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第1007話 127日目 ベルテ一家の会議。(ベルテ一家の品種改良会議と初雪の初任務。)

ベルテ一家やニルデ達農業部門の関係者は一部屋に集まって会議をしていた。

「ん~・・・品種改良かぁ。」

「貴方。あれね。たぶんキタミザト様は私達に普通の農家をさせる気はないのね。」

ドナートが悩んでいる横でボーナが言ってくる。

「品種はそもそも村単位か国の機関で管理していくと思っていたんだが・・・それに作付けをする方針は村単位で決めるんだよな。」

「そうね。

 よその地域で良い品種が出来たからこっちでもしてみようと村長が国の文官に持ち掛けられていたわよね。」

「そうなの?」

「知らなかった。」

「大人たちの会合でだからな。

 それを一農家でかぁ・・・」

「貴方出来ると思う?」

「一般に売らない事が前提だな。

 作付けする面積も限度があるし主目的は米の作付け、その合間で出来る品種改良・・・

 たぶん1品種もしくは2品種ぐらいしか出来ないと思う。」

「1品種作るのにどのくらいかかるのかしらね。」

「早くて数年。最悪は数十年。」

「そんなに?

 どうやってするの。」

フローラが聞いてくる。

「確かブリアーニ王国でしていたのはかけ合わせね。

 例えば発育が早い品種と病気に強い品種を交互に畑に植えて交配させていく。

 そこで出来た品質の良い物を選定してさらにかけ合わせて行くだったかしら。」

ボーナが考えながら言う。

「・・・上手く行くのかな?」

「そこは天候やかけ合わせる品種による運だな。

 それにこれをやるにはそもそもの品種の特性がわかっていないといけない。

 ・・・他の地域で栽培されている物が失敗は少ないだろうし、いろいろと試せるだろうか。」

「他の地域で根付いていたらそもそも新しいのを作っても売れないんじゃないの?」

「そうとも言えないわね。

 需要がある物を多く生産する事が農家にとっては大事な事よ。

 なのでキタミザト様も言っていたけど、今よりも甘いジャガイモとか子ジャガイモが多く付くジャガイモとか品質をあげるか収穫量を上げるか出来た場合、収入増につながる。

 そうすれば今のジャガイモよりもこの種イモを皆が買うという事になるの。」

「んん~・・・でもジャガイモだと真似されない?

 子ジャガイモを親ジャガイモにすれば良いんだから・・・すぐに売れなくなるよ?」

「そこなんだよなぁ。

 キタミザト様の言うジャガイモはわかりやすくてやりやすい反面、次年度から売れなくなる可能性がある。

 だが、種子が取り辛い物をしても良い結果が得られるとはジャガイモ程言えない。」

「なるほどね~。

 米を作りながらだと水と雑草取り以外ではあまり手がかからないのが良いなぁ。」

「そうだね。

 あ。ニルデとジルダのタンポポ畑はどうだろう?」

「そうだなぁ。

 普通のタンポポで良いという事だから種の飛散防止策を考えれば良いと思うな。

 少し背の高い木々で囲めば良いだろうが・・・あ・・・そう言えば魔王国に紅の木があったな。」

「あ~・・・やってみたけどダメだった奴だね。」

「あれ手が傷付いて不人気だったよね。」

ドナートが発した言葉にエンマとフローラが微妙な顔をさせる。

「どちらにしてもどんな作物を品種改良するかは考えておかないと向こうで資料すら用意が出来ないからという事なんだろう。」

「貴方。どうする?」

「もう少し考えよう。

 この国の王都に行くんだ。穀物問屋や店先でどんな物が出回っているかにも依るだろう。」

「じゃあ王都でいろいろ見ないといけないんだね。」

「そうね。

 それとニルデもジルダもお茶の調査は必要かもしれないわ。

 お茶がどんな売り方をされているか。

 タンポポ茶も倣わないとね。」

「わかった!売り方だね!」

「調査頑張る!」

ニルデとジルダが元気な返事をするのだった。


------------------------

王都守備隊 第八兵舎。

「増えてるし・・・」

夕食を食べ終わり戻って来たブルックが室内のスライムを見て呟いていた。

四隅にあるのは良いとして中央部にスライムが6体が鎮座している。

「今日の鍋もなかなか栄養素が高い。

 あれは良い。また食べさせてほしい」

初雪は夕食の感想をスライムを無視してブルックの後で頷いている。

「初雪殿。夕食の感想は後で聞きますから。

 まずは確認をしてください。」

「はい。」

アーキンに促されて初雪が部屋の中のスライムに近寄って行く。

「・・・」

初雪は3体以外のスライムを吸収し、軽く目を閉じるがすぐに目を開け首を傾げる。

「初雪殿。わかりましたか?」

「たぶん・・・狼に擬態している・・・かな?」

「たぶんなのですか?」

「伯爵の所の東の森に居た狼と何かが違う。

 姿はほぼ一緒・・でも違う。」

初雪が首を傾げている。

「とりあえず所長が来るまでは接触はしない方が良いでしょうね。」

「わかった。

 なら通路は塞ぐ方が安全。

 ・・・アーキン。ブルック。ファイア使える?」

「ええ。出来ますが・・・何をしますか?」

「確か・・・白の体液を・・・」

初雪がコップの一つにスライム(白)の体液を入れる。

「・・・」

と壁に向けてかける。

「「え?」」

アーキンとブルックが驚いて見ている。

「ファイアで乾かして。」

「え?・・・ええ・・・」

ブルックが言われた通りファイアで炙りだす。

すると体液をかけた所が白く固まる。

「え!?」

「これは凄いな!」

「「へぇ~。」」

ブルックとアーキンが驚きアニータとミルコは興味津々で見ている。

「スライム(白)の体液は空気に触れ火を付けると固くなるらしい。

 これで通路を塞ぐ。

 これならこの地のエルダームーンスライムは簡単には入ってこれない。

 アーキン。ブルック。出来る?」

「わかりました。」

「すぐにしましょう。」

アーキンとブルックは初雪が作るスライム(白)の体液を使い穴を埋めにかかるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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