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第1064話 いろいろ始まっているらしい。(モニカとベッドフォードと皆だね。)

夜。エルヴィス邸がある街の酒場にて。

「・・・始まっちゃったのよ。」

モニカがワイングラス片手に机に突っ伏していた。

「また何を唐突に。」

ラルフがため息を付いている。

「ほほほ。ここ最近悩んでおりましたからね。

 決着がついたのでしょう。」

「お。仲間が出来たな。」

ローが優しい目をするし、ベッドフォードが喜んでいる。

「このメンバーでの飲みって誰かが必ず愚痴っていますよね?」

テイラーが呆れている。

「モニカさん。どうしたんですか?

 飲みます?」

鈴音がグラスが空になっていないのに飲ませようとしている。

「うぅ。スズネちゃん。良い娘ね。

 もっと注いで。」

「はいはい。」

鈴音がなみなみと注ぐとモニカは半分ぐらいを一気に飲む。

「くぅーー!

 はぁ・・・新たに文具および玩具の製造を行う部署を立ち上げたわ。

 これでうちは材木流通と家具の製造の合わせて3部門体制よ。

 新たに5名雇用してしまったわ。

 もう後には引けない。やるしかないわ。」

モニカは覚悟している目をさせる。

「ほぉ。それは頼もしいですね。

 うちは女性用の下着に目を付けましたよ。」

ラルフが頷きながら言ってくる。

「あ。ジーナさんが喜んでいましたよ。

 動きやすくて着やすいって。

 王都でも着たいから近々伺うと言っていました。」

鈴音が言ってくる。

「そうですか。その辺の感想は来店された際にお聞きしましょう。」

「ラルフの所が女性用下着かぁ。

 紳士服の仕立て屋だったんだろ?」

「これからの事を考えると紳士服だけではダメでしょう。

 女性の普段着や下着には本格参戦しませんが、何か女性用も作ろうという話になりましてね。

 丁度その時にスズネさんから依頼があったのですよ。

 まぁ私は女性用下着は思いつきませんでしたが・・・

 キタミザト様の所の作業服を作る事もあり、女性兵士用の下着を作ってみる事にしたのです。」

ラルフが言ってくる。

「へぇ~。

 スズネちゃん。どういうの?」

「・・・紐で吊らないで布全体で動きを抑える形です。

 汗を吸ってくれますし・・・でもずっと付けているとカブレる可能性もあるので・・・

 汗をかいたら出来るだけ早い段階で交換するのが良いかと思います。

 でも・・・モニカさんには合わないかもしれないですね。

 どちらかといえば運動や絶えず動いている女性向けです。」

「ふむ・・・そうかぁ。

 私は使えそうもないね。」

スズネの説明にモニカが頷く。


「そういえば、ベッドフォードさんの方のウスターソースはどうなったんですか?」

テイラーが聞いて来る。

「・・・聞かないでくれ。」

ベッドフォードがガックリとする。

「いや・・・そんなに悪いのですか?」

「・・・違う・・・売れすぎて困っている・・・」

ベッドフォードが顔を上げずに言ってくる。

「ほほほ。最近の悩みは『製造工場をどうするか』でしょうかね?

 総監部の方の意見は?」

「あぁ・・・店はそのままなんだが・・・新たに土地を購入して工場を建てる事になりそうだ

 ・・・裏の街区を買い取るか今農地の所に建てるか・・・ローの爺さん。どうしたら良い?」

「そうですなぁ。

 ここは新しい工場を作ったラルフに聞いてみましょうかね。ほほほ。」

「・・・どうもこうも工場を一商店が作るんです。

 場所は総監部の方も交えて考えて行くしかないでしょう。

 それにかなりの金額が必要でしょうし、雇用も考えないといけないでしょうし、輸送する際の事も考えないといけない。

 まぁまずはその重責に耐えられるのか・・ですかね?」

ラルフがため息をつく。

「はぁ・・・エルヴィス家の方針をこの間言われたよ。」

「「「何て?」」」

皆が聞いて来る。

「『西の町でウスターソース用の作物を専門で作るようにします。村2つ分でどうでしょう?』だとさ・・・

 従業員だけでなく村人たちの生活まで俺の出来栄え次第なのか・・・」

ベッドフォードが呟く。

「それは・・・悩みますね。」

ラルフが同情をしながら言う。

「ほほほ。関係者は一蓮托生。

 ウォルトさん達の後ろには北町の農家さん達が居ます。

 私はウォルトさんの所のワイナリーを潰す訳にはいきませんからね。」

「ローの爺さんも同じなのかぁ。」

「ええ。ですが、キタミザト様が用意したウォルトウィスキーもベッドフォードがするウスターソースもある一定量までは確実に売れるのですよ。

 なら品質を落とさないで量産する方法。つまりは生産能力を上げるしかないのです。

 そして着実な販売網の整備をするほかない。

 それに総監部からはまだ領内用(・・・・・)のみの事しか言われてないのでしょう?」

ローが聞いて来る。

「・・・何で知っているんですか?」

ベッドフォードが顔を上げて聞いて来る。

「ほほほ。総監部から私に相談が来ていますからね。

 『領外に売る為に(・・・・・・・)ワインの流通網(・・・・・・・)を活用出来ないか(・・・・・・・・)』と。

 まぁやらせて貰う気ではいますがね。」

「俺の所が売るのか?」

「ほほほ。まぁどちらかと言えば私がベッドフォードの所から買って領外へ売るという小売をする事になるのですけどね。

 もちろん。領内はベッドフォードがするんですよ?」

「・・・そこもローの爺さんがしたら良いんじゃないか?」

「いやいや。領内はベッドフォードがした方が良い。

 領外や他国へは私がワインと共に売らせて貰いますとも。

 もちろん若干高めですがね。ほほほ。」

「商売はそういうもんか。」

「ほほほ。そういう物ですね。

 領内と領外は別物ですよ。」

ローが楽しそうに言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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