第1042話 風呂前。(王家の現状確認。)
第3皇子一家の執務室。
アズパール王とウィリアム、そして武雄とミアとマイヤーとアンダーセンがお茶をしている。
「主。パナに伝達終わりました。」
「はい。ご苦労様です。」
ミアが武雄に報告してくる。
「ふむ・・・向こうは順調なのだな?」
アズパール王が湯浴み場に行く支度済みでお茶を飲んでいる。
「・・・くだらない事を話しているみたいですから暗い雰囲気ではないのでしょう。
良い事です。」
武雄もお茶を飲みながら答える
「タケオさん。媚薬ってどんな話から始まったのでしょうね。」
ウィリアムが聞いて来る。
「・・・ウィリアムさん。そこは考えたら負けです。
それにエイミー殿下とエリカさん以外が率先して話を振って来ているのかもしれませんからね。」
「・・・レイラが話を振りそうですね。」
ウィリアムがガックリとする。
「・・・考えてたら負けです。」
「そ・・・そうですね。」
ウィリアムが頷く。
「これは・・・もう少し湯浴みに行く時間がかかりそうだな。
・・・タケオ。折り入ってお主の考えを聞きたい事があるんだがな。」
「・・・アランさん。なんですか?」
武雄が「貴族として言う気は無い」と牽制してくる。
「ふむ・・・ウィリプ連合国への侵攻だがな。
タケオはどこまでするべきだと思う?」
アズパール王が聞いてくる。ウィリアムは何も言わないでお茶を飲み始める。
マイヤーとアンダーセンも気にもしていない風を装う。
「・・・それは軍務局が方針を考えるべきで実際は一研が戦術を担当するべき事です。
西側の事に私が口を出す気はありませんが・・・まぁ湯浴み場が空くまでの軽口としてなら・・・少し考えます。」
武雄がお茶を飲みながら考える。
「ふむ・・・即答は出来ぬか・・・
我としては順当に言ってもウィリプ連合国のファルケ国の5割が占領出来るだろうと思っておる。」
「・・・5割も取れると考えますか。」
武雄が目線をお茶に落したまま答える。
「厳しいと思うか?」
「ニールさんには10000と言いましたが・・・私はアズパール王国侵攻時のウィリプ連合国の戦力を10000から12000と見ました。
ウィリプ連合国に面した貴族領での戦力はいくつですか?」
「・・・そんなにか・・・
現状は貴族領が2000名ずつでニールが500名の4500名体制。5年後までに5500名程度だろう。
ちなみに軍事行動計画において各貴族の増員数は最低500名と決まっている。」
「・・・ちなみにカトランダ帝国に対しては?」
「現状は貴族領がアシュトンが2000名で他が1500名ずつで5000名。
5年後までにクリフが居ない状態で6500名と見ている。
そして王都からは第1騎士団の500名がどちらかに派遣、クリフが連れて来て創設する第3騎士団と第2騎士団は王都常駐で計1000名。」
「・・・5年後は2方面合わせて王家を除けば12000ですか、帝国と上手く話を付けて即日転進するにしても国境警備も考えるなら動員出来るのはアシュトン子爵を除く4000名と考えられますよね。
となると初期対応は5500のまま。
実質ニールさんは出れないから5000名・・・支援で王都から500名、後詰で4000名・・・
私の同期のバビントン男爵はいくつと?」
「・・・領地持ちとして常駐1000名体制にするように言っているが、5年後に間に合うかはわからん。
王都の壁からの支援は今の所・・・誰か行くのかは未定だな。」
「行くのですか?」
武雄が真面目な顔で聞いて来る。
「・・・あいつらを行かせてどうなるのか・・・行っても言う事を聞くのかは微妙だな。
行くならニールの下に付かせるべきだろう。」
「・・・予備の予備ですね。
場を混乱させない人選をお願いするしかないでしょう。
それとカトランダ帝国がいくつ出て来ると考えていますか?」
「いつも対応している第2軍は4000名だ。
だが・・・戦略的にウィリプ連合国側のは来ないだろうが、第1軍の3000から4000名程度も来るだろう。
なので本格侵攻を装おうカトランダ帝国は8000名を揃えると考えられるな。」
アズパール王が考えながら言う。
「魔王国が通常5000名の獣人・・・侵攻時の最低が獣人6000名のオーガが550体、魔法師が1000名でしたかね。
確かオーガは兵士3、4人で対応するんでしたか?」
武雄が考えながら言う。
「・・・カトランダ帝国が8000名、ウィリプ連合国が12000名、魔王国が換算して10000名程度。
対してアズパール王国がカトランダ帝国方面が6500名、ウィリプ連合国方面が5500名、魔王国方面が5500名、中央に1500の騎士団と3500名の王都の壁・・・総数とするならアズパール王国は22500名。」
ウィリアムが紙に書きながら言ってくる。
マイヤーとアンダーセンは任務上知ってはいても現実を聞き、難しい顔をさせている。
「・・・そりゃ。ウィリプ連合国はカトランダ帝国と手を組んで侵攻したくなりはしますね。
アズパール王国は対1国なら何とかなる感じではないですから。」
武雄が呆れながら言ってくる。
「タケオ。そう言うな・・・これが国の最低限の国防力なのだからな。
ここから魔王国方面は敵も我らも除外するべきだろう。」
「そうですね。
今回は除外ですね。」
「さて・・・タケオ。どうする?」
アズパール王が聞いて来るのだった。
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