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第1005話 夕飯後。(カレーをどうするか。)

夕飯後。

支配人も料理長も退出して食堂には武雄達のみ居る。


「キタミザト様。キタミザト様。

 キーマカレー。食べたいです。」

テーアが獣人化して武雄の前に行き懇願していた。

尻尾がピンと伸びている。

「・・・あれは試作として食べたんです。

 『明日の朝食に出してください』なんて言えません。

 ちゃんとしたメニューでないと頼めないのは当たり前でしょう。」

武雄がぴしゃりと断る。

「えぇぇぇぇ・・・・」

テーアがガッカリとして自分の席に戻っている。

だが、その姿を皆が「良く言った」というような目線を投げかけていた。

「はぁ・・・」

「テーア。頑張った。」

「テーア。次頑張ろう。」

ニルデとジルダがテーアを慰めていた。

「で。実際の所どうなのですか?」

マイヤーが聞いて来る。

「商品化はされるでしょう。

 提供の仕方が問題だっただけですからね。

 早々に提供はされると考えます。」

武雄が答える。

「そして所長が言ったように近隣で1日限定の屋台が出るという事ですか?」

ベイノンが聞いてくる。

「実施に向けて動くような事を言っていましたね。

 確かこの町の祭りからでしたか?」

ブレアも言ってくる。

「テーアさん。

 頑張って仕事をこなして、その時までに巡回に同行出来るぐらいに上司に信頼を与えられたら良いのではないですか?」

「うぅ・・・この町の祭りっていつなんですか?」

「さて・・・私ではわかりませんね。

 所属先で確認してください。」

武雄が「目標があるとやる気になるよね」と温かい目で見る。

「所長。私達の方はどうなのでしょうか?」

アンダーセンが聞いてくる。

「何がですか?」

「いや。キーマカレーを食べる事が出来るかという所がですね・・・

 出来れば喫茶店で出して欲しいと思うのですが・・・」

アンダーセンが目を左右に動かして慎重に聞いて来る。

「喫茶店で出せるかって・・・出すに決まっているじゃないですか。」

武雄が「何を言っているの?」と言う顔をさせる。

「え?・・・ですが・・・レシピは。」

「ん?そもそも大まかな作り方を教えたのは私ですが、忠実に同じ物でなくても良いじゃありませんか。

 この地でしか食べれないキーマカレーがあっても良いでしょう。

 なのでエルヴィス家で試作して私が食べたいように加工してキーマカレーを出しますよ。」

武雄が普通に答える。

「例えば。」

「例えばですか?

 そうですね。中にキーマカレーを入れたふわっふわのオムレツを作って、切った時にトロトロの卵と辛いキーマカレーを味わってみたり、先ほどのキーマカレーサンドにソーセージを入れて肉肉しいサンドイッチを作ってみたり、もう少し水分を残しておいて鶏肉のソテーのソースとしても美味しそうですよね。

 あ。キーマカレーをもう少し辛くしてパスタに絡めるという手もありますかね。

 それにキャベツ等の野菜と炒めても良いかもしれませんね。あと」

「はい!ストップ!

 所長ストップです!」

マイヤーが止める。

皆が茫然と武雄を見ている。

「ん~・・・?

 ま。いろいろとうちの喫茶店では出しますね。

 それにアズパールカレーだって味も材料も変える気でいますしね。

 キノコに野菜に紅魚・・・は高いか。

 ジャガイモとニンジンを入れて野菜が食べたくないというお子様向けの甘いカレーも良いかもしれないですし、季節の野菜を使ってのカレーも良さそうです。

 まぁ手を変え品を変え色んなカレーが出来る予定ですよ。」

武雄が周りを見回してからお茶を飲む。

「はぁ・・・貪欲ですね。」

マイヤーがため息を付く。

「美味しい物には特にですね。

 ですが誰も作ってくれないから結局は自分で作る羽目になるのですけどね。

 で?アンダーセンさん。キーマカレーだけ(・・・・・・・・)食べたいのですか?」

「いえ!喫茶店に期待させて頂きます!」

アンダーセンが頭を下げる。

「はい。期待していてくださいね。」

「キ・・・キタミザト様・・・

 王都でカレーは・・・」

テーアが泣きそうな顔をさせている・・・半泣きです。

「ん?私は王都ではカレーを作れませんのであしからず。

 私が作って良いと許可を得ているのはエルヴィス家と私の直轄店のみです。

 この宿の方々が王都に出店してくれる事を祈ってくださいね。

 だから言ったでしょう?

 年に1回提供される日に巡回が出来るように励みなさいと。」

「うぅ・・・酷です。」

テーアがガックリとする肩をニルデとジルダが軽く叩いて慰める。

同時にエットレとファビオも伏せ目がちに落胆しているのだった。


「それはそうとドナートさん。」

「はい!」

ドナートがいきなり呼ばれて背筋を伸ばす。

「いや。別になんだというわけではないですけどね。

 米作りも大切ですけど色んな野菜の栽培と品種の改良をして貰いますからね?

 どの作物や品種を改良するか大まかで良いので考えておいてください。」

「品種改良ですか。

 その地に合った野菜を作り出して自然の病気に負けないとか実が大きくなる品種を作るという事ですね。」

「まぁそうですけど。

 一体どのくらいの品種を作る気でいますか?」

「えーっと・・・」

「ジャガイモだけでも考えうる目標は私の中ではこのカレーでもそうですけど長時間煮崩れしないジャガイモとか、茹でただけでも現状の倍程度に甘さを感じるジャガイモとか、甘さは今のままだが子ジャガイモが今の1.5倍は出来るとか・・・いくらでもあります。」

「・・・」

ドナートが難しい顔をさせている。

「まぁ大まかで良いんですけどね。

 数年間は・・・違うか品種改良は延々とするべきだからなぁ。

 まずはどの作物をしてみるかの予定表を考えてください。

 それを元にエルヴィス家と話し合っていくことになると思います。」

「は・・・はい。」

ドナートがぎこちなく頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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