彷徨う
大型スーパーを渡り歩き、ようやく落ち着いたのは午後8時。この街では一番大きく駐車場料金もかからず、敷地内にコインランドリーとネットカフェもある。車中泊するならここが最も理想的だと思った。アパートには、出来る限り近づかず、時が過ぎるのを待とう。
今日の事を振り返っていた。
そもそも夢遊病とはストレスに起因することが多い。確かにここ最近、ストレスしかない。特に上司の小言。独り言かと思えば突然キレだすし。何故毎日のように奴の機嫌を伺いながら仕事せねばならんのだ?訳が分からない。上司のそのまた上司も、更に上司も、奴には気を遣っている。全てが奴中心で回っている。奴が起因で辞めた先輩後輩同僚を何人も見てきた。しかし、それは奴の耳には入らない。何故なら上司も奴に気を遣っているから。全くなんて奴だ。思い出すだけで腹が立つ。
1人車内で思い出しながらぷんすかしているのも嫌になったので、気晴らしに車を走らせる。
八木山にでも行こうかな
誰に言うでもなくポツリと独り言。行く宛てもなく彷徨い、気付けばガソリンメーターも半分を切っていた。ガソリンスタンドに寄り燃料補給し、またスーパーの駐車場に車を停めた。
そろそろ寝るか。
運転席を倒し、毛布にくるまり目を瞑る。夢遊病、ストレス、上司、スーパーの試食、アパート、友達、etc...
頭の中も彷徨い歩いているな
何も考えず無になる場所はないだろうか。そんな場所があれば真っ先に使う。行く。
ウ~ム...
ハッとして、顔を上げた。
ネットカフェがあるじゃん!
私は目の前のネットカフェに入り一夜を過ごすことを決めた。