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もし? 通りすがりの人に急に、”お前は俺の妹じゃないか“ って言われたら?

作者: 七瀬





もし? 通りすがりの人に急に、”お前は俺の妹じゃないか“ 

って言われたら?




会った事も見た事もない男性ひとにある日突然、

こんな事を言われたらアナタは信じますか?

この男性ひとが言うには、”私の母親が父親と離婚した時に、

母に私は引き取られて、兄と名乗るこの男性ひとは父親に

引き取られたらしい。“



・・・でも不思議なのは?

母親は父親の事や兄が居る事を私に一言もいっていなかった。

私も子供の頃、父親の事を母親に聞いた事があるのだが、その時の

母親の顔が私が見た事もないぐらい引きつった顔をしたので、

もうそれ以上私は母親に父親の事は聞けなかった。

よっぽど父親に母親が何かされたのか? 

精神的に追い込まれていたのか?

母親は私がどうしても父親の事を聞きたいと思わない限りは、

自分から父親の事を話したがらなかったのだ。

だから私も父親の事を聞くのが怖かった。

でもまさか? ”私に兄が居たなんて!?“

何にも聞かれていなかった私からしたら、凄く驚く事だった。



『初奈? 初奈だよな! 俺の事分かるか? 兄ちゃんだ! 

初奈のたった一人の兄ちゃんだよ!』

『・・・お、お兄ちゃん?』

『母ちゃんから何も聞いてないのか? まあ、そうだよな、

あの家で母ちゃんは何もイイ想い出なんかなかったし、俺の事も

初奈に何にも話してないぐらいだから。』

『お父さんは? お父さんはお兄ちゃんと一緒に住んでるんでしょ?』

『住んでない、ごめんな! 俺も16歳で家を出たから分からないんだ。』

『お父さんは、今も生きてるの?』

『風の噂で、俺が家を出て直ぐに”再婚“したって聞いた事があるよ。』

『・・・再婚?』

『”親父は俺達の事を愛してなかったんだ、それは母ちゃんが一番分かって

たから、お前を連れて直ぐに家を出たんだろうな。“』

『お兄ちゃんをお父さんに預けて?』

『・・・仕方なかったんだ、親父は母ちゃんに暴力を振るってたし、』

『暴力? お兄ちゃんはお父さんに暴力を振るわれてなかったの?』

『”振るわれてたよ、だから16歳で家を出たんだ!“』

『・・・ヒ、ヒドイよ、お父さん! そんな暴力なんか、』

『初奈、母ちゃん元気か?』

『・・・ううん、元気だよ、お母さんに会う?』

『会っていいのか?』

『当たり前じゃない! 血の繋がったたった一人の母親でしょ! 

会っていいに決まってるじゃない!』

『・・・初奈、ありがとう。』

『ううん。』






・・・この日、初めて会ったばかりの”私の兄と名乗る男性ひと

私は迷いなく母親に会わせて見ると?“

母親は兄を見るなりその場で泣き崩れてしまう。



『・・・ご、ごめんね、尊久、ワタシがアナタも一緒に引き取りたかった

んだけど、あの人がどうしてもアナタだけは連れて行かせないと強く

言われて、し、仕方なく、』

『いいんだよ母ちゃん、もう昔の話だ!“』

『・・・尊久、』

『”自分を責めないで、初奈にもこうして会えて俺は嬉しいんだ!“』

『でも? よくこの子が分かったわね。』

『毎日、母ちゃんと初奈の写真を見てたからかな。』

『写真?』

『これだよ。』

『これ!? 私まだ赤ちゃんじゃん!』

『俺が初奈の事、分からない訳ないだろう。』

『お兄ちゃん、凄くない?』

『雰囲気が母ちゃんにそっくりなんだよな。』

『・・・そ、そうかな?』

『あぁ!』

『”尊久、今日はワタシと初奈に会ってくれてありがとう!

これからは好きなだけここに居てもいいし、会いに来てくれても

いいのよ。“』

『ありがとう、たまに顔出すよ。』

『うん。』







・・・嘘みたいな話だけど?

こんな偶然ってあるんだね! しかも兄は私の事は赤ちゃんの時の

写真しか見た事がなかったのに、私とすれ違っただけで直感的に、

私が妹だと気づいたらしい。




それから私と母親と兄とたまに3人で食事に行ったり、

家でご飯を食べたりしている。

そして私はもう父親の事は母親にも兄にも聞かないと決めた!

あの人だけが”私達の家族じゃないと分かったから。“

今は家族水入らずで、少し幸せな気分に私は浸っている。



最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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