第999話 アーキン達王都に到着。2(総長との話と局長達の内輪話。)
「で、アーキン、ブルック。キタミザト殿から何か聞いているか?」
総長が2人に「買って来た奴隷の情報はあるか」聞いて来る。
「初雪殿。」
「はい。
キタミザト家より王都守備隊総長宛に、王都に引き渡す3名の奴隷の情報をお渡しします。
そしてお願いがございます。
こちらの書面に記載されています。ご確認願います。」
と初雪がポケットに手を入れ、小瓶を出してくる。
「頂戴する。」
総長が初雪から小瓶を受け取り、中の紙を見る。
「・・・アーキン。ブルック。手紙の内容は知っているか?」
「私達は中身を見ていません。」
ブルックが答える。
「そうか・・・なるほど。
エルヴィス殿とヴィクター殿の連署ならばお受けするしかないだろう。」
「よろしくお願いします。」
初雪が頭を深々と下げる。
「うむ。
まぁ何とか出来る限りの事はしよう。」
総長が頷くのだった。
「では総長。
我々は退出します。
所長は2日後到着の予定と伺っています。」
「うむ。わかった。
各部署に連絡はしておこう。
これから数日間。ゆっくり過ごせ。」
「はっ!
失礼しました。」
アーキン達が退出していく。
・・
・
総長は改めて自分の執務机に座り初雪が持って来た手紙を読み返す。
「・・・魔王国軍?・・・本当かよ・・・」
軽く頭を抱える。
だがすぐに顔を上げて扉の外に居る秘書官を呼ぶ。
「失礼します。
お呼びでしょうか。」
「すぐに緊急会議の招集をする。
内容は第15号議案の回答について。
場所は王城第2小会議室。ランクは極秘レベル。
対象は外交局長、財政局長、人事局長、総監局長、総務局長、軍務局長、クラーク議長とオルコット宰相。第1騎士団団長だ。
時間が時間だ。現在いる者のみ行う。
会議室周辺の警戒は王都守備隊第三魔法分隊。
手配しろ。」
「はっ!」
秘書官が退出していく。
「さて・・・慌ただしくなるな。」
総長が席を立ち関連資料を取り出し準備し出すのだった。
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アーキン達が部屋に戻り外出の準備をしていた。
「私の仕事終った。」
何も用意する物がない初雪が皆を見ながら呟く。
「・・・口調が戻ったし。
でもちゃんとした話し方も出来るのね。」
アニータが感心しながら言う。
「これが普通。
あれはアリス達に言われたからしてみた。
特別の事がない限り必要ない。」
「良いんじゃない?
初雪殿達はそれで良いと伯爵様も言っているし、所長も認めているもん。
まぁ対外的にはあの口調でお願い。
所長の立場が悪くなっちゃうしね。」
「了解。
と。出かける前に。」
初雪がスライムを数体出すと部屋の四隅と真ん中に置く。
「何かあっても事後でわかるのは便利ね。」
ブルックが呆れる。
「さて。
アニータ。ミルコ。
何を食べる?」
「「お肉!」」
「ははは。
なら近くに赤ワイン煮の良い店があったな。
ブルックはそこで良いか?」
「問題なし!
初雪殿用に多めに何か頼まないと・・・あ。汁たっぷりにして最後に飲んで貰うか。
あれなら栄養素が多そうだし。」
「それで良い。
まずは王都を知りに行く。」
初雪も王都初の夕飯を満喫すべく動くのだった。
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王城第2小会議室に外交局長、財政局長、人事局長、総監局長、軍務局長、オルコット宰相。第1騎士団団長が揃っていた。
「緊急招集をかけてすみません。
本日夕方、王立研究所 第二研究所の所員が王都に到着し、キタミザト殿からの伝言を受け取りました。
では・・・黒板に書いていきますので、皆の意見を集約し、今後の動きを確認しようと思います。」
総長が皆の前の黒板に、初雪から渡された手紙の内容を書いていく。
「「「・・・」」」
皆が声は出さないが総長が書いていく内容に表情を変化させている。
黒板の内容がこちら。
・王都向けの兵士に魔王国の第4軍兵士とファロン子爵家の騎士団長と騎士団員入手
・現状ではキタミザト家にヴィクターが居る事を隠密にして欲しいとの依頼。
現状で騎士団長がヴィクターの事を知ってしまうと報復を画策する可能性が高い事。
対策としてジーナが王都に行った際に現状での報復はする気が無い旨の説明と、25年後に再び集結する意思の表明をし、本人達に25年間ちゃんと勤める事を意識させる意図がある。
他に何か上手いやり方等あればキタミザト殿に伝えて欲しい。
・キタミザト殿が2日後に到着。
「以上ですが・・・
外交局長。人事局長。またややこしいのをキタミザト殿は引き当てました。」
総長がため息交じりに座り、対面の人物に話を振る。
「はぁ・・・これは・・・
まぁ、2つ目はやり方としては真っ当です。
越境を今からされてはなりません。
これはエルヴィス伯爵家で話し合ったのでしょう。
2つ目については外交局として問題ないと思います。」
「人事局も問題ありません。
場所と時間は・・・王都守備隊の方で決めてください。
寄宿舎への連絡は職員を介しますので王城経由でよろしくお願いします。」
「わかりました。
当分は基礎訓練でしょうから、街中で接触しないようにこちらの動きは人事局経由でジーナ殿にお知らせします。」
総長が頷く。
「・・・総長。この魔王国の第4軍とはどのような軍なのでしょうか?」
オルコットが総長に聞いて来る。
「わかりました。
この3名の所属していた軍の概要を説明していきます。」
総長が席を立つのだった。
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