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第988話 第2皇子一家にご挨拶。2(宿題の回答。)

第2皇子一家の屋敷の客間にて。

「いかがでしょうか。キタミザト殿。」

料理長始め王都で一緒に調理した料理人達に武雄は迫られていた。

「出来たんですね。」

武雄が長方形のかまぼこが何本か乗せられた皿を見ながら言う。

「はい!

 試行錯誤をしてやっとお出しできる物が出来ました。

 つみれやさつま揚げ、がんもは週一で殿下達にお出ししながら作るのに慣れようとしています。

 また、豆腐と厚揚げは街の商店主達に定期的に集まって貰い調理法を教えています。」

「調理法ですか・・・えーっと・・・もしかして販売店を作るのですか?」

武雄が料理長から渡された豆腐屋1号店の概要書を見ながら言う。

「はい。

 当方の料理人が週替わりで店長をしながら販売をしてみようと考えています。

 で。ですね。どうやって売れば良いと思いますか?」

料理長が聞いて来る。

「調理法を教えているという事は食材としての販売なんですよね。

 ・・・ザルとか鍋を持って来て貰い、売ってあげれば良いじゃないですかね。

 量り売りはたぶん出来ないから・・・例えばあの水を押し出した箱の大きさの何分の一のサイズを例えば1丁と単位付けをする。

 そして売り方は1丁、2丁という単位売りで良いでしょうね。」

武雄が何気に答える。

「なるほど。

 規格を作るのですね。」

「それが統一規格になるかは別として売り方としては間違っていないとは思いますよ。

 豆腐は量り売りに向かないと思いますからね。」

「・・・確かに形が崩れてしまいます。

 あとつみれとかはやはり鍋やスープの具材として販売しようかと思います。

 これも販売店で取り扱います。」

「そうですか。」

武雄は頷く。


だが、心の中では少し残念がっていた。

武雄の中ではつみれの用途はおでんや鍋、スープなのだが、つみれを初めて見た者がどんな奇抜な物を作るのか楽しみだったのだ。

「ま。これから街中に出るしね。今後に期待かな?」とすぐに考えを変えるのだった。


「さて。かまぼこですね。

 色が黄色とオレンジと白ですか。」

「はい。練っていてわかったのですが、他の食材の色を入れやすいのです。

 黄色はゆで卵の卵黄をオレンジはニンジンを長時間ゆでてから潰し、練り込んでいます。」

「味も少し違いがでますか?」

「はい。

 風味程度ですね。料理として他に合わせる物があればあまり気にならないかと思います。

 それとキタミザト殿。このかまぼこを使ってしてみたい事があるのですが、ご許可頂けますでしょうか?」

「?・・・私に許可は必要ないと思いますが。」

「いえ。キタミザト殿から教えられた製法です。

 許可を頂かなくてはいけません。」

「・・・わかりました。まずは聞いてからです。

 で。何がしたいのですか?」

「はい。

 立体的な物を作ろうかと思っています。」

「立体的な料理ですか?」

「はい。

 かまぼこは魚から出来ていますが、捏ねていて・・・作りようによっては見た目が花や枝のような物を作れるというのがわかりました。

 これから色を増やしていき見た目にも華やかな物が出来上がるのではないかと思っています。」

料理長が力説してくる。

武雄は「和菓子で盆栽とか作っているのを知っているけどあれと同じ感覚かな?」と思う。

「他者に魅せるならそれでも良いと思いますが、もう少し楽しむという観点も必要ではないでしょうか・・・なので例えば・・・紙はありますか?」

「はい。こちらに。」

料理人がメモ帳を出してくる。

「こう。今回のような棒状に作るとして中に絵を入れるというのはどうでしょうか。」

武雄が四角の中にハートや四つ葉の柄を書いていく。

「これは・・・切ると同じ図柄が出てくるというのですか?」

「ええ。

 立体的な料理も良いですが、気軽に食べれて皿の中で彩りを飾れる食材として作るのもありではないでしょうか。

 そうすれば楽しんで食べて貰えそうです。」

「ん~・・・なるほど。

 確かにそういうやり方もありますね。」

料理長もが頷く。

「これならかまぼこを子供向けに売れそうですからね。

 他者に魅せる立体的な料理もあっても良いでしょう。他者を招いた時とかに魅了させられる物は必要でしょうからね。

 私だったら魚を作ってみたいとは思いますね。」

「?・・・キタミザト殿。つみれやかまぼこは魚から出来ています。」

「はい。そうですね。」

武雄が頷く。

「魚から作り出した物で魚の形を作るのですか?」

「ええ。茶目っ気があるでしょう?」

「茶目っ気・・・奇抜な考えですね。

 魚から作るのにわざわざ魚の形を模しても評価されるのでしょうか?

 でしたら花や鳥等の魚から全く別の物やキタミザト殿が言われた中に絵を入れて作った方が良いのではないですか?」

「そこは評価する人によるでしょうが、絶対に評価されないとは言えないでしょう。」

「確かに。

 ・・・いろいろと作ってみる必要はあるという事ですね。」

「ええ。試しなのですからなんでも作るべきでしょう。

 かまぼこの中にチーズをぶつ切りでゴロッと入れるのもシンプルで良いかもしれませんしね。」

「かまぼこの中にですか!?

 その考えはまだなかったです。」

「かまぼこは味があっさりしていますから色々と他の食材に合うと思います。」

「わかりました。

 これから試行錯誤をしていきます。」

「いろんな種類が出来るでしょうね。」

「ちなみにキタミザト殿はエルヴィス領に戻られたら作られますか?」

「魚のすり身ですよね・・・

 ウィリアム殿下領での卸売市場が上手く行けば・・・少しは作ってみたいですが、まだまだ先ですね。」

「そうですか。

 情報を頂けたらと思っていましたが・・・」

「ははは。私はあまり知っていないですよ。

 逆に面白い物が出来たら食べてみたいものですが・・・遠いですよね。」

「そうですね。

 あ。確かニール殿下がウィリアム殿下の卸売市場に大豆を卸すと言っておりました。

 その際に披露させて頂きます。」

「そうですか。

 その時を楽しみに待っています。」

武雄が朗らかに言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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