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第1014話 武雄が王城内をウロウロ。(武雄の散歩とマイヤーとブルックの雑談。)

武雄がアズパール王の執務室の扉の所まで来ていたのだが。

「そうですか。

 わかりました。無事帰国した旨の報告だけですのでまた出直します。」

「はっ!

 申し訳ございません。」

警備兵が頭を下げる。

武雄が踵を返して元来た通路を戻っていく。


武雄は総長との会話後、「陛下には挨拶しないとダメだよね」と挨拶に来たのだが、現在夕食後の会議に向け仮眠中との事で緊急ではないので挨拶は明日に来ることにしていた。

次に向かうのは・・・


武雄は第3皇子一家の執務室に来ていた。

「タケオさん。ウィリアムは仮眠していますよ。」

ソファに座った武雄の対面にアルマが座り言ってくる。

「すみません。

 夕食前に。」

「タケオさんなら気にしないわよ。」

「いつでも来て貰って良いからね。」

アルマもレイラも気楽に言ってくる。

「とりあえず・・・パナ。」

「はい。」

武雄の言葉にパナがポケットから出て人間大になり武雄の横に立つ。

「アルマさんとレイラさんの調子を見てください。」

「わかりました。」

パナが2人に近寄る。

「パナ殿にいろいろ聞きたかったのよ。

 こっちに座って。」

「はい。わかりました。」

パナとアルマとレイラが話を始める。


「タケオさんも大変ですね。」

エリカが自分の席に座りながら言う。

「仕事ですからね。

 エリカさんは順調ですか?」

「はい。

 助言ありがとうございました。

 殿下方にも相談して何とかなりそうです。」

エリカが苦笑する。

「その顔なら平気ですかね。」

「・・・タケオさん。私そんなに酷かったですか?」

「はい。」

武雄が即答する。

「・・・」

エリカが目を瞑り、難しい顔をさせる。

「パイディアーが居ませんけど・・・」

武雄が室内を見回して言う。

「パイディアーは庭師と打ち合わせをしています。

 もうすぐ帰って来ると思います。」

「・・・庭師?」

「ええ。

 パイディアーは思う所があるようで木々の植え替えや新たに植える花を指導していますね。」

「次に来る時には雰囲気が変わっているのでしょうかね。」

「楽しみに待っていてください。

 と。そうだ。

 タケオさん。会議は大丈夫なのですか?」

エリカが聞いて来る。

「え?・・・何がですか?」

「今日の議題が確かタケオさんの出張報告だったと・・・」

「参加するようにとは聞いていませんが。」

「そうなのですか?

 参加者が書かれている所に王家、王都に居る貴族全てに各局長とありましたので、タケオさんにも声がかかっていると思っていたのですけど。」

「・・・戻る前に聞きに行ってきます。」

「そうですね。

 あ。こちらには概要は来ていますけど見ますか?」

「・・・はい。

 拝見します。」

武雄がエリカから概要書を貰い中を確認するのだった。


------------------------

第八兵舎。

「えーっと・・・この内容は本当ですか?」

ブルックがマイヤーの報告書の数枚を見終わり聞いて来る。

「あぁ。

 毎日少しずつ書いていたんだがな。」

マイヤーが今日の報告書を書きながら言ってくる。

アーキンはと言うとブルックが読んだ報告書を受け取り、新たにまとめて報告書を書いていた。

「アーキン。すまんな。」

「いえ。所長とマイヤー殿が総長に挨拶に行った際に今日の会議の出席(・・・・・・・・)をほのめかしていたと感じたという事は、もしかしたらこの後招集がかけられるかもしれないという懸念はわかります。

 もしもの際は少しでもまとめておかないと所長が困りますからね。」

「あぁ。気のせいだとは思いたいんだが・・・万が一がある。

 あいつらは今書いているが・・・あっちは気にしなくて良い。」

マイヤーが部屋の隅で今回の出張に同行した4名が必死に書いているのを横目で見ながら言う。


アンダーセンはというと「まだですか?」と催促を数回していたりする。

4名は「やってるって!」と怒りながら書いている。


「わかりました。」

アーキンが脇目も振らずに報告書を元に行程とマイヤーが気になった出来事を箇条書きにしていく。

「ほんと。

 各分隊の副官達なのに・・・報告書を今書くのね。」

ブルックが呆れている。

「まぁ。いろいろとあったのは確かだし、まとめて書いても良い事だからな。

 私ももう歳で覚えていられないんだよ。」

マイヤーが苦笑する。

「何を言っているんですか。

 最年長はベイノン殿で50歳ですよ。

 それに比べれば若いですって。」

「ブルック。若いってのは良いな。」

「いきなり年寄りみたいな事を言わないでくださいよ。

 4月から息子さんがどっちか入るのでしょう?

 まだまだ働かないと。」

「・・・そうだった・・・話し合いをしなくちゃいけないな。」

マイヤーが書くのを止めて背もたれに体重を預けて腕を組む。

「何か方策があるのですか?」

「いや。そう言った事はないんだがな。

 今回の旅で・・・ブルック。スズネ殿が弾いていたヴァイオリンは覚えているか?」

「はい。

 向こうの街に着いてからも弾いていますね。」

「あれの類似品を所長は買って来て、今度ニール殿下領で支店を出させる運びになったんだ。」

「えーっと・・・さっきの報告書にありましたよね。

 これか。」

ブルックがアーキンが書いている報告書一式の中から報告書を見つける。

「・・・確かに工房を出すからニール殿下にお願いしようという事になって。

 えーっと・・・こっちの報告書でクリナ殿下と精霊のカリス殿が工房を探すという事になった。

 これですね。」

ブルックがアーキンの横に報告書を元通りの順にしてから置く。

「あぁ。

 それな。もしかしたら産業になるかもしれないと思ってな。」

「そんなに良かったのですか?」

「ふむ・・・一家に一挺とはいかないが、豪族や貴族は買いそうな気がする。

 というより所長が企んでいる節がある。

 それに呼応してニール殿下がクリナ殿下とアン殿下にさせる気になっていてな。」

「・・・となると王家の子弟がするならと買う者が現れるという事ですね。

 そこに息子さんを?」

「いや。入る入らないは別として、新しい物が入って来た事は伝えようと思う。

 この国ではそのヴァイオリンの製作や調整をする技術者がそもそもいないからな。

 ま。最低でも王立学院には入って貰うが・・・のちのち弟子に入るならここが良いのではないかとな。

 国全体を見た時に西のニール殿下領と東のエルヴィス領で1つずつ工房があっても良いと思ったんだ。」

マイヤーが考えながら言う。

「最低でも王立学院ですか、恵まれていますね~。」

「ブルックは入りたかったか?」

「私ですか?

 勘弁してください。王家や貴族、豪族の子息に囲まれての生活なんか楽しいと思いませんよ。

 私は魔法師専門学院で十分です。」

「ま。そうだな。

 私もそう思う。」

マイヤーが頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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