表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1055/3620

第1043話 風呂前。(基本は大事。)

「どうするもこうするも・・・

 ニールさんの方はそもそも反攻作戦をする為に、戦闘で負傷者が多数出る事が許されない。

 クリフさんの方は隙を見せてアランさんとカリスト殿との話を土壇場で反故にされないように見栄を張る必要がある。

 ならニールさん・・・面倒ですね・・・殿下付きにしますからね。」

武雄がため息を付く。

「別に我は何も指示はしていないがな。」

「そうでしたね。

 では、ニール殿下以下ウィリプ連合国方面軍とクリフ殿下以下カトランダ帝国方面軍の軍事行動ですね。」

「うむ。」

アズパール王以下4人が頷く。

「カトランダ帝国とは密約があるとはいえそもそも口約束。

 なので総勢7000名の出陣となります。

 その場で停戦終結・・・いや。この場合はクリフ殿下に花を持たせるなら国境の確定をお願いする必要があるでしょうね。

 それは向こうの次期皇帝に来て貰い双方の次期王2人による戦果とするべきです。」

「ふむ・・・そこは我と皇帝でしようとも思っていたんだが・・・

 まぁとりあえず誰が行くかは今度だな。

 タケオ。続きを。」

アズパール王が頷く。

「はい。

 カトランダ帝国方面軍は締結後すぐにアシュトン子爵軍を除く4000名の移動を開始しなくてはいけません。

 対するウィリプ連合国方面軍はカトランダ帝国方面軍からの後詰、4000名の到着を待つ為に遅滞行動をする必要があります。

 移動に何日かかるか・・・まぁ1週間とします。

 開戦から1週間は最低でも12000名対5500名での戦いです。

 まぁ普通に戦えば簡単に負けますね。」

「まぁそうだな。

 アルダーソンが戦術を考案するんだったな。」

「・・・少数で同質の多数を倒すのは基本的に不可能です。それをする為には奇抜な事を考えるしかありません。

 が、戦術を考案する者は奇抜過ぎてはダメです。

 空から隕石が落ちて来るとか、精霊魔法師が10名で突貫するだとか・・・

 現実を見つめないといけません。」

「まぁ・・・そうだな。どれも空想でしかない。」

「想像と妄想の違いですね。

 さて・・・基本的にウィリプ連合国方面軍は防衛戦をしますが、相手が数字の上では(・・・・・・)圧倒的に多いとなっています。

 戦術の基本は多数で少数の相手と戦う事。

 ならこの12000名を相対する時には5000名もしくは2500名にする必要があるとなります。

 うちの戦術考察をするアンダーセンさんに聞いてみましょうか。

 対する敵を少なくする方法はなんでしょう?」

武雄がアンダーセンに聞いて来る。

「・・・んー・・・

 所長の今までの行動を鑑みると・・・」

「いや。別に私の行動を見ても参考にはならないと思いますが・・・」

武雄が呆れる。

「多数で少数に対する・・・つまりはこちら側からの攻撃個数を多く、向こうからの攻撃個数を少なくする・・・

 例えば戦場の幅を変えるのはどうでしょうか。

 向こうを狭くし、こちらを広くする事で攻撃の数を多くし、向こうからの攻撃の数を少なく出来るのではないでしょうか。」

「うん。1つ目の可能性ですね。」

アンダーセンの閃きに武雄がにこやかに頷く。

「つまり、アンダーセンさんの戦術はこうなります。」

武雄が紙に書き始める。

「関間の所を通常の戦闘地域と想定した場合。

 この関の中央に狭い通路を作製します。

 そしてこちら側からは通路の向こう側にはいかない。

 あくまで通路から出て来た相手(・・・・・・・・・・)半包囲して殲滅する(・・・・・・・・・)となります。

 こちらが多く向こうは通路の幅は決まっていますので数が限定される。

 来なければ来ないで遅延行動が出来るので時間稼ぎにもなる。

 有効な手段でしょう。」

武雄が書きながら楽しそうに頷く。

「・・・ふむ・・・だが通路か・・・

 事前にバレるな。そして他の所が突破される可能性がある。」

アズパール王が難しい顔をさせて言ってくる。

「でしょうね。

 そこをわからなくさせる方法を考えるのが戦略と具体的な戦術でしょう。

 それはここで考える事でも我々が考える事でもありません。

 もっと具体的な話になった際に向こうの皆さんで考えてください。

 では。マイヤーさんはどうでしょうか?」

「そうですね・・・アンダーセンの物を流用するとして・・・

 こちら側の関を利用するのはどうでしょうか。

 関の前に半径200mの広場を用意し、そこに至るまでの通路を細くするというのも手ではないでしょうか。」

「つまりマイヤー殿は開戦後一旦、関に退くのですね?」

ウィリアムが聞いて来る。

「はい。

 そもそもは援軍が到着し反攻作戦を開始するまでの防御期間となります。

 関周辺であれば簡単には越境出来ないようになっているでしょうし、追加工事も容易いのではないでしょうか。」

マイヤーが説明する。

「具体的な案ですね。

 関を利用するのは隠匿の方法として悪くはありませんね。

 施設工事でしかないですからね。ウィリプ連合国からは強化している程度にしか思われないでしょう。

 2つ目の案として有効だと思います。

 ウィリアム殿下はどうですか?」

「僕ですか?

 んー・・・あくまでウィリプ連合国方面軍は防御に徹している・・・

 あ。3000名を横に広げてさも5000名が居るように見せておいて、突撃してきた敵の横を2000名程度で突くというのはどうですか?」

ウィリアムが言ってくる。

「ふむ・・・相手が突撃して来た所を身を隠していた2000名が突如姿を現し突貫してくる。

 瞬間的に向こうは混乱をするでしょうね。

 上手く相手の鼻先もしくは薄い所を突き、自陣に戻れれば戦果は高いと言えます。

 3つ目の案として有効だと思います。

 ですが、序盤で相手が油断している最初の1回しか出来ない荒業です。

 参加する兵士の熟練度や士気に関わりますし、失敗すれば2000名は全滅する可能性がありますね。

 ・・・案としては良いですが、指揮官としては決断するのにかなりの勇気が必要と思います。」

「そうかぁ・・・良い案だと思ったんですけどね。」

ウィリアムが更に考える。

「いや。ウィリアム。策としては間違っていはいない。

 だが、2000名を指揮する指揮官の能力にも寄るだろうと思うな。

 皆を鼓舞し、突貫。

 犠牲が出るが立ち止まる事なく走り抜ける気概と皆が付いて行きたいと思わせるカリスマ性その両方を併せ持っていないと上手くは行かないと思うな。」

アズパール王が考えながら言ってくる。

「その能力があるのは貴族か王家ぐらいでしょう。

 ですが、大人数を擁する貴族がするかと言えば・・・しないと思うのが普通ですかね。

 なので突貫は王家がする羽目になるでしょうが、貴族達がニール殿下にその役をさせるとは思えません。」

武雄が言ってくる。

「他領の兵士達を従えさせるぐらいの能力持ちで行動力もあるのは現状ではアリスぐらいだ。」

「・・・否定は出来ませんね。」

アズパール王の言葉に武雄が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ