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追放ガチャ 只今、神界配信中! ~神々の賭けで弾かれ続ける俺は、追放ポイントで世界をぶっ壊す~  作者: 雪ノ瞬キ


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13話

「にょー!」


「にょ!にょー!」


 ドドド!


 地鳴りがする。

 今まで聞いたことがない甲高い叫び声。


 なんだ?

 何がおきた?


 掘っ立て小屋の隙間から外を覗く。


「ゲッ」


「何が見えたの?」


「鶏だ」


「鶏?」


「ああ、頭が鶏で筋肉ぼこんぼこんのでかい奴らだ」


「うわー」


 ミレーヌも引くほどだ。

 でもな。

 なんで鶏鳴き声が“にょ”なんだ?


「……20、いや……もっとか?」


「そうね。でもクロ―がターゲットてわからないから、この城総出で当たるんじゃない?」


「おっそれもそうだよな」

「なあ」


「何?」


「ここで様子見しようぜ。別に正義MANってわけじゃねぇーし」


「賛成よ。数減ったところで必要であれば対処しましょ」


「だよな。さて、カードどうすっかなー」


 俺は城の連中に丸投げだ。

 とはいえ、その裏事情を知っているのは俺とミレーヌだけ。


 アイツらは知らんから急な襲撃で驚くだろうな。

 俺は知らんけど。


 ん? 一行に変わらない叫び。


「……数、おかしくねぇか?」


 城壁の上から魔法が叩き込まれ、何体かは吹き飛ぶ。

 ――のに、前線が下がらない。


 覗くと、ヒデェ。

 鶏大男が、おっさん鳥に生まれ変わりやがった。

 小さな小太り中年禿おっさんの背に鳥の羽。


 しかも空中でホバリングしながら腕を組んで見下ろす視線は鋭い。

 数は多く連携技が激しい。


 おいおい、おっさん鳥が熱ぃじゃねーか。


 鳥たちが叫ぶ。


「ジェットォォウイング!」


 凄まじい急降下の速度。

 回転しながら人に体当たり。


 それを四方八方から繰り出し、ヒットアンドアウェイ。


 さらに。

 いくつもの個体集団が一直線に空中で並ぶ。

 アレはまるで槍だな。


「行くぞ! フォーストリーム アタック!」


 はは、これはいい。

 1体目がよけて二体目が突撃し、残りは避ける。

 他のグループの奴らは3体目だったり、四体目だったりだ。

 都度違うってのがいい。


 頭いいじゃねぇーか。

 って敵だぜ。

 やばくね?


 ミレーヌは、城ではなく――空を見ていた。


「なんだ?」


 ドッガーン!


 落ちてきやがった。

 寝そべる鶏。

 思わず目が合う。


「にょ?」


「クソッ!」


 俺はとっさに短剣を脳天に突き刺す。


「ぐへっ!」


 痙攣した。

 こりゃまずい。


「ミレーヌ逃げるぞ!」


「ええ!」


 ドドド!


「ヤベー、こっちくんなー!」


「舌噛むわ」


「魔法! 魔法!」


「都合よくすぐにはできないわ」


 俺とミレーヌは城内をでたらめに駆けていく。

 行く先々はすでに建物と兵の損傷が激しい。


 こんだけの奴等だ無理もねぇ。


「フォーストリーム アタック!」


 ヤベ来るッ!


 俺はとっさに短剣の刃をおっさん鳥に向けた。

 奴等にはこの短剣がみえねぇのか?


 次々と突っ込んでくるがこの短剣にスライスされていく。

 なんだよめちゃくちゃ切れ味がいいっていうか。

 おっさん鳥の勢いが強いせいなのか。

 わからん。


 またきやがった。


「ジェットォォウイング!」


 はえぇ!


 これも何故か、俺が構える先に吸い込まれるように突っ込んでくる。

 当然この短剣相手なら、スライスされる。


 俺は受け身だけしかとっていねぇ。

 なんだ?

 何がおきている。


「ミレーヌ魔法支援頼む!」


「さっきの助言でほとんど使い切ったから今は頑張って」


「マジかー!」


 呪いかなんだか知らんが。短剣ちゃんよ頼むぜ!

 短剣を構えた先になぜか突っ込んでくる。

 おっさん鳥、お前ら自殺願望か?


 こいつらのわけのわからん行動で、俺とミレーヌは助かった。

 おっさん鳥は、無残にスライスされた奴しかいねぇ。


 後は鶏の奴等だな。


 ……なのに。


 倒したはずの場所から、また鳴き声が上がる。


「にょー!」

「にょ、にょー!」


 瓦礫の向こう。

 煙の奥。

 屋根の上。


 ――減ってねぇ。


 いや、減ってるはずなのに、

 “戦場の密度”が変わらない。


「……ああ、これ」

「倒すイベントじゃねぇな」


 遠くで兵士の叫びが聞こえる。


「防衛線を下げろ!」

「市街は放棄する!」

「生存者を優先だ!」


 ミレーヌが肩をすくいため息。


「……この世界、もう“背景”にされたわね」


 俺たちはひとまず、移動をした。

 倒れた建物の影に差し掛かった時だ。


「……失礼いたします」

「今はご多忙のようで」


 なんだこいつは?

 丸眼鏡に素肌に燕尾服。

 髪オールバックでメタボの中年。


 ハァハァ言っているのがキモイ。

 しきりにハンカチで汗を拭く。


「カード一枚で、お取引を」


「今それどころじゃ――」


「承知しております」

「“それどころでない時”専用の商品ですので」


 ミレーヌは、無言で半歩下がった。

 ああ、わかるぜ。

 このねっとりとした目つきと、妙に慇懃無礼な態度。

 胡散臭せぇ。


「……こちらは汚物爆弾、試供品でございます」

「使用法は――お任せいたします」


「効くのかよ」


「“便利”ではございません」

「ただ――嫌われます」


「なら移動するぞ。試してみる」

「この輪っかを引っ張って、投げればいいんだな?」


「左様でございます。ついて行っても?」


「好きにしな」


「ありがたき幸せでございます」


 しばらく行った先はまだ鶏が密集している。


「あそこに投げ込むか」


「半径五百。投げたら、必ずお隠れくださいませ」


 俺はピンを投げ込む。

 言われた通りに、遮蔽物に身を隠す。


 ビチャッ! ビチビチビチッ!


 何か壁に打ち付けたような音が響く。


「うわッ!くっせー!」


 なんだ鼻が曲がるぞこれ。


「ギャー!」

「にょー!」


 先の鶏の声と人の声が入り混じってやがる。


 ドドド!


 来た時のような凄まじい足音が一斉に遠ざかっていく。

 凄まじいな。


 空が、一瞬だけ――映像ノイズのように歪んだ。


「……今の、神に届いた」


 どこかで、笑い声が一瞬だけ――途切れた。

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