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第990話 第2皇子一家にご挨拶。4(ヴァイオリンのお土産です。)

リネットの問診を終えてパナ達が武雄達の下に戻って来る。

「タケオ。終わりました。」

「はい。ご苦労様です。」

「すみませんね。」

リネットとクリナがニールの隣の席に着く。

「パナ殿もカリスも座ってください。」

クリナがパナやカリスにも着席を求める。

「はぁ・・・わかりました。」

「失礼します。」

2人が座る。

「さて・・・パナ。リネット殿下はどうですか?」

「子供に問題はありません。」

「リネット殿下に問題が?」

「若干・・・運動不足ですね。」

「あ・・・やっぱり。」

パナの報告にリネットが苦笑する。

「むぅ・・・パナ殿。お母様は日に2回くらい吐くんです。

 吐くという事は病気なのではないのですか?ならば大人しく寝てないといけません。」

クリナが可愛らしく抗議してくる。

「ええ。体調がすぐれないときは無理をせず、ゆっくりと体を休めて構いません。

 ですが、普段はお昼前に軽く散歩程度をされる方が逆に体調は良くなります。

 ストレス解消や血行促進、つわりを軽減する効果が望めます。」

「明日からします!」

リネットがやる気を向ける。

「リネットも無理をしない範囲で行えば良い。

 心配ならクリナも一緒にな。」

「もちろんです!」

クリナが元気よく返事をする。


「そう言えばタケオ。カリスにお土産があるんですよね。」

パナが武雄に聞く。

「あ・・・そうでした。」

武雄がリュックを漁り箱を2つ出し机に置く。

「・・・タケオ。これは開けて良いのか?」

ニールが箱を見ながら言う。

「はい。

 カリスなら上手く使ってくれると思います。

 どうぞ。」

「カリスのですって。」

クリナが「開けて」と目を輝かせて言う。

「タケオ。ありがとうございます。

 ・・・え?・・・これは・・・」

箱の蓋を開けたカリスが中の物を見て固まる。

「ん?カリス。どうしたのですか?」

クリナはカリスが動きを止めたので少し心配そうに聞いて来る。

ニールとリネットが中身を不思議そうに見ている。

「・・・タケオ。

 ヴァイオリンですか。」

「はい。

 といっても全く一緒ではないらしいです。

 原型というか同じ様な物ですね。」

「手に取っても?」

「これはもうカリスの物ですよ。」

武雄が苦笑する。

「では・・・」

カリスが席を立ち、ヴァイオリンと弓を箱から出し皆から少し離れる。

そして首に挟み軽く音を出しては弦を調整していく。

「タケオ。あれはなんだ?」

ニールが聞いてくる。

「楽器。音を奏でるのですよ。」

「銅鑼とか太鼓とかか?」

「あれは弦という糸を振動させて音が出るんですよ。」

「ほぉ。」

「タケオさん。大きい音なの?

 割と高い音ね。」

今度はリネットが聞いて来る。

「太鼓や銅鑼に比べれば高い音が出ますね。」

「タケオさんは聴いた事があるの?」

「ええ。私の部下があれと同様な物を持っていましたので、部品の調達を今回してきたのです。

 そのついでにカリテス達にお土産ですね。」

「カリテス達?なら各皇子一家の精霊に渡すの?」

「はい。

 なのでアン殿下のアウクソーにここから送って頂きたいのですが、頼めますでしょうか。」

「ええ。それは構わないのですけど。

 どんな音がするのかわからないのに良く買いましたね。」

「いえ。こういった芸術に特化しているのがカリテス達ですからね。

 音については勝手に改造すると思って気にしていませんでした。

 それよりも喜ぶかなと思って買って来たんです。」

「カリスのあの驚きようからして喜んでいると思うわ。」

リネットが頷く。

「カリスがあの表情するなんて初めてです。」

クリナが言ってくる。

「そうですか?」

「はい。にこやかにしていますけどあのような顔は初めてでした。

 タケオさん。カリスがあの顔をしたのですからアウクソーやパイディアー、パンニューキスもあの顔をするのでしょうね。」

「してくれたら良いですね。」

クリナの問いかけに武雄が朗らかに頷く。


「タケオ。調律が終わりました。」

カリスが皆の方を向いて報告をしてくる。

「早いですね。」

「タケオ。私は芸術の神ですよ。

 このぐらいならすぐに調整出来ます。」

「そうなのですね。

 ニール殿下。一曲か二曲弾いて貰えたら嬉しいのですけど。」

「構わんよ。

 リネット。クリナ。良いか?」

「「はい。」」

リネットとクリナが答える。

「タケオ。何を弾きますか?」

「そうですね・・・

 ラ・カンパネラとカノンが聴きたいですね。」

「・・・わかりました。

 1挺ですがやりましょう。」

カリスがニール達に見せた事ない闘志を出して演奏を始めるのだった。

・・

パチパチパチ

武雄が満足な顔をさせて拍手していた。

カリスが軽く会釈する。

「うぅ・・・なんて良い音なんですか・・・」

クリナが泣いていた。

「はぁ・・・良い音ね。」

「うむ。

 タケオ。良かったな。」

「ええ。良い曲で良い演奏でしたね。

 これで各カリテス達に渡しても問題がないとわかりました。」

「タケオ。

 いつか王都で私達が集まる時は来てください。」

「必ず行きます。是が非でも行きますよ。

 精霊が奏でる四重奏なんて聴きたいに決まっています。」

「ふふ。

 タケオ。これをありがとう。感謝します。」

カリスが満面の笑顔を武雄に向ける。

まさしく女神の微笑みを受け武雄も朗らかな気持ちになるのだった。

「カリス。他にどんな音があるのですか?

 音が出せますか?」

「クリナ。これは音楽という分野の芸術で奏でる物は曲もしくは楽曲と呼ばれます。」

「音楽と曲・・・カリス。もっと聞きたいです。」

「はい。

 では。もう少し弾きましょう。」

クリナの要請を受けてカリスが数曲弾き始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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