寺へ再び
8話 寺へ再び
「あいつ居ないよ」
「教えることないと言ってたから、どこかへ旅にでも出たのかしら」
「そうかなぁジャッキー・チェンのクンフー映画みたいに?」
「ねぇもしかして、あのお寺に」
「あそこは不思議な場所だよね。仏寺なんだけど中は、ドコかの怪しい宗教の……」
「枯木くん、なんとかって言ってたよね」
「ウルトラマンのある回に出てきたノアの神って、大昔にウルトラマンが地球に来ていて神として崇められてた。みたいなエピソードなんだよ。あの話しは」
「ウルトラマンか、わたしよく知らないのよ。テレビのドラマは……」
「ああお父さんは、映画の方専門だったね」
「ええ、中学生のときにそこんトコで純子と微妙に話がズレたのよね。ガッパやギララなんて見たことも聞いたこともないと。仮面ライダーは、あの子詳しかったわ」
「マニアでも、いろいろあるからね……。ウルトラマンみたいな巨大派とライダーみたいな等身大の怪人派とじゃ話があわなかったり……。戦隊物は両方出たしおまけに巨大ロボットも」
「そうなのね。枯木くんは映画もドラマも詳しいわよね」
「特撮物はだいたいわかるけど……」
「今度、テレビ怪獣のコト聞きたいわ」
「ボクの話で良かったら」
ウソみたいだ。特撮マニアで良かった。
「陽がくれるわ。秋は早いからね。明日、お寺に行つてみない」
翌日。ボクらは例のあぜ道から森に入った。
「今日は霧とかモヤはないね」
「アレって、カレがおこしてたのかな? 寺に入られないように」
「そうなら、あの寺はゾフィー・マックスの隠れ家なのか……。でも、マコトさんが大きくなったとき屋根壊しちゃたよね」
「アレは本堂だけだから、他は問題ないと。本堂が、あれだけキレイだったんだから他もキレイなんじゃ」
「そういえば、寺の坊さんたちが住んでたらしき住居加屋とか在ったよね」
いくらか森を歩いたが、あの石段が見つからない。おかしいなぁ。
「ねえ、あの辺り上りになってるよね」
「行ってみよう」
坂になってるあたりに来たら石が見えた。
「コレ、って石段じゃない?」
足で土をどけてみると、どうもコレは土にうもれた石段だ。
「土をかけて隠したのかしら」
「あれから、そうたってないのに自然にみえるんだけど……あっ、上の方見て、石段が。やはりコレは寺へ登る石段だ」
上に登ると石段は、ハッキリとわかる。もうすぐ頂上だ。
まえと同じように空が見えた。今日は快晴で青空だ。
西に下がった太陽が見えた。
「あら、あの門まえより古く見えない」
「そういえば……」
門まで行くと手で押したら門が動いた。
「あぶない!」
ボクはマコトさんをかばって前に。
運良く門の扉が反対側に倒れた。
ボクはマコトさんの上に。
コレは、漫画によくあるシチュエーション。
ボクの右手がマコトさんの胸に。左手は腰の下だ。
それにスカートがめくれてパンツが、カワイイ白いパンツがまる見えに。
「あ、ゴメン!」
ボクはすぐに起き上がった。
あ、ヤバっマコトさんがあおむけになったまま。めくれたスカートもそのままで。あ然としてボクを目を見開いて見てる。
「あっ枯木くん!」
こんなときはどう動けば。
不可抗力なのに漫画ではたたかれる。
でも。
あわててマコトさんはスカートを直し手をボクに。
「ありがとう枯木くん、助かったわ……」
ボクはナニも言えずに握った手を引いておこし。そのまま本堂の方に。
「あ、枯木くん。手を」
「うわっ、ごめんなさい!」
あわてて手をはなした。
ちょっと冷たかったけど、やわらかな感触が。
たまらなかった。
その前はその手は彼女の胸の上に。
ブルゾンの感触だったけど。ふっくらとしたおっぱいの感触も。
あ、ヤバい。
めくれたスカートの絵も目の前に浮かび、股間が。
「枯木くん見て、やっぱり門みたいに本堂が……」
屋根は崩れたあの日のままだがナニか違う。
中に入ると。
「この前と違うじゃないか」
あのモアの像といった、のっぺらぼうの像はないし幕もない。
しかも本堂はまえより荒れ果てている。所々床に穴が。
「このまえのあそこはココじゃないのかしら?」
「あの宇宙人が作った仮想空間とか」
「自称よ」
こだわるんだなマコトさんは。
「あいつはココには居ませんね」
他の部屋なども見たが完全に廃墟だ。
荒れ寺だ。ココは。
門まで引き返すと。
「あれ、ここ猛魎寺じゃない。総霊寺だって」
マコトさんは壊れた門の所から上の寺名を見て言った。
ボクも同じ所から出て見上げた。
「たしかに。そうりょうじって読むのかな」
ガタッ
え、名前を書いた額板が。
ガタッん
と下に落ちた。
「あぶない!」
ええ、どうなってるんだ。額板が縦に回転してボクらの方に。
「逃げろ!」
ボクはマコトさんの手を取り石段の方に走った。
バタン バタン バタン
「なんなの! 追ってくるわ」
ボクらは、石段まで来て数段降りてしゃがんだ。
バタン バタン バタン
頭上を額板が飛んで石段の下に壊れながら落ちていくのが見えた。
「ふーっあぶなかった」
バタン バタン バタン
「ナニっ、今度は扉だ!」
「頭をさげて!」
なんという偶然だ、扉板が足元に倒れ石段を滑り落ちた。
とっさに跳ねてボクらは扉板の上に乗った。
「ウソっこのまま滑つて降りるの!」
ならジェットコースター気分だが、石段もキレイにはそろってなかった。
バキッガバーン
扉が破れてボクらは上に跳ねて飛んだ。
「枯木くん、大丈夫よ手を離さないで!」
ボクより先にマコトさんは石段の上に着地し、ボクをお姫様だっこでうけとめた。
コレもあの自称宇宙人に習ったというコスモフィストのおかげか。
が、石段の上に後ろ向きでボクをキャッチしたときに。バランスをくずしたマコトさん。
二人は石段の下にゴロゴロと落ちた。
「うわぁああああああ」
つづく




