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第1079話 ベルテ一家の家。1(新居だ。)

武雄達はベルテ一家とニルデ達が住む家に到着していた。

「・・・大きい・・・」

武雄はボーっと家を見ている。

他の面々も家の前の畑を見たり、家の外見を見たりして落ち着きがなかった。

「こちらがこの土地を用意してくださったご夫婦になります。」

総監部の者が老夫婦を連れて来る。

「タケオ・エルヴィス・キタミザトです。」

「はい!こ・・・この度は私共の土地を選んで頂きありがとうございます。」

「いえ。こちらこそ感謝しかありません。

 このような素晴らしい土地と屋敷を譲渡して頂いたのです。

 そういえば喫茶店をされると?」

「はい。

 私共ももう歳ですので引退して近所の溜まり場を作ろうかと。

 キタミザト様。買って頂きありがとうございます。」

「はい。有益に使わせて頂きます。

 ドナートさん。ボーナさん。」

「「はい。」」

ドナートとボーナが武雄の横に並ぶ。

「私の部下でドナート・ベルテとボーナ・ベルテ。そして娘達です。」

「「よろしくお願いします。」」

ドナートとボーナが頭を下げる。

「エルフ・・・そして獣人ですね。

 事前にお話を受けた通りです。

 まさか生きている内にエルフに会えるとは・・・」

「ご一家は確かに家主はエルフで子供達にはエルフと獣人が居るでしょう。

 ですが、血のつながりはなくとも家族です。

 私達が望む形です。

 種族でいがみ合う事は意味がないですからね。」

「はい。」

「ですが、言葉でいくら言っても、頭でわかってはいてもそう受け入れられないのが種族の壁という物です。」

「はい。」

「だからお互いに知って行って欲しい。

 何を食べているのか。農業の方法はどうやるのか。

 まずはそこからです。」

「はい。」

「農作業についてはこの地でしていた事とは違う方法をうちの部下はし始めるかもしれません。

 それはこの地に合わないからしないのか。はたまたエルフでしていた伝統農業なのか。

 その方法が実はこの地にも合うのかもしれない。

 どんなことも初めてなのです。

 この地で昔からしているからそれをしなくてはいけないという法はないのです。

 もしかしたら一見遠回りしている方法でも結果として生産力が高くなっている可能性もあります。

 そしてその逆も。

 頭ごなしに否定をしてはいけません。

 まずは否定よりも理解を目指してください。」

「はい。」

「ご夫婦には周りからいろいろ言われるかもしれません。

 そして部下をどうにかする為に実力行使をする輩が居るかもしません。」

「・・・はい。」

「私達は武力で押さえる気はありません。

 我々が出るのは余程の時だけです。

 基本は皆でなんとかしてください。」

武雄がにこやかに言う。

「何とかですか?」

「ええ。その感情は人間種の街に根付いている・・・純粋な感情の根幹です。

 そう易々とは治せませんよ。

 うちの部下達には我慢をするようには言っています。

 ですが、限度はあります。

 彼らは奴隷でも家畜でもない我々からしたら貴方方と同じ一領民です。

 自ら意思を持ち、食べ物を食べ、喜怒哀楽もあり、皆さんと同じように人生を歩んでいます。」

「・・・」

「最初に言ったお互いを知る。

 これはとても大変です。

 食生活から生活様式まで全てが違うんですから。

 だから何かあったらしっかりと話し合ってください。」

「はい。わかりました。

 頭ごなしに否定しない。相手の事をわかろうとする・・・ですね。」

「ええ。そしてこちらも教える事が必要です。

 考えても見てください。

 反対の立場だったらどうですか?

 いきなりエルフの村に連れて来られて『生活しろ』と言われても隣人にさえ何も言えないでしょう?

 だから手を差し延べて欲しい。

 四六時中相手をしなくて良いのです。朝の『おはよう』の挨拶を毎日するとかのちょっとの事で良いのです。」

「確かに・・・逆の立場なら家から出たくなくなります。」

「ええ。常に相手の立場を考えてくれれば良いのです。

 この一家は農業をします。なのでわからない事があれば教えてあげてください。

 まぁやる事は特殊ですがね。」

「はい。助力は致しますが・・・特殊なのですか?」

「ええ。とっても。

 新種の穀物とお茶と野菜、そして品種改良した作物の研究をして貰う予定なんです。

 一般にあまり出回らせないので周囲の農家との軋轢は少ないだろうと思っていますよ。」

「・・・新種・・・農家相手にされるのですか?」

「成果が出れば・・・ですかね。

 上手く行くのは何年後か・・・まぁ気長にやるのが今の目標ですよ。

 もちろんこの地の農家の皆さんが欲しいと願っている物があれば試験しても良いでしょうね。

 それがこの地をより良くする最短であるのは確かです。」

「そうですか・・・では。一度周辺の農家を集めて意見集約をして見ようかと思います。」

「それはありがたいですね。

 その時にベルテ一家の紹介もお願いしたいですね。」

「わかりました。

 早々に集まりを招集しようと思います。」

「はい。お願いします。

 ・・・いろいろとご迷惑をおかけするとは思いますが、私の部下をお願いいたします。」

武雄が深々と頭を下げる。

「はい!お任せ下さい!」

「頭をお上げください!キタミザト様!」

老夫婦が慌てるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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