第1001話 アーキン達王都に到着。4(情報の隊長さん達の夕食と第3皇子一家の料理人。)
アーキン達とは違うテーブルにて。
「第一情報分隊長。おつかれさん。」
「第二情報分隊長も。」
二人の男が食前酒を軽く飲んでから食事を取り始めてる。
「はぁ。ここのワイン煮は落ち着きます。
やはり外から戻ったらここに来るのは定番でしょう。」
「外から帰って来たらまずはここだな。」
2人の隊長が満足そうに食べている。
「そう言えば第二情報は二研殿と仕事をした事がありますか?」
「うちから2名取られてあそこにいるが?
今回も別の2名が先行しているな。」
「いや。分隊単位じゃなくて第二情報分隊長としてです。」
「・・・ないな。」
「そうですか・・・」
「何かあるのか?」
「今回鉢合わせ・・・違うか、二研殿と少し接触しました。」
「侵入者の追跡任務中に?
珍しいな。で?」
「奇抜でした。」
「だろうな。
でなければうちらを部下にしようなんて思わないだろう。」
「まぁ。そうなりますね。」
「報告書は近日中なんだろうが・・・任務はどんな感じだった?」
「そうですね・・・結果的には二研殿が協力してくれて居場所はわかったんだが実体はわからなかったと報告書には書くことになるでしょうね。」
「ふむ。」
「侵入者の所属先はわかったのですが・・・本当に正しいのか。
そう思わせたい思惑があるんじゃないかと思ってしまって・・・」
第二情報が難しい顔をさせる。
「まぁ第一、第二情報分隊はその疑問と常に戦わないといけないんだがな。
第一情報がそう思うならそうなんだろう。」
「ええ。正直な話、二研殿の方が恐ろしかったです。
堂々と嘘と本当を混ぜて話をしていて・・・そして事前に追跡隊に話す内容を教えた上で、独自の情報戦をしかけていたんです。」
「さすが最速の子爵位だな・・・」
「変な事をしていると王都に報告すると注意したら『間違った行動をしたなら報告してくれて構わない。むしろつつがなく報告しろ』と言われてしまいました。」
「・・・はぁ・・・流石は各分隊副官を引き抜く人の言だな。
普通の貴族なら言えないだろう。」
「二研殿は自重しないんです・・・マイヤー殿達の気苦労がわかります。
むしろあのメンバーでなければついていけないのではないでしょうか?」
「無茶をする上司が相手だと大変そうだなぁ。
あ。そう言えば総長が今年の採用で頭を悩ませていたぞ。」
「主力は・・・まぁ二研殿の所に行った者の穴埋めと言った所でしょう。
そして・・・またやるんですね?」
「いつも通りだな。
しばらくは隊長格は皆王都任務だろうさ。
負かす為に鍛えないとなぁ。」
「年々辛くなっているんですよね。」
「わかる。
あぁも立て続けに戦闘するのは厳しいよな。」
「若い隊員にさせたいですがこればっかりは・・・
もう見ましたか?」
「いや。見ていないな。
だが総長の所に来ているらしい。そういう時期だしな。
たぶんもう少し落ち着いたら事前選考が始まると思う。」
「そろそろ私も引退ですかねぇ。
二研殿の所空いてないでしょうか?」
「え!・・・俺と同じ考えを起こすなよ。
せめて俺の後にしてくれ。」
「残った方が引き継ぐ業務が多いから先が良いですね。」
「くっ・・・考えることは一緒か。」
「ふふふ。
丁度二研殿の部下が居ますね。それとなく聞いておきますか。」
「あ!抜け駆け禁止!
行くなら一緒にだ!」
王都守備隊は大変な事になるようだ。
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第3皇子一家の執務室。
「・・・あれ?エリカさん。これどう思う?」
レイラが書類を読みながらエリカを呼ぶ。
「どうしましたか?
ん?料理人選定の件について?・・・こんな話来ていましたか?」
「あ。それ今日の朝来たのよ。
私が読んだからレイラに渡したの。」
アルマが違う書類を見ていたが顔を上げて言ってくる。
「うん。
エリカさん。ここ。どう思う?」
レイラが書類の一文を指さす。
「・・・第1皇子一家から移動させ・・・る?
なるほど。第1皇子一家は王城に入ってしまうと今雇っている料理人達の行き場がないのですね。
だから第3皇子一家で採用して欲しいと。
んー・・・正直な感想言っても良いでしょうか?」
「うん。構わないわよ。」
「平気よ。」
アルマとレイラが頷く。
「王城の料理人と同じ技量なのですか?」
「「ん~・・・」」
アルマとレイラが悩む。
「少なくともタケオさんの料理を見聞きして実践しているのはエルヴィス家と王城と第2皇子一家の料理人です。
私達はその料理を毎日の如く堪能しています。
今さら食事の品質を下げられるのですか?」
「無理ね。」
「嫌ね。」
アルマとレイラが即答する。
「・・・ならこの案件については、こちらから逆に提案し直さなくてはなりません。
もちろんこの案も加味してとなります。」
エリカが真面目な顔をさせて言ってくる。
「・・・なら混ぜちゃおうか?」
レイラが考えながら言ってくる。
「混ぜるって・・・王城や第2皇子一家と?」
「はい。アルマお姉様。
3ヶ所から応募しましょう。」
「混ぜると軋轢にならないかなぁ。
なら第1皇子一家から全数引き取って第2皇子一家と王城に研修に行かせても良いと思うかなぁ。
もしくは半々で王城と第1かなぁ・・・それでも第2皇子一家の所につみれとかの技術を学びに行って貰わなきゃいけないのか・・・」
アルマが考える。
「・・・なるほど。
確かに3ヶ所からなら今食べている品質を維持しながらも第2皇子一家からつみれ等の作り方が入手出来そうですね。」
エリカが思案する。
「全王家から引き抜くという荒業だけど・・・
皆が出してくれるか・・・そこが問題なんだよね。」
「募集するにあたっての私達の料理人になる利点があれば良いのかな?」
レイラが考えながら言う。
「王城や第2皇子一家よりも上の利点・・・」
アルマも考える。
「・・・タケオさん。何か新しい調味料作って卸売市場に限定で卸してくれるのでしたよね?
あれを餌に蒔きますか?」
エリカが考えながら言う。
「「・・・」」
アルマとレイラが伏し目をしながら考えている。
「まだ入手していないし・・・」
「それが使える調味料なのか未知数だし・・・」
「なら尚の事各王家は先んじて味覚が鋭い者を入れて来そうだとは思いますし・・・
アルマ殿下。レイラ殿下・・・上手く行けば調味料の買い取り先が見つかるかもしれません。」
「・・・流通量を多く出来るのは魅力的なんだけど・・・やり方次第だと思うわ。」
「可能性があるのなら試してみるのも良いかもしれないけど、大々的には言えないかな?」
「わかりました。
では3か所からの募集したい旨の提案書を作成し、将来の入手する調味料については料理人しかわからないようにします。」
「エリカさん。そんな文言があるの?」
「いえ。特には思いつきませんが、何とか文言にしてみます。」
「わかったわ。
じゃあ。エリカさん。原案をお願い。
出来たらそれを元に考えましょう。」
アルマが許可を出すのだった。
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