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第1019話 王都で報告会。4(ドローレス国の奴隷とは。)

「・・・王城の食事事情は吟味するからな。」

アズパール王が考え込んでいる。

「はぁ・・・今でも十分美味しくなったのですけどね。

 キタミザト殿。続きをお願いします。」

オルコットが武雄に続きを促す。

「はい。

 3名の入手をして王都向けの仕事は終わりになりました。

 ですのでここからは私が個人的に雇った者達の話をします。」

「うむ。」

アズパール王が頷く。

「まずは子供が2名ですね。

 ニルデとジルダと言い雇いました。

 この2名は・・・共に獣人と思われます。」

「思われる?」

アズパール王が聞いて来る。

「はい。

 ドローレス国の極貧層の居住地区(スラム街)で出会いました。

出自については捨て子の為、パナが確認した程度の内容です。

 『2人とも獣人と思われる』です。」

「・・・やはり向こうにもあるのだな。」

アズパール王が難しい顔をさせる。

「陛下。

 アズパール王国のスラム街とは違います。

 2から3街区程度ではありますが、かなり危ないと思われます。」

外交局長が言ってくる。

「そうなのか?」

「はい。

 捨て子。犯罪者。身寄りのない者が住む街区となるのですが・・・

 主殺しをした奴隷も含まれるとの報告は受けています。」

「・・・奴隷の首輪があっても主人を殺すか・・・

 実力もあって強かな者のようだな。」

外交局長の言葉にアズパール王が考えている。

「そうですね。

 そこで拾われ育てられ生き残った(・・・・・)子供です。」

武雄が付け足す。

「ふむ。

 それでタケオが雇用した理由はなんだ?」

「新しいお茶をこの子達は作れます。」

「麦茶とは違うのか?」

「違いますね。

 とある植物の根を乾燥させて焙煎した物になります。」

「とある?なぜ言わない?」

「いや。キタミザト家(うち)の産業にしたいですから。

 他の方面で作らない事を条件に言っても良いですけどね。」

「ん~・・・どうするかなぁ・・・

 なら25年間は手を出さないとするぞ?」

「ふむ・・・

 専売局長。どうしますか?」

武雄が文官達が座る方を見る。

「陛下が25年と言うのであれば我々も乗り出さないと明言しておきましょう。

 それにそもそも現在のお茶に取って代わるとは思えませんし。」

「わかりました。

 それはタンポポです。」

「「タンポポ!?」」

皆が驚く。

「ええ。まぁ癖はありますが、私やパナは好んで飲んでいます。

 なのでエルヴィス領で少量ずつ生産して行こうかと思っています。

 興味のある方は取り寄せてください。」

「キタミザト殿。

 確か草の根はかなり危ないと言われていたと思うのですが、大丈夫でしょうか。」

オルコットが聞いて来る。

「タンポポに行きつくのに相当体と命を張ったという事はお聞きしています。

 ですが癖はありますが、後遺症は・・・あ。利尿作用はありましたね。」

「利尿作用?」

「トイレが近くなります。

 飲酒してから寝る前に飲むと良い歳して朝恥ずかしい事になる危険性があります。」

「・・・取り寄せましょうかね。」

オルコットが呟く。

「陰謀に使わないでください。

 それと茶葉を使わないので妊婦も飲めますよ。」

「買います!」

ウィリアムが言ってくる。

皆がクスクス笑う。

「あぁ~・・・ウィリアム殿下。落ち着いてください。

 そんなわけでとりあえず作付けする為に2名を雇いました。」

「なるほどな。

 タケオ。明日飲ませて貰おう。」

「わかりました。

 用意はします。」

アズパール王が「よろしく」という目を武雄に向ける。


「あとは・・・ベルテ一家ですね。」

「ふむ。そこに居るエルフだな。」

アズパール王がエンマを見ると他の面々も一斉にエンマを見てエンマが体を硬直させる。

ブルックが声をかけながら軽く背中をさすって和らげている。

「ええ。

 彼女はエンマ・ベルテと言います。

 ベルテ一家は5人家族で両親と長男と長女、次女の構成です。

 今回は長女のエンマを連れて来ました。

 ですが、とりあえずドローレス国の話を進めます。」

「わかった。」

アズパール王が頷く。


「奴隷商組合でこちらの要求を言い、向こうが準備している間にドローレス国特有の面白い物は無いか聞いた所、闘技場が勧められました。」

「ふむ・・・闘技場か・・・

 ウィリプ連合国の報告書で知ってはいたが・・・どうだった?」

「個人の意見としては魔物とは言え所詮は見世物でしかありません。

 確かに勝負をさせていますが・・・誰かが書いたシナリオ通りに進んでいるようにしか見えませんでした。

 見ていて気分が悪かったです。」

「そうか。

 施政者として問おうか。

 闘技場はどうであった?」

「・・・命のやり取りを見せるのが娯楽として集客が望める方法であるのは認めざるを得ません。

 賭けや裏稼業も関わっている事もあって闘技場は盛況でした。

 街の産業としての地位は十分にあると言えます。

 また、奴隷商の展示販売という側面もあると伺っています。

 『稼ぐ奴隷はなかなか手放さないですよ』とは言われました。

 強い奴隷が欲しいと願うなら実際に見て決めたいというのも購入者としては本音の部分かと思います。」

「ふむ・・・見本市ならぬ戦闘展示か・・・」

「はい。

 そんな中、ベルテ一家は闘技場で剣闘士をしていました。」

「はっ!?」

アズパール王が聞き返してエンマを見る。

その顔は「おいおい。どう見ても戦闘に耐えられない体付きだろう」と言っている。

「確か『反逆のエルフ一家』でしたかね。」

「物騒な文言だな。」

「・・・そうですね。」

武雄が目線を落として頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 横から失礼します。 タケオ = ゼロ竹 さんに代わり、コメントします。 ダンディ茶 = たんぽぽ茶 に関しては、   第1019話 王都で報告会。4(ドローレス国の奴隷とは。)にて …
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