第1027話 128日目 王都で報告会の後(スライムの事を王都とエルヴィス家で考えている。)
「「・・・」」
ドローレス国から連れて来た赤スライムを吸収した初雪と彩雲が情報の共有をしている。
「・・・タケオ。ラーラはシグレと同じくらいだと推測する。
というより向こうからそう言っている。」
初雪が彩雲から離れ武雄に言う。
「そうですか・・・
他には何と言っていますか?」
「『お互いに頑張ろう』という感じです。
向こうは向こうで生息域を確保する。
こちらはこちらで生息域を確保して欲しいと。
夕霧と同じ考えだと思う。スライムの固定生息地を作る気でいる。」
「彼女は建物内に居たのですけど・・・そこを生息地に?」
「食べ物と素体が豊富だから向こうは便利だそう。
これから協力者を募るような事を言っている。」
「・・・ドローレス国で・・・ですか。
周りが人間至上主義の人間達ですからね。
いろいろと大変そうではありますね。」
「あ?」
ビエラが武雄に不思議そうな顔を向ける。
「主。ビエラが『潰す?』と聞いていますけど。」
「・・・潰す潰さないは私からすればアズパール王国の意思によるでしょうね。
私はどうのこうの言う気はありませんよ。
王都のさっきの部屋にいた方々で考えれば良い事です。
それにビエラ。ビエラ達が率先して潰したらその国をビエラが統治する羽目になりますけど。
他者を従えさせたいのですか?」
「あ~?・・・嫌。」
ビエラが凄く嫌そうな顔をさせる。
「・・・ビエラ。『他者の面倒を見るなんてかなり面倒だから嫌』って・・・ほんとドラゴンは他者に関心がないですね。」
「あ~?」
「確かに主の料理は美味しいですよ。
クゥもそうですが、ビエラまで主の料理を食べに来るのですか?」
「はい。そうです。
あ~?」
「いや。『そのためには仕事するし、いろいろ従うよ』と言っていてくれるのは良いんですけど・・・
主。良いのですか?」
ミアが困った顔をさせながら武雄に聞いてくる。
「問題は無いでしょう。
美味しい物を食べたいから仕事をするというのも間違いではありません。
ビエラにも前に言いましたが、我慢する所は我慢して、お金を稼いで楽しく過ごせれば良いです。
仕事ではしっかりとして貰いますが、無理な要求をするつもりはありません。
やれることを確認してそれをしながら住んで貰えれば良いです。
それでも違うなと言うなら違う地に行くしかないでしょう。」
「あ~。」
ビエラが「とりあえず社会見学だね」とお気楽に考えているのだった。
「で。タケオ。
ラーラに返答はする?」
初雪が聞いて来る。
「そうですね・・・情報網としては欲しいとは思いますが・・・
いかんせん遠いですね。
彩雲。」
「はっ!」
「明日にでもニール殿下領・・・わかりますか?」
「・・・大きな街でしょうか。
関に行くまでにあった最大の街ならわかります。
あそこなら往復1日で出来ます。
明日の朝発てば夕方には戻ってこれます。」
「そこで良いでしょう。
そこの城門近くからスライムを数十体を放しなさい。
街道沿いを行かせ、関を通ってドローレス国まで行けばラーラなら見つけるでしょう。」
「何と返事を?」
「壮健であれと伝えれば良いでしょう。
明日の朝一で残飯を持ってきます。」
「わかりました。」
彩雲が頷く。
「で、これ。」
初雪が指をさす先にスライムが居た。
「・・・この地のスライムですか。
取り込みましたか?」
「まだ。
タケオが来てからと思っていたから・・・どうする?」
初雪が首を傾げる。
「どうもこうも・・・
確認ですけど、スライムの情報では初雪や彩雲に攻撃は出来ないのでしたよね?」
「うん。」
「そうです。」
2人が頷く。
「・・・なら初雪、彩雲。取り込んで向こうの意思を確認しなさい。」
「「・・・」」
初雪と彩雲がスライムを取り込み、すぐに情報の共有を始める。
「・・・タケオ。終わった。」
初雪が言ってくる。
「さて、この地のスライムはどう言っていますか?」
「下に付くと言っている。
だけど姿が狼っぽい。」
「ぽい?」
「伯爵の所とは姿が似ている。でも一緒ではない。」
「・・・狼・・・似ている。
明日にでもマイヤーさん達に聞いてみましょう。」
「わかった。
いつ会う?」
「・・・明日でも良いですけど・・・初雪何かありますか?」
「明後日まで待って欲しい。」
「何かありますか?」
「ユウギリがこっちに向かっている。」
「・・・それは初耳ですね。」
武雄が考えながら言ってくる。
「さっき受け取ったスライムからの情報。
こっちのスライムが向こうに着いたのを確認したユウギリがすぐに動いた。
通路を通って到着は明後日の昼過ぎ。」
初雪が説明をする。
「・・・それはエルヴィス伯爵は知っているのですかね?」
「知らない。
シグレに伝言は言っているみたい。」
「・・・まぁ良いです。
なら会うのは明後日の夜としましょう。
初雪。先方に連絡を。
会う場所は任せます。この王都の近くであれば出向くと伝えてください。」
「わかった。
伝える。」
初雪が頷くのだった。
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エルヴィス伯爵邸。
「ふむ・・・時雨もなかなかに上手いの。」
「ふふん。任せてくれっス。
日々上達中っスよ。」
エルヴィス爺さんと時雨が夕飯後のティータイムを将棋をしながら楽しんでいる。
「そう言えば最近夕霧を見んが・・・どうしておるのじゃ?」
「確認してくるって言っていたっス。
戻りは4日か5日と言っているからその間は私だけっス。」
「そうか・・・確かに初雪が王都に行っているからの。
関とかを確認に行くことも必要じゃの。」
「・・・まぁそうっスね。」
「ふむ。
ここはどうじゃ。」
「ふふん。それは4日前の手っスよ。
伯爵負ける気っスか?」
「なぬ!?
ちょっと戻そうかの。
・・・ここがこうじゃから・・・」
エルヴィス爺さんが手を戻し考え始めるのだった。
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