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第1011話 第八兵舎での挨拶とエルヴィス家の午後。1(・・・スミス頑張れ。)

武雄達は無事に第八兵舎に到着していた。

武雄とマイヤーは皆の面倒はアンダーセンに任せ総長に挨拶に行き、応接室に通された。

3人とも初対面ではないのでリラックスさせながら話を始めていた。


「総長。押しかけてしまってすみません。」

「いえ!二研殿。こちらこそ頼って頂いて嬉しい限りです。

 華美な物はありませんが、気兼ねなく過ごして頂きたい。」

「ありがとうございます。

 お言葉に甘えさせて頂きます。」

武雄が頭を下げる。

「夕飯まで時間が・・・ん?」

と、応接室の扉がノックされ総長が許可を出すと、秘書官が入って来て総長にメモを渡し退出していった。

「緊急ですか?」

武雄が聞いて来る。

「いや。オルコット宰相からですね。

 キタミザト殿ご一行の食事は総監局が見るとの事です。」

「皆様に気を使って頂いてありがたい限りです。」

「皆がキタミザト殿に期待している現れでしょう。」

「期待に応えていれば良いですがね。

 総長。それで相談があるのですが・・・」

「はい。何でしょうか。」

「実はですね。

 依頼されていた兵士なのですが。」

「はい。」

総長が覚悟を決めた顔をさせて頷く。

「3名買ったのですが、費用が足りませんでした。」

「はい?」

総長が「何か違う」と思い始める。

「金貨300枚を頂いたのですが、購入費用だけでも金貨345枚、衣服や装備品でさらに・・・」

武雄がすまなそうな顔をさせる。

「あ~・・・大丈夫ですよ。

 請求書を頂ければお支払いたします。」

総長が「金銭を先に話すのは当然か」と考える。

「あ♪ありがとうございます。」

武雄がパッと表情を明るくさせて感謝を述べる。

「では、総長。3名はいつ契約移行をさせますか?」

「あ・・・キタミザト殿。夕食後に会議があるので、明日には移行が出来るかと思います。」

「わかりました。

 誰が参加するのですか?」

「王家、王都に居る貴族全てに各局長ですね。」

「・・・夕食後に会議があるのでしたら、王家への挨拶はすぐにした方が良いですかね。」

「そうですね。

 挨拶に行かれている間に夕食の用意はしておきます。」

「わかりました。

 よろしくお願いします。」

武雄は頭を下げるのだった。


------------------------

エルヴィス家の騎士団詰め所の横には専用のグラウンド・・・訓練場にて。

「はぁぁぁ!」

「せやぁぁ!」

木剣が打ち合わされていた。

一方は旅装束のアリス。一方は短パンに胸元に「じーな」と書かれた布が縫い付けられたTシャツを着ているジーナ。

もう組手をし始めて数度打ち合っている。


「・・・疲れた。」

少し離れた所でスミスが木剣を杖代わりにして項垂れていた。

「主。まだ出来るでしょう。

 さ。構えて。」

マリが普通に続きを促してくる。

怒号でも激励でもなく「おはよう」の挨拶と同じくらい普通に。

スミスはジト目をさせて抗議しているが、マリに通用する訳もなく無視される。

「はぁ・・・タケオ様から当主は武力で一番になる必要はないと言われたんですけど・・・

 マリ。どう思いますか?」

「その通りでしょう。

 無理して一番になる必要はありません。」

「ないんだね?

 なら剣技・・・剣術を習う必要はないよね?」

「・・・一番になる必要はありませんが、最低限の剣術は身に付けていた方が良いでしょう。」

「・・・そうなのかぁ・・・」

スミスがガックリとする。

「そうです。

 例えばジーナが敵の先方を足止めしていて主が逃げるにしても、逃げた先に敵がいるかもしれない。

 ならその敵を倒さなくてはいけません。」

「確かに・・・確かに・・・無理!」

スミスがマリを睨む。

「某を睨んでどうします。

 それは敵に対してしてください。

 あっちの2人に比べれば優しくしていますよ。」

お姉様とジーナ(規格外)を基準に考えないでください。

 僕は平凡で平均です。」

「なら一歩上に行きましょう。

 平均以上で。」

「・・・僕って恵まれているんですよね。」

「ええ。

 主の周りには精霊がこんなに居て、そして某が付いているんですからね。

 個人として武力系の精霊が付いているのは恵まれています。

 そしてお付として同行するのは、種族の中でも最上位の若者で将来有望な人材。

 知識、機転、柔軟性、体力、気力、武力、容姿、忠誠心・・・その全てが高く、従えている精霊は防御が完璧。

 そんなジーナを従えられるなんて、そこら辺の貴族や王家の子弟では出来ないでしょう。」

「・・・それを部下に採用している人がいるのですけど。」

「タケオは運がとても良い。

 それに、ここに居る精霊のだれもが付こうと思いかねない人物でしょう。」

「どういう事?」

「タケオは楽しそうなんです。

 自身の能力が下げられても付いて行きたくなる何かがあるのです。」

「・・・マリも?」

「・・・タケオと組むのも楽しそうではありますが、今は目の前のいろいろと足らない主を鍛えるのが楽しいですね。」

「・・・」

スミスが「誘導に失敗した」という顔をさせる。

「さて。主。休憩は終わりです。」

「はぃ・・・」

スミスがノロノロと立ち上がるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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