第1015話 武雄達の夕食。(労いと会議の予想。)
武雄達は一堂に会して夕食を取っていた。
「はぁ~♪」
「何これ!美味しい♪」
「あ~。おいち♪」
「くぅ~!試験小隊はやっぱり良いなぁ。」
「やべぇ・・・これは家族に報告しないと・・・」
「うん♪うん♪」
「あ~これだよぉ。
この味だよぉ~。」
武雄達の食べているのは料理長が持って来た夕飯。
今日はトリカツ(タルタルソースとウスターソースはお好みで)とマカロニサラダとパンと海老出汁のスープとデザートに小さいプリンとゼリーだった。
「所長!ありがとうございます!」
ブルックが大喜びだ。
「ははは。
王都からの労いと思ってしっかり!残さず!食べましょうね。」
「「はーい。」」
皆が「残す訳ない!」という顔をさせながら返事をしている。
「タケオ。」
武雄の横に座る初雪が武雄の服をちょいちょいと引っ張る。
「どうしました。
あぁ。わかりました。」
武雄は初雪がトリカツに手を付けていないのを確認し、一口大に切って行く。
「ありがと。」
初雪が何事もなかったかのように食事を始める。
フォークを使い1つ1つゆっくり食べて行く。
「あー!」
初雪の隣に座っているビエラが武雄を睨んでいる。
「主。『なぜハツユキだけ特別!?』とビエラが怒っていますよ。」
ミアが武雄の前に座ってリンゴを食べながら通訳をしてくる。
「・・・なぜに張り合いますかね?
ビエラは人間社会で生活したいのでしょう?
それにナイフとフォークは旅先で出来ていたではないですか。
自分で切りなさい。」
「あー・・・あ!マイヤー。」
ビエラが隣に座っていたマイヤーの方を見て期待している目を向ける。
「所長・・・」
「しょうがないですね。」
マイヤーのどうしよう感を武雄はヤレヤレと見ている。
何とも騒々しくも楽しい夕飯になった。
・・
・
夕食後のティータイム。
食器は下げられ皆の前にはお茶が出されている。
「さてと。マイヤーさん。アーキンさん。旅のまとめありがとうございます。
この後の会議に使いますからね。」
武雄が皆を前に言う。
「所長。やはり招集されましたか。」
マイヤーが聞いて来る。
「ええ。先ほど総監局に寄ったら『今からご連絡に行こうとしていました』と言われましてね。
晩課の鐘で18時に集合だそうです。」
武雄が「蕎麦屋の出前かっての」とヤレヤレとしている。
「18時・・・懐中時計での時間指定がされたのですか。」
マイヤーが驚いている。
「これは大儲けの予感です。」
武雄が悪い顔をさせている。
「所長・・・そうではないですよ。」
「ふふん。ステノ技研に増産の要請はした方が良いのかな?」
「いや。総監局が言い出したという事は・・・全局から依頼されているかもしれません。
ここで出資者から増産の要請でもあれば工房の者達は気が狂うのではないですか?」
「・・・エルヴィス家にお願いして様子を見に行って貰います。
あと無理はするなという事と品質重視を伝えて貰うようお願いしなくてはいけませんね。」
「そうですね。
で。誰が随行しますか?」
「アーキンさん。ブルックさん。初雪。ビエラ。・・・そしてエンマさん。」
「私ですか!?」
エンマはいきなり自分の名前が出て驚く。
「理由は・・・エンマさん。わかるでしょう?
たぶんあのことは報告しなくてはいけません。
もちろんエンマさんが居なくても話せるでしょう。
ですが、今後の行動指針がかかった会議です。
印象を付けることに利用させて貰います。
これはお願いではなく貴女の主としての命令です。」
「はぃ・・・」
エンマが下を向く。
「と言ってもエンマさんに話せとは言っていませんからね。
座っていてください。」
「え?・・・座って?」
「はい。私とパナが説明すれば良い事です。
エンマさんは座って俯いていれば良いですよ。
それだけで効果があります。」
「本当に座っているだけで良いのですか?」
「ええ。十分です。
ベルテ一家は美男美女揃いですからね。」
武雄の言葉にその場の面々が頷く。
「所長。大丈夫ですか?」
ブルックが言う。
「ふむ・・・エンマさんがダメそうならブルックさん。魔法で寝かせてください。」
「わかりました。
スリープを短時間かけます。」
ブルックが頷く。
「アーキンさんは私の代わりに黒板に書く役をブルックさんは書記。
初雪は全体を見て覚えておきなさい。
あとでブルックさんの報告書と照らし合わせて会議室内の様子を確認します。」
「「「はい。」」」
アーキンとブルックと初雪は返事をする。
「あ~?」
「主。ビエラが『何か役割はないのか』聞いていますよ。」
「ビエラとエンマさんには特にないですね。
この国の幹部が一堂に会します。
人生経験の為に見なさい。」
「あ~♪」
「はい。」
ビエラとエンマが頷く。
「ベルテ一家とニルデとジルダ、アスセナさんはのんびり寝ていなさい。
外出は禁止。わかりましたか?」
「「はい。」」
農業組が頷く。
「試験小隊の出張は終了。
アンダーセンさん。半数は第八兵舎でもう半数は帰宅で良いです。
人選は任せます。
アニータとミルコの面倒もよろしく。あと残る組に彩雲は任せます。」
「はっ!了解しました。」
アンダーセンが頷く。
「テーアさん。エットレさん。ファビオさん。
旅路ご苦労様でした。
一応明日王都に着任して貰う手はずになっています。
たぶん今日の会議で話題になるのでいろいろと注目はされるでしょう。
今日ぐらいはのんびりと休んでください。」
「「「はっ!」」」
3人が頭を下げる。
「では。会議に行く者は湯浴みをする事。
初雪と彩雲は情報の共有をしなさい。
以後、戻るまでの指揮権はマイヤーさん。
あ。王都守備隊への警備要請や朝食の時間等々確認事はよろしくお願いします。」
「畏まりました。」
マイヤーが頷く。
「さて。湯浴みに行って着替えるか。」
武雄が席を立つのだった。
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