固執する事なく仕事をして貰いたい。

 常に真摯であり、仲間を思い、国民を思って仕事に従事される事を願います。

 卒業生諸君の今後益々の活躍、そして王立学院の一層の発展を祈念して、私の訓示といたします。

 以上。」

「オーブリー・ボブ・クラーク王立学院学院長代理に礼!」

号令と共に皆が礼をする。

クラーク議長が席に戻る。

「証書授与式を終了する。

 以上!解散!」

壇上の者達が去っていく。

・・

「はぁぁぁ・・・終わったか。」

パットが席に着く。

「パット・・・いえ。従兄上。お疲れ様です。」

エイミーが近寄って来る。

「あぁ。お疲れ様。

 来年の生徒筆頭頑張れよ。」

「・・・グレースですね。」

「あれは・・・エイミーがダメなら誰も手を出せないだろう。」

「従兄上並みですからね。」

「・・・予想は出来るか?」

「初っ端、スミスに喧嘩を売るぐらいは想定しています。

 フィル大公・・・大叔父さまにお願いはしていますが・・・」

「それで聞いたら苦労はないか。

 まぁ、俺は当分父上の見習いだからな。」

「伯父上達は1年後に王都ですけどね。」

「・・・本当にそうなのか?」

パットが考える素振りを見せて、目線のみエイミーに向ける。

「そうとしか言われていませんね。

 従兄上はそうならないと?」

エイミーが堂々と言う。

「俺なりに色々情報の整理はしているんだ。

 だが・・・第1皇子一家(うち)はルイスが生まれるんだ。すんなりと行けば良いが・・・」

第2皇子一家(私達)にはピーターが生まれます。

 そして第3皇子一家にはエドワードとヒナが生まれます。」

「奇跡の4殿下か。」

「何ですかそれは?」

「街中の噂だよ。

 来年は同時に4名の殿下が誕生するのは吉兆の証だとさ。

 王国の未来は明るいと考えているそうだ。」

「良い事ですね。

 はい。こちらをどうぞ。」

エイミーが手紙をパットに渡す。

「・・・これは?」

「ウィリアム叔父上から預かってきました。

 では、私はこれで・・・パットが残して行った寄宿舎の大掃除をしなければいけませんので。

 今のパットの部屋にある私物は捨てて構わないんですよね?」

「あぁ。引っ越し用の荷物は業者が引き取っているから、残りはそうして貰って構わないぞ。」

「はぁ・・・わかりました。

 では、パット。ごきげんよう。」

エイミーが去っていく。

とパットがウィリアムの手紙を開き中を見る。

「・・・すぐに出頭?・・・父上に何か伝言があるのか?」

パットが考えるのだった。


「はぁ・・・パット・・・貴方まだまだね。

 王城から第3皇子一家が出て第1皇子一家が入るまで、継承者の空白(・・・・・・)期間を作るわけないじゃない。

 どうせ業者はオルコット宰相達に押さえられているんだし、今頃王城内にパットの部屋が作られているんだろうなぁ。

 ま。第3皇子一家の執務の継承をさせるのも狙いなんだけど・・・パットは王国の闇を見て耐えられるのか・・・

 まあ、その時は次の子か。

 パットには試練の時よね。」

エイミーはのんびりと寄宿舎を目指すのだった。


------------------------

同時刻。魔法師専門学院の校門の所で、ケイとパメラが門柱に寄りかかりながらボーっとしていた。

手には卒業証書と任地先への書類が入った封筒を持っていた。

「ねぇ・・・ケイちゃん。」

「ん?パメラ、どうしたの?」

「ここで良いんだよね?」

「学院長からそう言われたわよ。

 ジーニー達3人は、エルヴィス領行きの商隊を探しているみたいね。

 明後日には出立するんじゃないのかな?」

「だよね~。

 私達は一緒に行かなくて良いのかな?」

「さぁ・・・一緒に行った方が楽そうだけどね。

 宿舎に戻って一旦荷物を出して来ないとね。明日には退去だったよね。」

「うん。

 この1週間皆で掃除だったしね。」

ケイとパメラが軽口を叩き合っている。

「ごめんごめん。待たせたね。」

トレーシーとジッロが校門にやって来る。

「「学院長殿。」」

ケイとパメラが敬礼する。

「あ~。それはもう良いかな。

 引継ぎが順調に終わって、3月末の任期を今日までに変えて来たんでね。

 今は研究室長という肩書だよ。」

「「わかりました。研究室長殿。」」

「ははは。

 まぁ良いか。2人とも移動の準備は終わっているかな?」

「え・・・はぁ・・・退去の準備は終わっています。

 これから商隊を探そうかと思っていましたが。」

「あ。そうなんだね。

 それはブロウズ達もかい?」

「はい。ブロウズ達エルヴィス領に行く者は、別に商隊を探しに行っています。」

「ふーん・・・なら明後日出発で一緒に行きましょう。

 私も引っ越しなので一緒に行った方が良いでしょうしね、幌馬車を1個手配してください。

 幌馬車の御者は皆実地でしていたよね?」

「ジーニーちゃ・・・ブロウズの成績が良かったはずです。」

「うん。皆で移動しましょう。

 手配等々は皆で考える事。幌馬車は中古でも良いし、新品でも良い。

 費用は金貨10枚以内。食料等々を買っておいてください。

 集合は明後日の朝一に城門で。」

トレーシーがケイに金貨が入った革袋を渡す。

「・・・わ・・・わかりました。」

「あ、それと領収書は貰ってくださいね。

 宛名は第二研究所で。」

「・・・はい。わかりました。」

「学院・・・研究室長。

 その方は?」

「あ。こちらはジッロ・ベルテ殿。見ての通りエルフだけどね。

 キタミザト様の部下だ。今年から魔法師専門学院に入学する運びでね。

 宿舎に連れて行ってくれるかな?

 手続きは終わっているから、受付に連れて行けば部屋はわかるはずだよ。」

「はい!わかりました!」

パメラが緊張しながら返事をする。

「よろしくお願いします。」

ジッロが頭を下げる。

「「・・・」」

ケイとパメラがポーっとジッロの顔を見ている。

「あの・・・なにか?」

「いえ!なんでもありません!」

「よ・・・よろしくお願いします。」

ケイとパメラは「うわぁ・・・あと1年居たかったなぁ」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。


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