となりのメリーさん
こんにちは、梨多里亜です。
今回初投稿になります。
趣味で書いた程度の超短編なので、気楽に読んでもらえるとありがたいです。
気が向いたら何か書くと思いますので、みなさんも気が向いたら読んでやってください。
よろしくお願いします!
「私メリーさん。
今、あなたの家の最寄駅にいるの。」
桜咲き誇る春の季節、都市伝説で有名なメリーさんからまさか電話がかかってくるとは思わなかった。出なかったとしても、強制的に通話状態になるらしいから実際に出てみたが、まさか実在していたとは。そんなことを考えていると、またスマホが鳴り響いた。
「私メリーさん。
今、あなたの家の近くにいるの。」
あー、家の近くまで来たのか。でも、今家にいないんだよなぁ。そこのところわかっているのだろうか.....?あ、またスマホが鳴った。
「私メリーさん。
ねえ、なんで家にいないの?
今どこにいるのよ?」
「そりゃあ、今旅行中なもんで。
宮城の仙台にいるよ。泊まりだから今日は1日ね。」
「宮城!?えっ、ちょ、今から行くから動かないでよね!」
ツー...ツー...切れたよ。メリーさんという割には人間くさいのな。都市伝説なんだから、もっと淡々と殺しにくるんじゃないのかよ。
まぁ、そこが可愛いところではあるんだけども....。ブー...ブー...またメリーさんだよ。
「私メリーさん。
今、東京駅にいるの。」
「はいはい、時間かかるからゆっくりおいでー。」
「なっ、あなたが旅行してなければすぐに行けたのに。」
「まあまあ、駅弁でも食べて落ち着きなって。
ちなみにおすすめは限定サンドイッチパックな!」
「.......わかった、食べてみる。」
........。もはや普通の女の子だよな。まぁいいや、俺もお昼食べよう。仙台だし、やっぱり牛タンだよな!
お昼も食べて2時間後、またメリーさんから電話だ。
「私メリーさん。
今、仙台駅にいるの。」
「おう、お疲れさん。
サンドイッチは美味かったか?」
「うん、美味しかった!
カツとかフルーツとかあってすごかった!」
「そうか、それはよかった。
ちなみに俺は今白石城見てたわ。
桜も綺麗だし、白石城の中ってこんななのな。」
「白石城かぁ、いいね!
じゃなくって、今度は白石!?
今度こそ動かないでよね!」
あらら、返事する前に切れちゃったよ。見終わったからまた移動しようと思ってたんだけどなぁ。まぁいいか、とりあえず大河原の一目千本桜見に行くか。そして大河原に着いた頃、また俺のスマホが鳴った。
「私メリーさん。
今、白石城にいるの。
お城と桜ってのもなかなか絵になるねー。」
「そうだよな。あと、白石温麺美味いからお土産にどうぞ。」
「うん、わかった。それでどこにいるの?」
「遅いから移動しちゃった。次は大河原の一目千本桜だから、よろしく。」
「えっ、ちょ(ブチっ)。
............何がなんでも会ってやる!」
日が沈み始め、だんだんと周囲が暗くなってきた。うん、次でラストかな。ブー...ブー...来たか。
「私メリーさん。
今、大河原の一目千本桜にいるの。
桜がいっぱいで綺麗だけど、人が多すぎてどこにいるかわからない。今どこ?」
「そうだよな、人いっぱいだもんな。
まぁいないんだけど...。今は船岡の城址公園にいるから、屋台の玉コンでも食べながらこっちにおいで。頂上で待ってるから。」
そう言って俺は電話を切った。我ながら連れ回しすぎたかな?しばらく待つと、あぁ、ついに来た。
「私メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
「連れ回して悪かったな。」
「ほんとだよ、お金もいっぱい使ったし大変だったんだからね。」
「ごめんって。でも、たくさん観光できただろ?」
「え?まあそれはそうだけど....。」
「前から行ってみたいって言ってたもんな?
なあ?メリー。」
後ろを振り向くと俺の意識は途絶え.......
ることはなかった。
後ろにいたのは、俺の家の隣に住んでいる藤原メアリーだった。昔からの幼馴染で愛称はメリーだ。
「いつから気づいてたの?」
「割と最初から。てか、いくら声色変えてるからってわからないわけないだろ。
いったい何年の付き合いだと思ってるんだか。」
「あはは、やっぱりそうだよね。
じゃあ、ここも約束覚えててくれたの?」
「あぁ、2人で見るって約束だったもんな。
頂上から見る夜景。」
「うん、ありがとう。」
その夜2人で見た夜景は、風が少し冷たかったが、とても綺麗で心を暖かくしてくれた。この風景を、この気持ちを俺はきっと忘れることはないのだろう。
「さぁ、屋台見ながら帰ろうか。」
「うん、あ、でもお金もうない。」
「俺が無理やり引っ張ってきたんだから全部払うよ。もちろん宿代もな。あ、おばさんには全部許可取ってあるから安心しろよー。」
「あれぇー、手のひらで転がされてた感が否めないなー。まあいいや。それじゃあエスコートよろしく!」
「はいよ。」
そして俺たちは手を繋ぎながら、ライトアップされた夜桜が舞う道を歩き始めたのだった。
参考:2ch メリーさんシリーズ