変態野郎
74話 変態野郎
「そんなの関係ないわよ、私が映画で観た宇宙人は、卵から生まれてたけど腹を破って出てきたわ」
〘女、ナンダソノ生命体ハ? 我々ノ常識デハアリエナイ。ダイタイ他ノ生物二卵ヲ産ミツケルナドトイウノハ下等生物ノスル事ダ〙
「そうなの……。アレは映画の話なのね」
〘ナンダカ知ランガ、気持チノ悪イ話ダ。我ガ子ヲ他ノ生物二産ミツケルトハ……〙
「へぇ~あなたたち、意外とまともじゃない」
「おい、そんなことより。おまえらは、あたしらを捕まえてナニする気なんだ! 人を裸にして、閉じ込めるなんて。この変態野郎」
〘変態野郎?……妙ナ事ヲ言ウ。翻訳不明ダ、意味ガ解ラナイ……〙
「外国人って、都合が悪くなると意味不明だとか、知らない言葉だとか言って逃げるのよね。宇宙人も同じね」
〘ナルホド変態野郎トハ、オ前タチノ国ノヒーローカ?〙
「ヒーロー? どうしたらそんな解釈できんのよ。か弱い女を拐って裸で閉じ込めとく、あんたらが、なんでヒーローなのよ。そういうコトするあんたらみたいのが変態なのっ。わかるぅ?」
変態野郎をヒーローと訳す翻訳機って、おかしいわね。何なの宇宙人の翻訳機は。
しかし、あの女性は宇宙人相手に堂々としてるわね。
〘変態トハ、昆虫ノアル種ガ変身スルト、ソシテ野郎トハ男ノコトト、虫ノ様ナ姿二変身スル男トハ、オ前タチノ国独特ノ、ヒーロー『仮面ライダー』ト翻訳サレタガ、違ウノカ?〙
なるほど、そういうことね。
「宇宙人さん、変態には違う意味もあるのよ。あなたたちの翻訳機には出てないのかしら」
と、私は言ってやった。
「そうよ、地球人をバカにしてるくせに、あんたらの機械はもっとバカね!」
〘我々ノ翻訳機ニハ、他ノ意味ガナイ……〙
「日本語は、他の国より複雑なのよ。もっと勉強させなさいよ、その機械に。地球のAIの方がマジなんじゃない?」
ショートの女性があかんべぇをしているが、声は聞こえるけどヤツらは何処に?
この部屋を見回したが、スピーカーらしい物もない。
しかし、私たちの声や姿は向こうからは、わかるようだ。
何処に居るのかわからない相手としゃべってるけど、私たち全裸というの忘れてない?
みんな。
「バカな会話は、終わりだ宇宙人。私たちを早く帰してよ!」
「ちょっと来てください」
ショートボブの女性が、あの転送装置の前にしゃがみ私を呼んだ。
そばまで行くと。
「見て下さい、コレはスイッチですよね」
たしかに円柱の下の所に。
「記号か、字のようなモノが書いてあるわね。コレって宇宙人用と私たち人間用かしら?」
「動かして見ましょうか?」
と、彼女は、私がナニか言う前にスイッチを動かした。すると。
「開いた!」
「ソレは円柱の中に入るためのスイッチらしいわね」
「宇宙人のモノにしちゃアナログですね」
〘ヤメロ! 女タチ、サッキ言ッタハズダ。ソレデハ逃ゲラレナイ。消滅スルゾ〙
「でも、コレで私たちを拉致して連れてきたんでしょ。ココに戻るのは、あんた達も一緒だったんじゃないの私たちと。おかしいわね……消滅するなんてウソじゃないの?」
あ、円柱の中にチリの様なモノが?
ソレが、かたまりはじめて人の形に。
「ナニ、誰かが……」
例の宇宙人の姿になったが、もう一人誰か後ろに居る。
宇宙人が、先に円柱から突き飛ばされたようなかたちで出てきた。
そして、後ろから現れたのは。
「ココが拉致した女たちの居所ね」
エクエスガンをかまえた。
「キョウゴクジ隊員!」
「カレンさん、やはりココに」
突き飛ばされて倒れた宇宙人の顔に足を乗せエクエスガンを向けて。
「ココにあんたたちの仲間が居るのね」
〘暴力ハヤメテクレ〙
「ナニ言ってるのかしら、私を拉致しようとしたくせに……あら、カレンさんなぜ裸に?」
「今、気づいたの。私だけじゃないわよ、拉致された女性たちみんな裸よ」
「この変態宇宙人、仲間に言え皆を解放すると、さもなければあんたや基地の研究所に居る仲間も命はないわよ」
〘ヤメテクレ……殺サナイデクレ〙
〘ハハハハ、コレハ面白イ女ヨ。ソレハ、オドシトイウノカ? オマエノ足元ノ者ハ任務二失敗シタ。消滅サセルガイイ〙
「なんだ、仲間か?! ドコに居る」
「ソレが声しか聞こえないの」
「おまえは、こいつらの親玉か? 失敗したら消滅させてもイイって、容赦ないわね!」
〘親玉? 何ノコトダ翻訳不能……親二玉トハ、卵ノ事カ?〙
「カレンさん、ナニを言ってるんです卵とか?」
「どうやらヤツらの日本語翻訳が不完全なのよ」
「親玉っていうのはボスという意味よ、おバカな宇宙人さん」
〘ボス……飲料水カ?〙
「ホント、カレンさん、たしかに……」
〘ソレハ……。 別ノ国ノ言葉カ……ナルホド、ソウイウ意味カ、タシカニ私ハ、ボスダ〙
「そうか、なら姿を堂々と出しな!」
「そうよ宇宙人、コソコソと。あんたらってなんてぇ小心者なの、ちっちゃな人間拉致事件ばかりしてさ、恥ずかしくないの!」
「カレンさん、なんです、あの女性は?」
「何者かは知らないけどUFOのコトくわしい人みたいよ」
「その娘さんの言うとおりだ、あんたら宇宙人はいつまでコソコソと地球侵略を続けるんだ!」
〘妙ナ事ヲ言ウ、我々ハ侵略ナドシテイナイ〙
つづく




