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第1028話 129日目 新しい朝が来ちゃった。

武雄達は第八兵舎で朝食を取っていた。

朝食に参加しているのは武雄とミアとパナとビエラとベルテ一家とニルデとジルダとアスセナ。

試験小隊はアーキンとブルックとアニータとミルコだった。

他の家族持ちは一旦家に帰っている。


「・・・で。これが朝食と。」

武雄達の目の前に豪勢な食事が・・・パンも肉もパスタもスープも・・・夕飯レベルが並んでいた。

「キタミザト様!美味しいです!」

「美味ちい♪」

「美味っ♪美味っ♪」

「これは良いわぁ~」

「王都の食事って良いんですね!」

「これは良いですね。」

「あ。デザートもある!」

「主。オレンジが1個行方不明です!」

「美味しいぃ♪」

武雄が呆れているのを余所に皆はモリモリ食べていた。

「・・・うん。食べましょうかね。

 えーっと・・・ジャムで良いかなぁ。」

武雄が手が届きそうな物を取り始める。

「あ!キタミザト様!タンポポ茶。」

ニルデがポットを持って来る。

「はい。ありがとう。」

「はい!」

とすぐにニルデが席に戻って食事を再開させる。

武雄はのんびりと自分の食べる物を用意させるのだった。


朝食後。

「さてと。

 テーアさん。エットレさん。ファビオさん。

 改めて私との契約はこの朝食までですね。」

「「「はい。」」」

「なんでしょうね~・・・

 ま。私も年に何回かは王都に来ます。

 その際に様子でも伺いますから無下にはしないで欲しいですね。」

武雄が楽しそうに言う。

「無下になんてしません!」

「いつでも来てください!」

「ええ!」

3人が言ってくる。

「そうですか?

 まぁ・・・王都守備隊で過ごしていてその笑顔を続けば良いでしょうけどね~。

 最高峰の部隊・・・辛いらしいですよ。」

「「「うっ!」」」

「ふぅ。

 3人ともアズパール王国が取る政策の一端である『異種族雇用』。その土台としての採用です。

 その難題を勝手に押し付けているのはわかっています。

 ですが、私は貴方達3名は良い結果を我が国にもたらすと信じています。

 王都の結果が各領地に反映をされるでしょう。

 これから異種族雇用は大きく動くと思います。


 ・・・今後、数年内には苦難に苛まれている(・・・・・・・・・)同胞が雇用されるかもしれません。

 その時は貴方達が率先して心を癒して欲しいと思います。

 私達、アズパール王国の施政者達は奴隷という身分を見下してはいない・・・そう思ってはいます。

 ですが、何気ない言葉でも受け手はそうは思わないかもしれない。

 そもそも奴隷の気持ちをこの国の人間は本質的な所は理解は出来ていませんし、今後も出来ないでしょう。

 それは私も含めてです。

 奴隷という境遇を体験した者が発せる言葉の重みはありますし、後に続く者達も耳を傾ける可能性が高いでしょう。

 無自覚な差別はどうしてもある。

 それを念頭に置いて行動をしてください。

 この国の人達の多くは善良です。言葉がキツかったりはしますが、概ね害意はありません。

 大らかな気持ちで接してください。」

「「「はい。」」」

3人が頷く。

「では。3人は担当武官に挨拶に行きましょうか。

 荷物も持ってきてください。

 そのまま着任式になります。」

ブルックが促す。

「「「はい。」」」

3人が立ち上がり退出して行くのだった。

「所長。ブルック以下3名を伴い3名を送ってまいります。」

アーキンが武雄に言う。

「・・・うん。任せました。」

「はい。

 あとで所長もお迎えに参ります。」

アーキンとブルックとアニータとミルコが退出して行く。


残されたのはベルテ一家とニルデとジルダとアスセナ。

「・・・短い間でしたが、挨拶はこんな物でしょうかね?」

武雄がベルテ一家の方を向く。

「そうですね。

 大人ですし。」

「今生の別れではないですしね。」

「いつか会えそう。」

「会えそうというより会いに来そうだよね。」

エルフの長寿命組が言ってくる。

「25年だから会えるよね。」

「顔忘れそう。」

「そこは思い出してあげましょうね。」

ニルデとジルダもアスセナも気にしていないようだ。

「ま。良いか。」

武雄がお茶を淹れ直して飲む。

「さてと。ジッロさん。どうしますか?」

武雄が一口飲んだお茶を見ながら呟く。

「キタミザト様。

 私が王都で兵士をしたいと言った場合はここではないのですか?」

「それも良いんですけどね・・・

 王都守備隊は最高峰部隊。キツイらしいです。

 ジッロさんはそもそも兵士ではないのでそんな所に入れられません。

 なので・・・頼むなら治安関係の警備局とかにお願いする事になるでしょうね。」

「なるでしょうねって事は先方は・・・」

「知りませんね。

 ジッロさん。旅の途中で意思表明しなかったでしょう?

 なので頼んでいません。

 行くならこれから頼みに行きますよ。」

「そうなのですか・・・んー・・・」

ジッロが悩む。

「あ・・・文官もしてみたいというなら心当たりはありますよ。

 のちのちを考えると経済局に入って農業全般を見ても良いのかも。

 武官に拘る必要はないですよね!

 さぁ!したい事を言ってみなさい!

 好きな部署巡りをしましょう!」

武雄が楽しそうに言う。

その様子を「うわぁ。ジッロ。王都で就職決定じゃない?」とその場の面々が呆れるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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