つぐない
94話 つぐない
「スゴイわシルビーさんって、どんな姿にでもなれるのね」
今、わたしの前にわたしが座っている。
でも、格好はマーブル柄のぴったり全身スーツだ。
そのボディはわたしよりセクシーで、ちょっと嫉妬感も。
師匠が。
「シルビー、顔が、マコちゃんで体がナイスバディで色っぽいで」
枯木くんも赤い顔して、鼻の下が伸びたような顔をしてる。
「師匠、どーせ、わたしの体は子どもですよぉ」
あ、師匠。そんなコトを訳さなくても。
《マコトの体は子どもなのか? 私はそうは思わないが。私のボディは、この地のオスが良いという平均だ。マコトの体も悪くはない。とは、あの白い巨人のときを見てだが。今のその姿では、わからない》
今は、わたし大き目な男性のTシャツでだぶだぶ。下はスウェットだし、あのぴったりスーツではないが、アレはズルしていて体形を変えてるからなぁ。
《気にするな、マコト。私の本当の体形はココのオスと変わらない。我々には体形にオス・メスの変わりがないのだ。だから、この地のメスの
美を研究し始めた》
《だよ、マコちゃん。ワイらはつまらないボディなんだ》
なんだか、みんなテレパシーか、なんかで会話してるのか?
何もしゃべらず表情だけ変わってる。
凡人のボクはカヤの外か。
「あの、ナニを話してるんですか?」
「わるいなぁコボちゃん。女性のボディの話や。子どもの自分には耳の毒や」
「コボちゃんって、マンガのキャラみたいに。どんな変な話しを?!」
コボちゃんは、小学生の時に言われたが。
「枯木くん、師匠の冗談です。シルビーさんたちの体に男女の差がないんだそうです」
「そーや。変な話じゃないでぇ。ワイらは本当は男も女も同じ体形なんでオモローへんやろ。そーゆー話や」
「そうなんですか、じゃシルビーさんの体は作り物みたいな」
「そうや、なぁ」
と、ゾフィーは、シルビーさんの肩に手を。
人間の言葉がわからないシルビーさんは、キョトンとした顔でゾフィーを見た。
「あの……ゾフィーさんは、シルビーさんと同じ星のエイリアンなんですね。今まで戦ってて知ってたんですか? あ、岐阜に言ったときシルビーさんたちの仲間を見てるので、あの頃から」
「知ってました。多分アレの仕業と」
「師匠、アレとはシルビーさんと一緒に居た。男」
「アレと会ったのマコちゃん……」
〘番組の途中ですが臨時ニュースです。
夕方に現れた甲冑の巨人がまた現れました。現場は夕方と同じ木更津の防衛軍基地で……〙
「え!」
誰よりも早くマコトさんがマドを開けバルコニーへ。
僕らも。
防衛軍は隣だ。しかも相手は巨人、見えた。昼間のジャンヌ・ダルクだ。
〘防衛軍ヨ、シルビーヲ、何処二隠シタ。我ハ明日マタ来ル。ソノ時二此処へ連レテ差シ出セ!〙
ヤツは言うだけ言って、空に消えた。
〘アレはシルビーさんを、あきらめてないのね〙
〘ヤツは、シルビーをかくまってるのは防衛軍だと思ってる〙
〘あいつ、シルビーさんを殺そうとしたのよ。なんで?〙
〘アレはな、そういうやつなんだ。自分で殺らなきゃ気がすまない〙
〘☆Ⅷ△Χ、私はアレの権力になびいた女。明日出ていく〙
〘やめてくださいシルビーさん、なんで殺されに行くのです〙
〘つぐないです。私たちがしたことの……。ソレと☆Ⅷ△Χ、あなたを裏切ったむくいをうけます〙
〘シルビー、オレはもうナニも……〙
〘ウソです、ならなんでここに来てアレの邪魔をしてるのです〙
〘ソレは、たまたま偶然だ。邪魔をしてるのは俺ではなくマコちゃんだ〙
「師匠、そのイケメンで標準語でしゃべるとなんか、かっこいいですね」
「この顔は仮の顔だ……」
「あっゾフィーさん標準語。みんなでナニ話してたんです。ボクもまぜてくださいよ。なんか寂しくなります」
「ゴメンネ枯木くん。実はかくかくしかじか……」
「シルビーさん、自殺みたいな真似はやめてください!」
シルビーは、マコトさんの通訳でボクの手を取り何か言ったが、わからない。
ボクはマコトさんに?
「自殺ではなく、つぐないに行くのだと」
また、シルビーは、しゃべるとマコトさんを見て通訳しろと。
「死の概念が、わたしたちとは少々異なるらしいです。死は消滅するのではなく、したいことが出来なくなることだからと……そして、彼女はしたいことをもう、し終えたと」
「でも、まだ知りたいこととか有るんですよね。だから、しばらくココに居たいと」
マコトさんがシルビーにボクの言葉を。
〘行くな、シルビー! アレは俺とマコちゃんでなんとかする〙
つづく