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第1071話 エルヴィス邸に帰還。2(皆が去ると。)

皆が部屋に連れられて行く。

「さてと・・・私も書斎に荷物を置いてきますかね。」

「タケオ様。着替えも必要です。」

フレデリックが言ってくる。

「わかりました。」

「それとこの箱・・・貨幣を入れたのですか?」

フレデリックが幌馬車から降ろした箱を見ながら言う。

「・・・何でわかりますか・・・」

「いえ。先ほど執事が2人で持っていましたし、音がしましたから。」

「そうでしたか。

 ええ。私のカードの残高を全部下ろしてきました。」

「そうですか。

 こちらは書斎に持って行きます。」

「はい。お願いします。」

「ええ。

 では。私は一旦、下がらせて貰います。」

とフレデリックが下がって行く。

話を傍で聞いていたヴィクターが箱を持って移動を始める。

・・

「タケオ様♪」

皆が居なくなるのを確認してアリスが武雄に抱き着いて来る。

「おっと・・・我慢していたんですね。」

武雄がアリスの頭を撫でながら言ってくる。

「えへへ♪

 私。頑張りましたよ?」

「そうですね。アリスお嬢様は頑張りましたね。

 とりあえず部屋に行きますか。」

「はい♪」

アリスが腕に抱き着きながら武雄は移動をするのだった。


------------------------

エルヴィス邸の客間。

「失礼します。

 主。タケオ様達一行は一旦部屋にお通しし、着替え等をする運びになりました。」

「うむ。

 別に急いでおらんから問題もないの。

 夕食の用意はどうなっておるかの?」

「はい。

 このあと挨拶を終えたら夕食が出来るようにしております。

 今日は・・・パンとキノコパスタとロールキャベツの煮込みでしたね。」

「うむ。

 詳細は今日は聞かなくて良いじゃろうの。」

「明日にでもタケオ様からお聞きすれば良いでしょう。

 それと主。こちらが最終的な貸し出す農地の概要書になります。」

フレデリックがエルヴィス爺さんに書類を渡す。

「・・・ふむ。

 研究所から割と近いの。」

エルヴィス爺さんが書類を見ながら言う。

「ええ。良い場所を提供して頂きました。

 広さも十分です。」

「ふむ・・・この街の中心地にも近いの。

 農家としては一等地だと思うのじゃが・・・なぜじゃ?」

「タケオ様からの報告後に再度場所を探した際に、ここの農家の長男が農家を継がないとの事で困っておいででしたので声をかけました。」

「ふむ・・・息子達は違う職業をしておるのか?」

「ええ。

 実はこの話が来たのは総務局の者からなのです。

 その者はこの農家の次男でして、長男が専業農家を辞め他の職に就くと決めたので困っているという話が総監局の者の耳に入り事情を聴いた所。

 どうも長男はベッドフォード様のウスターソースの工場に勤めることにしたというのです。

 なので畑仕事は兼業という形にして自分達が食べる分程度にするようなのです。

 次男の方は総務局の仕事があるので今さら継げないと言っているが、畑等々を知らない者に売るのも気が引けると、長男と話合いはしているが、決まらないという事でこの話に乗ってきました。」

「ふむ・・・一応、家柄や土地のしがらみは確認したのかの?」

「はい。

 代々の農家で借金もありません。

 裏稼業との関係もありませんし、次男は総務局、三男は軍務局、長女は嫁いでいますが、こちらは商家ですが、問題はないかと。

 ご夫婦からすれば長男が継がない事に驚いたようですが、最近の街の発展を見てそれも良いとあまり強くは引き留めなかったようです。

 ご自身も高齢で畑仕事を今のように続けられないという思いもあったようで農地と母屋をこちらに売られるという事は合意され手続きは済んでおります。

 ご夫婦は売られた金銭を元に離れを改造し喫茶店をするようです。

 離れの改修の手配も済ませております。」

「ほぉ。喫茶店とな。

 上手く行くのかの?」

「周辺の農家で取れた野菜や果物を使ったのんびりとした奥様方相手の喫茶店をするそうです。

 利益目的ではなく趣味の店となると言っておりました。」

「憩いの場という訳じゃの。」

「はい。」

「うむ。良いじゃろう。

 あとは・・・ジーナ。費用についてはどうじゃ?」

「はい。

 最終判断はご主人様に行って頂きますが、総監局との話し合いを行いご一家が住まわれていた屋敷と土地を一括でエルヴィス家が買取、キタミザト家は借地と借家料金として年間金貨45枚をお納めさせて頂きます。

 また、ご一家には一律での給金をお出しする運びになるかと思っております。」

「ふむ・・・貴族報酬からじゃの?」

「はい。

 私やお父さまの給料、アリス様やコノハ等精霊の小遣いを含め貴族報酬からの固定支出として計上いたしました。」

「ふむ・・・足りるのかの?」

「初年度は研究所の建て替えやエルヴィス家への融資がございましたので、支出は全て赤字になっておりますが、初年度は研究所の予算との合算の為、問題はございません。

 次年度以降では別会計を実施しますので、今回の研究所資金からの転用分は少しずつ返済していくと考えております。」

ジーナが報告をする。

「うむ。

 赤字にならなければ問題はないじゃろう。

 そもそも研究所資金も貴族報酬も別会計にしなくてはいけないと決まっている訳ではないからのぉ。」

エルヴィス爺さんが考える。

「はい。

 ですが、キタミザト家と研究所の収支は別にしておいた方が見やすいでしょう。

 我らもしておりますし。」

フレデリックが言ってくる。

「ふむ・・・うちは収入は税収だからの。

 ちとタケオとは違うの。」

「ええ。どちらかといえばキタミザト家の方がわかりやすくなっております。

 ですが、どちらにしても会計業務をする者は大変そうではあります。」

「そうじゃの。

 まぁ当分はタケオの所も人手不足じゃろうの。」

「収入が増えない事にはしょうがありませんね。」

「そうじゃの。

 ヴィクターやジーナはもう少しだけ苦労をする事になるかの。

 収入がある程度望めるまでは多忙じゃろう。」

「その辺は覚悟しております。」

ジーナが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます

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