第1031話 第3皇子一家との話。2(お願いです。)
「そう言えば部下から王家や来客用に大きい湯浴み場があると聞いたのですが。」
武雄が目線を下げて聞く。
「あるわよ。」
「タケオさん。入りたい?」
アルマとレイラが同時に反応する。
「ええ。うちの部下が入りたいと言っているんですよ。
唯一の女性隊員ですし、苦労をかけていますからね。
なんとか希望は叶えて上げたいんですよね。」
「んー・・・いくら何でもタケオさんの依頼だけだと普通なら無理かな。」
レイラが考えながら言う。
「そうね。
夜会かお客様が来ないと使えない湯浴み場だし・・・
でも今日は入れる可能性はありますよ?」
アルマが言ってくる。
「入れるのですか?」
「ええ。今は2日に1回だけど私とレイラが入っているの。」
アルマが苦笑しながら言ってくる。
「王都で初めて生まれる孫の為に張り切っている方が居るんですよ。
その方が一言言ったらこうなっています。
なので、その後なら入れると思いますよ。」
エリカが言ってくる。
「なるほど。
それで構いません。
誰に交渉してくれば良いですか?」
「ん?・・・ん~・・・特には。
私達から言っておきますよ。
ただし・・・」
アルマが目を光らせる。
「何で部下の方が入りたいと言って来たのか・・・説明してくださいね?」
レイラが楽しそうに聞いて来るのだった。
・・
・
「・・・という訳で・・・
本人にそれとなく言って貰おうと・・・
それで湯浴み場で言う事にしたみたいで・・・
アルマ殿下とレイラ殿下なら何とかなるかなぁと思ってですね。
・・・聞いてみました。」
武雄が目の前のビエラとにらめっこしながら言っている。
「・・・」
ウィリアムは窓の外を見ている。
良い遠目です。
「・・・なるほどね。
タケオさんのやりたい事もわかったし、配慮もわかりました。」
アルマが淡々と言う。
「そうですね。
その女性隊員の苦労はわかりますね。
タケオさんの配慮も良いでしょう。」
レイラも頷く。
「・・・」
エリカは何も言わずに目を閉じている。
パイディアーは淡々とお茶を替えている。
「・・・」
武雄は説明が終わりグッタリしていた。
3人が禍々しい雰囲気を出しているのだ。
武雄が「え?ちょっと怖いんですけど」とか「妊婦ってこんなに怖かったけ?」とか「失敗したのかな?」とかいろいろ思っていたりする。
「はぁ・・・理由はわかりました。
大きい湯浴み場は問題なく使えるように手配しておきます。
今日の・・・19時くらいに来てください。
私達は18時に入りますので。」
エリカが言ってくる。
「あ。ついでに私達の方にパナ殿も来て貰って良いかしら?
湯浴みの入り方も見て貰いたいし。
洗い方も教わっておきたいわ。」
アルマも追加依頼をしてくる。
「はい・・・仰せのままに。」
武雄が頷くのだった。
「報告は受けていましたけど・・・タケオさんから言われると感情に来る物がありますね。
これが実際に見て来た者の言葉なのでしょうね。」
アルマが沈痛な顔をさせる。
「そうですね。
タケオさん。ドローレス国はそういった事が横行していると思いますか?」
レイラが言ってくる。
「正直な話。わかりません。
私が見て買ったベルテ一家が特殊な事例なのか。それともこれが普通なのか。
全体像は数日しか滞在していない私ではわかりません。
それに同じ様な条件下で奴隷売買を経験したジーナはああですし。
全員が全員強姦まがいの事をされているというわけではないという事は確かです。
それに・・・ん?」
武雄が首を傾げる。
「タケオさん。どうしました?」
「いえ・・・ふと思ったのですが・・・
娼婦という言葉がありますよね?」
「まぁ・・・歓楽街での女性陣達ね。
性的な商売というのは無くせないのが正直な所だから・・・警備局等々が店で酷い事になっていないかを監視はしていると聞いているし、病気には気を付けさせていると聞くけど・・・」
アルマが頷く。
「男娼・・・もあると思いませんか?」
「「「!?」」」
アルマとレイラとエリカが目を見開いている。
「タケオさん・・・どう思います?」
ウィリアムが真面目に聞いて来る。
「・・・いえ・・・女性があって男性は無いとは言えないのではないかと・・・
むしろ・・・こっちの方が質が悪い・・・いや。女性への強姦が良いというわけではありませんが。
強姦という行為自体が忌むべきですし、したいなら合法の娼婦街でするべきなのですけど・・・
男性を手籠めに・・・んー・・・」
武雄が悩む。
「じょ・・・女性が買うのかな?」
レイラが何を想像しているのか目が煌かせながら聞いて来る。
「・・・そうだと思います?」
武雄がレイラに目を向ける。
「え?・・・いや。おじさんと少年は・・・
その・・・いろいろやばいでしょ。」
レイラが何とも言えない顔をさせる。
「はぁ・・・奴隷として強姦を受けている可能性があるのは男女とも種別問わずという事が懸念されるね。
どちらにしても心の傷は大きいだろうね。」
ウィリアムが眉間に皺を寄せて言ってくる。
「ええ・・・エンマもフローラも明るいんです。
それが本当なのか私の前では取り繕っているのか。」
武雄が考える。
「・・・少しでも心の傷が癒えてくれれば良いんだけど。
こればっかりは本人達の考えと時間でしか解決が出来ないのかもしれないわね。」
アルマが難しい顔をさせる。
「ええ。
こればっかりは・・・今回のお風呂での確認も良い方向に行けば良いですね。」
エリカが言う。
「はい。
・・・では彼女たちは19時に湯浴み場と伝えますね。」
武雄が確認する。
「えーっと・・・タケオさんが連れている女性陣で良いの?」
「はい。
ブルックさんにアニータ、ビエラ、ボーナお母さんにエンマさんとフローラさんにアスセナさんですね。」
「何とかなりますね。」
エリカが名前を書きながら言う。
「・・・そんなに大きいのですか?」
武雄が聞いて来る。
「ええ。他国の使者にこれでもかと国力を見せつけるように出来てるのよ。
全然私達は使わせて貰えないんだけどね。
今回は特別だから。」
「そうなんですね。」
「・・・タケオさん。20時くらいは空いていますか?」
ウィリアムが聞いて来る。
「飲みます?」
「今日は湯浴み場に行きましょう。
最終組という事で。」
「あ。わかりました。
うちの男性陣はどうしますか?」
「そうですね・・・隊長格が2人居ましたね?」
「マイヤーさんとアンダーセンさんですね。」
「その2名にしましょう。
のんびり浸かりたいですし。」
「わかりました。」
武雄が頷くのだった。
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