第1048話 130日目 朝食。(仕掛けたと思ったら自爆した。)
武雄達は黙々と朝食を取って・・・いなかった。
武雄はさっさと食べる物は食べ、先ほど王都守備隊に提出した旅の報告書の控えを読みながらお茶を飲んでいる。
ビエラやブルック、アニータ、ミルコ、ボーナとエンマ、フローラ、ニルデとジルダとアスセナはのんびりと朝食を食べている。
彩雲と初雪は皆の残した物を処理するので部屋の隅で椅子に座ってボーっとしていた。
「・・・所長。今日の予定はどうしますか?」
ブルックが聞いて来る。
「私は午前中は王都守備隊の訓練場を借りてそこにいますよ。
新装備が来たのでね。試し撃ちです。」
「あ。昨日初雪殿に渡した物ですね。
今日試射するのですね。」
「ええ。それで朝一で王都守備隊に打ち合わせに行ったら・・・うちの男性陣全員が王都守備隊の朝練に行っていると聞いたのですけど・・・そうなのですか?」
「はい。
元気を持て余しているようなので。」
ブルックが言うとボーナが頷いている。
「そうですか・・・まぁたまには良いのでしょうけど。
朝練ですか。いつもしているのですか?」
「はい。
兵士は体調も万全にしなくてはいけませんのでほぼ毎日です。
あ。ドナート殿とジッロ殿は自主参加です。
一流の朝練を見たいそうです。」
「そうですか。
まぁ。無理をしなければ良いです。」
「大丈夫ですよ。
所長の気まぐれな訓練に比べたらマシですから。」
「・・・気まぐれですか?
ほぉ・・・気まぐれ。皆の事を考えてやっているつもりなのですけど・・・」
「あ・・・違いますよ?
所長が考える訓練は慧眼が素晴らしく他を圧倒します。
通常と違う事を入れられると鍛錬にならないのです。
何事も基本が大事ですからね!」
「・・・帰りにどこかでビエラと戯れますかね。」
武雄が目線を逸らしながら言ってくる。
「あ~♪」
ビエラが透かさず「任せて♪」と言ってくる。
「主~。ビエラがやる気です。」
ミアが報告してくる。
「すみません!
所長!さっきのは聞かなかった事にしてください!
私の口が滑ったんです!
だからドラゴンと戦えとかやめてください!」
ブルックが懇願してくる。
「ビエラ。やりたいですか?」
「はい!」
「そうかぁ。そう言えばビエラにはウィリプ連合国で戦いたいのを抑えさせましたものね。
どこかでしないといけないですよね。」
武雄がビエラと話している。
「所長!聞いてください!」
「じゃあ。エルヴィス領に入った所にクゥの住み家だった場所がありますから、そこでビエラの成獣姿を見ますか。
それで良いですか?」
「はい!」
「・・・所長ぉ・・・お願いします。聞いてください・・・」
「と言う訳でブルックさん。ビエラが旅の途中で成獣化しますからよろしく。」
「・・・わかりました。」
ブルックがガックリとしている。
「あ~♪」
「主。ビエラが主とやるのが楽しみと言っていますよ。」
「・・・え?なんですって?
私とやるのですか?いやいや。ビエラ何を言って」
「ですよね!ビエラ殿。やるならやり応えのある所長とが良いですよね!?」
ブルックがいきなり元気になる。もう必死です。
「あ~?」
「『違った?』じゃないですよ。
主はビエラの息抜きをさせる為に、ブルック様達が相手するように言っていましたよ。
ビエラは主と戦いたいのですか?」
「はい。あ~?」
ビエラが頷いてから首を傾げる。
「・・・ビエラ・・・まぁそれで良いのでないですか?
ですが、命を取ってはダメですよ?これは絶対です。」
「はい。」
ミアが呆れながらビエラに念を押すとビエラが真面目な顔で頷いている。
「・・・ミア。ビエラは何と?」
「『どっちともやれば良いんでしょ?』と言っています。
なので、主もブルック様も頑張ってください。」
ミアが告げる。
「エンマさん。フローラさん。」
「「キタミザト様!応援しています!」」
エンマとフローラが即座に応援に回る事を宣言する。
「く・・・ボーナお母さん。」
「はい。キタミザト様。
ニルデとジルダとアスセナさんはお任せください。」
ボーナが笑顔で頷く。
「・・・ブルックさん。諦めるしかないですかね。」
武雄がブルックを見て「一蓮托生ですね!」という顔をする。
「わ・・・我々は補助に徹しますので・・・あとはお願いします。
アニータ。ミルコ。エアロウォールで所長のバックアップよ。」
「「はい!」」
アニータとミルコが返事をする。
「・・・ビエラ。ブレスはなしで・・・お願い出来ますか?」
武雄が恐る恐る聞いて来る。
「あ~・・・あ。」
ビエラが考えてから頷く。
「主。尻尾だけだと無理だと思うからありで・・・だそうですよ。」
「・・・なぜこうなった・・・」
武雄がガックリとする。
と部屋に入って来る男性陣一行。
「・・・朝練終わった・・・」
「・・・走り過ぎ・・・」
「今日は久々に走ったな。」
「さ。朝食ですね。」
「なんでそんなに元気なのですか?」
「いや・・・こっちも体力的に結構辛いですよ。
元気なのは2人ぐらいですよ。」
「お前ら旅で緩んだんじゃないのか?」
「マイヤー殿とアンダーセン殿がおかしいんですよ。」
「そうですよ。なぜにピンピンしていますかね。
それに普通はあの朝練直後に朝食は取れないでしょう。
もう少し時間を置いてください。
我々は何とかなってもドナート殿とジッロ殿は胃が受け付けませんって。」
「そうなのか?
ケアで治しただろう?」
「体は治しても精神的に胃が受け付けませんって。」
「そうかぁ。
ん?所長がうな垂れているんだが・・・」
「マイヤー。マイヤー。あ~♪」
ビエラがマイヤーに楽しそうに報告するのだった。
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