第995話 122日目 休暇。(男女で違う事をしよう。)
今日は休息日。
皆が各々に過ごしている・・・訳ではなかった。
「「・・・」」
武雄を除く男性陣が街を歩いていた。
「・・・本当に・・・キタミザト殿は・・・」
「私達も良いのでしょうか?」
「まさか・・・なぁ。」
「ええ。奴隷なのに・・・」
「はぁ・・・こうあからさまで良いのでしょうか?」
バートとドナート、ジッロ、エットレ、ファビオがソワソワしながら歩いている。
行き先は歓楽街だった。
朝食とも昼食とも言える時間に食事を取ったのだが、その後のティータイムに武雄が言った一言が起因だった「男性陣は軍資金あげるから遊んどいで」その一言に皆に衝撃を与えていた。
男性陣は「うん」とも「いいえ」とも言わずに固まっているし、意味が分かる女性達は顔が怖かった。
特にフォレット・・・武雄はすまし顔をしながらも「刺されるかな?」と覚悟していたりする。
「さてと・・・この時間でやっているのはどこだ?」
歓楽街の入り口でブレアが通りの左右の店先を見る。
「何班かに分けましょうか。」
「そうだな。目的別に分けるか。」
「じゃ!3班くらいに分けますかね。」
男性陣は目的地別に別れる。
一部の男性が「どの班に入れば正解なんだ?」と周囲を伺うのだった。
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こっちは宿の中の簡易的な厨房がある小部屋。
「キタミザト様。これで良いのですか?」
「これはどう?」
「あ~?」
ニルデとジルダ、ビエラが武雄の横で生クリームをかき混ぜていた。
「うんうん。
良いですよ。」
武雄は買って来たマドレーヌを切りながら土台を作っていた。
「主。前に作っていたやつですよね。」
「そうですよ。
あと何を添えるかによって見た目が変わりますからね。
イチゴ、オレンジにリンゴ等々いろいろありますからね。
思い思いに作りましょう。」
「「「は~い。」」」
「あ~。」
チビッ子3人が返事をするのだった。
「あ~・・・どんなお菓子が出て来るんでしょうか?」
エンマがウズウズしながら待っている。
「楽しみね。
えーっと。そろそろお茶の用意をしないといけないかしら。」
「あ。私もします。」
ボーナとアスセナが席を立つ。
「「・・・」」
テーアとフローラは読書をしている。
テーアの方は前に買ったお気に入り、フローラはロビーで借りた物を読んでいた。
「・・・」
フォレットは机に肘を付き、額の所に手を組んでうな垂れていた。
その様子に誰も何も言わずに各々が動いているのだった。
・・
・
「頂きます。」
「「「頂きます。」」」
「あ~。」
皆が目の前にスイーツを一気に食べ始める。
「はぁぁぁ♪」
「これは凄い。」
「凄い♪凄い♪」
「美味しい♪」
「うぅ・・・何て美味しいんですか・・・」
「あ~?」
「ええ。ビエラの質問は真っ当ですね。
主の所に来ると週に1回もしくは2回は最低出ますよ。」
「あ~♪」
「ふわっふわなのね。」
「ジャムの味も丁度いいですね。」
皆が驚きと満面の笑顔を見せながら食べ始める。
・・
・
「「「「キタミザト様!ありがとうございます!」」」」
皆が食べ終わり、これでもかと頭を下げている。
フォレットも恍惚の表情をさせていた。
武雄はそんな様子を朗らかに見ているのだった。
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クリナとカリスが執事と一緒に街中の不動産屋に来ていた。
「クリナ殿下。
こちらの物件はいかがでしょうか。
大通りから少し入った場所になります。」
不動産屋の店長が資料を出して来てお勧めしている。
「ん~・・・
カリス。大通りから入った所ですが、どうでしょうか。
広さは指定されている通りなんですけど。」
「そうですね。
周辺の環境はどうでしょうか。
音を出しますので周辺に迷惑をかけないようにしないといけません。」
「あ。なるほど。
店長。どうですか?」
「はい。
周辺には鍛冶屋工房があります。
日中ですと音を出されても問題ない場所になります。」
「ん~・・・鍛冶屋街ですか。
カリス。どう思いますか?」
「音を奏でる事もあるので外部から音が頻繁に入って来るのは少しいただけません。」
「ふむふむ。
店長。鍛冶屋等の音がする場所は止めましょう。
もう少し違う場所はありますか?」
「そうですね。
なら・・こちらはいかがでしょうか。
少しお屋敷から離れてしまいますが、裏の大通りから入って頂いた場所になります。
地域としては服装・装飾街になります。
木造ではありますが、壁も厚みがありますし、音は出して頂いて構わないと思います。」
「なるほど。
カリス。石造りではなくて良いのですよね?」
「はい。木造が良いと思います。
石造りも建物の耐久力という所では魅力的ですが、内壁を木材等々で覆って貰わないといけませんので余計な出費になるかと思いますね。」
「わかりました。
で。店長。今の物件と同じ条件でありますか?」
「はい・・・えーっと・・・確か。
あ。ここですね。
西側の所になりますが、室内が先ほどの部屋よりも若干広くなっています。」
「ふむふむ。」
クリナが一生懸命に部屋を探すのだった。
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