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第1052話 担当局長達との話し合い。2(経済戦争。)

「さてと。では次ですね。」

オルコットが話を進めようとする。

「・・・他にありましたか?」

武雄が皆を見回す。

「いや。ありませんよ?

 実はですね。少しやり方が困っている事があるのです。

 それの方向を見出したいのです。外交局長。説明を。」

「はい。

 我々が考える戦争の事前準備の中にウィリプ連合国の経済の疲弊案というのがあるのです。

 我々は事前の会議で王家よりカトランダ帝国で安価な武器を作り、ウィリプ連合国に売りつける可能性があるという提案を受けましたが、半々の確率で実施されると予想しています。

 事実、アズパール王国方面の領内にて大規模な施設が作られ始めているのは、確認しています。

 こちらは推移を見守っている状況ですが。」

外交局長が説明をしている。


武雄は「考えた通りだけど・・・研究所としては安価な武器というのも手に入れないといけないかな?」と思っていたりする。


「ウィリプ連合国はカトランダ帝国から武器の購入をするという事を想定した場合に、ある程度はウィリプ連合国の経済が疲弊を起こすのだろうと思っています。

 そこにアズパール王国(我々)も向こうの経済を揺さぶろうと算段し始めたのですが・・・」

外交局長がそこで難しい顔をさせる。

「キタミザト殿、実は我が国はドワーフの国以外の他国と輸出入は、ほとんどしていないのです。

 一番しているのはドワーフの国からの鉄や貨幣用の金属の輸入です。

 その中でウィリプ連合国に揺さぶりをかけるにしても、そもそもの輸出入量が少ない為打つ手がないのです。」

財政局長が武雄に説明してくる。

「リスクが高い方法は今思いついたのですけど。」

武雄が真面目な顔をさせて言う。

「・・・キタミザト殿。ドワーフの国の関を止めるのはやめてくださいね?

 それは周辺国全てとの戦争になりかねません。」

オルコットがにこやかに言う。

「今棄却されました。」

武雄が認める。

「そこは皆が思い浮かべて、すぐに取れない作戦だという事で皆が諦めます。

 キタミザト殿。ウィリプ連合国に経済的に打撃を与える方法はあると思いますか?」

総監局長が聞いて来る。

「一応。商隊の量を増やし、向こうに物を買わせるとか。

 ウィリプ連合国に面した貴族領に保養地のような地域を作り、消費をさせるとかの案はあるのですが・・・現実的ではないのです。」

総務局長も説明する。

「・・・経済に打撃かどうかはわからないのですが・・・

 1つ良いでしょうか?」

「はい。」

「今回、ウィリプ連合国で冒険者組合のカードから金貨を下ろしたのですが、1対1の等価で下ろせました。」

「ええ。等価にするのは国同士の条約で決まっています。

 それが?」

「いえ、戦争までにアズパール王国の金貨保有量を増やした方が良くありませんか?

 ただでさえ穀物を移動させたり、武具を新調したりと貨幣のやり取りが増えますし。」

「・・・つまり、キタミザト殿はウィリプ連合国で金貨を大量に入手した方が良いと?」

「はい。

 買い手が冒険者組合で下ろし、対面販売で使用し、売り手が冒険者組合に預ける。

 この流れが一定量固定化出来ていれば、実際は国の中だけでの貨幣の流通量自体はあまり変わらないのではないでしょうか?

 実質の毎年新たに流通させる貨幣はそこまで多くないと思い出しました。

 そしてアズパール王国はこれから支出が多くなるはずですし、占領後の投資も最初は全部現金でしょう。

 なのでウィリプ連合国から現金を入手しておくべきだと思うのです。」

武雄は「ただし、これはやり方を間違うと金融不安や社会不安になるんだよね」考えながら言う。

「・・・な・・・なるほど。

 確かに支払いが増えて行くなら保有量を増やす処置は必要でしょう。」

財政局長が目を見開いて驚いた顔を一瞬したが、すぐに止め、かいてもいない汗を拭きながら言ってくる。

武雄は「ん?何?今の顔は?」と思っているし、オルコットと外交局長はそもそも武雄を見ていないで場を見ているので、財政局長の行動は見ているが何も言わない。

「キタミザト殿。一気に実行したらウィリプ連合国にわかってしまいます。

 こちらの手を向こうにわざわざ教える必要はありません。

 やるなら徐々にですね?」

総監局長が聞いてくる。

「そうでしょうね。

 これを実施し、ウィリプ連合国に知られたら向こうはアズパール王国には金がないと思い、大金を下ろせないような対策をしてくるとは思いますが・・・

 一度に大金を下ろせないようにするにしても人数をかければ良いだけですから、こちらのやりようはいくらでもあるかと。

 それにそう思わせるのも(・・・・・・・・)悪くはないと思いますけど。

 こればっかりは情勢を鑑みて決めてもらうしかないですね。」

武雄が考えながら言うと外交局長が頷いている。

「キタミザト殿。それは魔王国にも出来ると思いますか?」

オルコットが聞いてくる。

「可不可で言えば可能でしょう。

 ですが、ゴドウィン伯爵領と面している方は変身しない獣人の領地ですから、難しいかと思います。

 それにエルヴィス伯爵領の隣は変身出来る獣人・・・外見は人間と変わらないとは言っても皆顔見知りみたいですからね・・・やはり旅人は分かりやすいと思います。」

「ふむ・・・

 キタミザト殿。どのくらい集める方が良いと思いますか?」

オルコットが聞いて来る。

「戦費がいくらかわかりませんが・・・

 例えば年間新造する金貨の枚数を3000枚とします。

 まぁ冒険者組合や他の組合を使って古い貨幣を集めるとしても・・・新たに流通させる量は1000枚程度でしょうか。」

武雄の言葉に財政局長がまた驚き顔をさせる。

「なら・・・うん。戦争までに毎年5000枚の金貨と銀貨を集めるのはどうでしょうか。」

「金貨と銀貨両方ですか?」

「ええ。金貨は大きな単位の購入で使うでしょうし、銀貨は細やかな物に使いそうですから。

 それに硬貨を集めるといっても書類上は国庫の金額は変わりませんしね。

 ウィリプ連合国全域で実施すれば発覚は遅いかと。」

「それも1案ですね。

 それについては今後王都で話し合いましょう。」

オルコットが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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