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第1099話 楽しい厨房。(ミルクレープと中濃ソース。)

「「「おぉ~!」」」

「ごしゅびんさまぁ!おいふぃでふ!」

「・・・ジーナ。飲み込んでから感想を言いなさい。」

「んっ・・・最高です!ご主人様!」

満面の笑顔を向けて来るジーナ。

「ええ。その笑顔で十分ですよ。

 で・・・あ。こっちもか。」

武雄がいつか見た厨房内の景色に頷く。

「これは凄い物だな・・・」

「美味しいですね・・・・」

メイン担当とスイーツ担当が涙している。

武雄達が作ったのは単にクレープ・・・なのだが・・・

「ふむ・・・

 これは生地が甘いのですね。

 ジョージ。生地に砂糖を入れるというのは?」

フレデリックが頷く。

「初めてだな・・・いや過去にはあったのかもしれないが。

 甘いパンが肉料理に合うという事も言われていない。

 そしてこんなに薄くさせるという発想もない。

 もっと厚く作ってパンとして食べる事はあるが・・・

 生地に砂糖か・・・奥が深いな。」

「では。クレープついでにケーキも作りますか。」

「「「!?」」」

厨房に激震が走る。

「タケオ。何を作るんだ?」

料理長が聞いて来る。

「ミルクレープですね。

 生地を置いた上に生クリーム、その上に生地、その上に生クリーム。

 まぁ要は段々にするという事です。」

「ほぉ。前にヒルダお嬢さんの作ったラザニアと考えは一緒ですね。」

「そうですね。

 ラザニアは調理過程で段々にしてから焼いていました。

 今度のミルクレープは段々を作って周りを生クリームで綺麗に塗って中が見えないようにして完成です。」

「ほぉ・・・生地を焼く時間が短くなりそうではあるが・・・

 タケオ。何枚焼くんだ?」

「・・・ケーキの高さはどのくらいでしたかね。

 1個当たり20枚くらい焼くと想定しましょうか。」

「え~っと・・・タケオ。いつも通りで良いんだよな?」

「ええ。いつも通りだと思っていますが?」

「となると・・・

 よし!今日の夕飯後のスイーツはこれにする!

 生地を作る班と焼く班とに分かれて一気に作るぞ!

 夕食の準備後、生クリームを大量に作る班と塗る班だ。」

「「はい!」」

「料理長!生クリームのスイーツだとメインを変えないといけないと思います。

 今日は鶏肉のムニエルにタルタルソース添えです。」

「ふむ・・・だが、鶏肉は今日中に処理をしたいんだが・・・

 ならあっさり感を出すのに粗く切ったトマトソースに変更するか・・・

 タケオ。何味が食べたい?」

「トマトソースも美味しそうですが・・・

 あ。そうだ。作りたい物があるんですよ。」

「ほぉ。何だ?」

「ウスターソース系第2弾。」

「・・・ほ・・・本気か?」

料理長が恐々聞いて来る。

「私はいつでも本気です。

 レシピを固定化出来ればベッドフォードさんの所で商品化です。」

「「げっ!?」」

料理人達が凄い顔をさせる。

「・・・そんなに喜ばなくても。

 ま。出来るかどうかはわからないので作ってみますけどね。」

と武雄は言うがそもそも王都で一回作ったので「あとは味の手直しすればレシピは出来るだろう」と思うのだった。

「ちなみにタケオ。そのソースは鶏肉のソテーに合うのか?」

「ふむ・・・ソテーですか。

 よし!なら鶏肉をまず一口大に切ってから軽く塩で揉んでおきましょう。

 そして少しおいてから薄く小麦をまぶしてからオリーブオイルを引いて両面こんがりと焼く。

 焼けたら一旦乾いた布巾等に肉を置いて油を落とす。

 最後に肉と中濃ソースを合わせれば完成です。」

「ふむ。タケオ。

 中濃ソースはどうやって作る?」

「それはウスターソースにトマトソースに玉ねぎとニンニクに少々の赤ワインを入れ煮込んだ物と砂糖を混ぜます。」

「ソースに砂糖か。あまり聞かないな。」

「ソースは大体はしょっぱい、すっぱい、辛いに分別されるでしょう。

 ですが、揚げ物には甘いソースも合うのですよ。

 それに大量に入れるわけではありませんからね。あくまで隠し味です。

 ほんのり甘くなれば問題ありません。」

「ふむ・・・じゃあ。タケオ。試食を作ってみるか。

 皆が良いというなら一考しよう。

 そのソースがダメならトマトソースだな。」

「はい。了解です。

 じゃあ。とりあえず生地を作るのと焼く方の邪魔にならないようにしないといけないですね。」

「そうだな!

 よし!分担して生地を作って焼きまくれ!

 それが一段落したらタケオの新作ソースの味見だな。」

「「はい!」」

皆が動き出す。

・・

「ふむ・・・意外とあっさりとしているな。甘みも感じる。」

「ええ。肉に合いますね。」

「甘いソースの肉・・・不思議ですが、悪くはありませんね。」

料理人達が考え込んでいる。

「料理長どうしますか?」

「ふむ。これで良いだろうな。

 一応サラダもあっさりとしたドレッシングにするか。」

「はい。わかりました。」

「そうですか。

 では、ソースのレシピはこの通りで。」

武雄が調理しながら書いたメモを料理長に渡す。

「おう。任せておけ。

 で・・・タケオ。今日の夕食の話ではなかったのだろう?」

「そうでしたね。

 これを削りに来たんですよ。」

「木か石か?」

「あぁ。初見ではそうなりますかね。

 乾物・・・干物ですよ。」

「ほぉ。見た事ないな。

 ・・・固っ!」

料理長が武雄から堅魚節を受け取り驚く。

「これを出汁の一角に据えられるかの試食をします。」

「・・・わかった。結果を待つことにする。」

「ええ。ちょっと待っててくださいね。」

武雄が笑うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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