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岡田と名乗る男

...

ふと目を開けると、そこには見知らぬ親父達が居た。

周囲を見渡す。

殺風景な景色。

1人は目の前のデスクに対面で座り、もう1人はその後ろの扉の前に立っている。

2人とも年季が入っている風貌だ。迫力が違う。

史郎が居なくなった理由がはっきりと分かった。

この2人に詰められたら誰でも嫌になる。



目の前に座っている男が、気を利かせて大丈夫かと聞いてくる。もう1人の立ってる方は、信じられないといった表情でこちらを見ている。初見なら当然だ。むしろ驚かない方がおかしい。驚かないのは、よほどのアッケラカンかそれとも何か知っているかだ。


座っている男に名前を聞く。

珍しい苗字だ。ここいらの出身ではない。

もう1人は、どこにでもいそうな苗字だ。

俺にも質問が及んだ。

名前を言い合いながらコミュニケーションを取っていく。


なるほど。定年間近のおっさん2人が史郎を追い詰めたんだな。で、どうしようも出来なくなって史郎は潰された。それで俺が出てきたわけか。

とはいえ、俺が出てきてもな。こういう場面は慣れてない。とりあえず、食い物でも頼むか。


ねぇ、お巡りさん。昼食、出ないの?


座っている男が、まだ少し呆けて立っている男に休憩を促した。ドアを開け1人がサッと立ち去った。座っている男がこっちに向き直り言った。


そうだな。少し休もう。何が食べたい?


こういう場面ではカツ丼でしょ?


図々しいかと少し思ったが、少し位良いだろう。皆が起きている昼間に出てきたのは珍しい事だし、俺の正体もバレた。こうなれば遠慮など無用だ。


ここは禁煙ですか?


あぁ。残念ながら。それに、いくら喫煙OKだとしても、お前は吸えると思っているのか?


それはそうだ。いつの間にか煙草もない。持ち物押収されたか。いづれにしろ、ここではあっても無用の長物だ。カツ丼来るまで我慢してよう。


程なくしてカツ丼が来た。さっきまで居た家路というオヤジも席を外した。俺は一心不乱に食べた。史郎の奴は少食だから、きっと朝から何も食べてない筈だ。その分俺が摂取しなければ、身体がもたない。



家路は喫煙所に居た山下を見つけた。


昼飯だぞ。


ああ...


山下は気の無い返事をした。また煙草に火をつけ吸い始めた。


お前は驚かないのか?


いや、驚いたよ。あそこまで変わるとは思ってもいなかった。


それにしては冷静に見えたがな。


お前は後ろから見ていたからな。真正面から見ていたら俺の顔を見ていたら笑っていたさ。


そうか...

ここからどう崩す?


向こうから休憩を申し込んできたんだ。落ち着かせる前に崩したい。どう崩すか2人で話し合おう。こちらもこの時間を有効活用しなければな。


...腹が減っては...か。

食べるか。


ああ。まずは食べてからだ。


2人は喫煙所を出て、ガラス越しに岡田と名乗る男を見ながら昼食を取ることにした。

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