表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/47

記憶の整理

途中、サービスエリアに寄る。

何をするわけでもなく、運転席を倒して目を瞑る。そうしてゆっくりと深呼吸をし、今日あったことを思い出す。とはいえまだ昼過ぎ。濃密な午前中だった。何が何だか分からぬまま今ここに居る。状況を整理する為には必要な時間だ。


昨日の夜は確かにネットカフェに居た。そして気付いたときには家で血塗れになって起きた。パニックになって家を出て今ここに居る。

問題なのは、パニックになる前の行動だ。完全に記憶が抜け落ちている。ネットカフェから家までの間に何があったのか。血塗れになったのはその間しかない。夢遊病の間の記憶を思い出せなど誰が出来ようか。そんなことが出来るのなら誰か教えてほしい。

ただ、である。

疑問点がある。

それは、優秀と言われる日本警察が、昨日夜から深夜にかけての逃亡者をここまで放ったらかしにするだろうか。

もしかして、私の勘違いなのかもしれない。血塗れになったのは何かの手違いで、警察のマークは私ではなく他の者になっている可能性もある。でなければ、私なんぞの素人の逃亡者1人捕まえられないのはおかしい。規制線も張られていない。これでは誰でも逃げれる。

それにテレビやラジオでも声掛けをするはずだ。こういう事件があって犯人は逃亡中だと。しかしそれも見ても聞いてもない。見逃し聞き逃しがあったとしても、普通にサービスエリア等利用出来るものだろうか。日本警察は思った程優秀じゃないのか。それとも他に犯人が居て、私は巻き込まれたに過ぎないのか。


考えがグルグル頭を駆け巡り、整理しようにも整理できない。分からないことを分からないままにしておくことがこれ程ストレスになるとは。

サービスエリアを出て再び高速道路に戻る。

夢遊病の症状に加え、昨日の記憶喪失、血塗れでの目覚め、逃亡劇等々、理解できぬままどうしようもなくただ道路をひた走る無力感に襲われ、私は叫んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ