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怪人

全員の視線が声の主へ誘われる。その視線の先には後藤がいた。


全員その場から動かないように!

そして、今一度整列をお願いします。


後藤の言葉に、皆動揺を隠せないでいた。

早く追わねば家路が逃げてしまう。遠くへ行ってしまう。


...後藤。何か分かったのか?


凍りついたその場の雰囲気を山下がそっと切り開く。


山下さんも!とにかく皆一度整列し直して下さい!


そろそろと皆が整列していく。物音一つでも立てようものなら、その場で切りつけられそうな、ピリピリとした緊張感がその場を覆う。

全員が整列し直し、緊張感が少し解れる。

後藤の迫力は、未だ衰えない。


山下さん。室内に施錠を。そして、出入口は一番手前だけにして、そこには山下さんが立っていて下さい。


山下は言う通りにした。後ろの出入口から順に閉めていき、後藤の立つ一番手前側のドアだけを開け、その場に山下が立った。


これでいいのか?


ええ。ありがとうございます。

それでは皆さん、1人ずつ警察手帳を自分の前のデスク上に出して下さい。


おい、後藤。まさか...


ええ。この中に、居ます。おそらくですが...


どっちがだ?家路か?内田か?


そこはまだ何とも...しかし何れにしろ、外は緊急配備中です。この場で1人でも抑えられれば、我々の捜査はもう1人に集中出来ます。確実に1人ずつです。それが今なんです。


よし。皆!後藤の調べが入るうちは動くな!調べが済んだものから緊急配備に回れ!出入口はこの場所だけだ!それ以外から出ることは許さん!


山下がまず自分から調べろと目配せをする。後藤は山下の警察手帳を調べ写真と見比べる。制服のボタンを外し首回りを念入りに調べられる。警察手帳を持たせ、山下の調べは終わった。


今から順に調べていく!皆、制服のボタンを外し、首回りまで見えるようにして待機を!


皆が一斉に制服のボタンを外し、首回りを見せられるようにしてその場に待機した。後藤は順に念入りに調べ上げていく。1人目の捜査員が手帳を返され自分の身の潔白が証明されると、安堵の表情を浮かべた。しかし後藤は、その安堵の表情を浮かべた捜査員を叱責した。今からが始まりだ!一瞬たりとも気を抜くな!と。

その言葉に皆が気を引き締めた。緊張感は山下のいる出入口まで続いた。廊下に出ると皆が一度は緊張を和らげているのが山下には分かった。


捜査員の大半が居なくなっていた。もう居ないのではないかとその場にいた誰もが思った時、後藤の表情が変わった。先程皆の前で声を上げて報告をした二宮だった。


見つけたぞ!確保!


山下はその瞬間開けていた出入口を封鎖した。残っていた捜査員も二宮目掛けて飛びこんでいった。後藤は二宮の特殊メイクのマスクのようなものをひっぺがした。中からは家路の顔が覗いた。


あなたの方でしたか、家路さん。まるで怪人二十面相ですね。内田はどこですか?


やれやれ。やはり君は侮れん。

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