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解体ショー

71話 解体ショー


 もうダメだろうと思ったカバゴンが変形した頭を振り、顔を上げた。


 ゾフィーじゃないが、ホントに多勢に無勢だ。


「まったく、防衛軍もエクエスも、使えまへんなぁ。どちらの武器も怪獣には通用へんようになってまんなぁ」


「エイリアンが、怪獣を送り込んで武器の加減を調べていたんです。で、ここにきて奴らは武器が通用しない怪獣を送り込んだ」


「ほな、仕方ありまへん」


 ゾフィーは、怪獣たちの居ない、マコトさんの目がとどきそうな場所を探し。


「ここならええんちがう!」


 いつの間に本部の壊れた屋上あたりに。

 ひょこっとゾフィーは姿を表した。


「パイちゃん、聞こえる。わいが複数相手のコスモフィストの最終伝授しまっせ。わいの動きをよく見なはれ!」


 ナニか言ってるが、ここからは聞こえない。


 ゾフィーはその場でコスモフィストだろう。拳法の形を演じだした。


 ソレを見るマコトさんが、同じ形をはじめた。


「ええで、パイちゃん。そしてこうだ。で、こう動いて後ろのヤツのキンタマを蹴る!」


〘師匠、わかりますが、下品です。それに怪獣も股間が急所なんですか?〙


〘さて? やってみなきゃわかりまへん〙


 怪獣たちは、まさか小さな人間大のゾフィーのマネをしてるとは思わず警戒してか、動かない。


〘だいたいわかりました師匠。この形で突っ込みます!〙


 ナニか納得したようなマコトさんはサル怪獣と地底怪獣、カバゴンの中央に入るとジャンプしてカバゴンの背に着地し真横のサル怪獣の顔に回し蹴りを入れると。素早く地底怪獣の長い尾を掴み振り回して巨大化したエイリアンとサル怪獣を地底怪獣で殴り飛ばした。


 凄い力だ。怪獣の一頭を武器に使うとは。


「マコトちゃん、ソレはわいが教えたのと、ぜんぜん違うわなぁ〜」


 地底怪獣の長い尾を手刀で切り離し。マコトさんはムチのように使い、倒れて起き上がろうとするサル怪獣とエイリアンを尾のムチで、しばき倒す! 


「マコトさんって意外に……」

 

 ムチを持たない手は光輝く手刀に、それが長くなり剣のようになった。

 怪獣たちの真ん中に入ったマコトさんは怪獣たちを斬り上げた。


「凄いぞ! 怪獣の手足が斬られまくられてる!」


 怪獣の手足が宙に飛んで落ちてくる。

 近くに居るとあぶない。


「怪獣の解体ショーや〜」


 うん、そや、その動きや。腕が剣化したんで威力倍増やな。

 さすがやわマコトちゃん。

 やるときはちゃんとやってる。


「ええで、そこでタマキン蹴りだ!」


 


 ビーグルの二人。


「凄い、オレたちの武器はなんだったんだ……」

「銀玉鉄砲ですかね……ヤラシさん」


「グンマ、おまえ銀玉鉄砲とか、よく知ってるな。オレの子どもの頃には、ほとんど見なくなったのに」

「そうですか? ボクの育った田舎の駄菓子屋には有りましたよ」


「しかしアレだけ解体してくれると処理班が助かるな」



 エクエス本部の駐車場や広場が怪獣の刻まれた肉片だらけに。


その真中に立つ青いショートヘアーの白い巨人は、ボクの方を。


 そうか、今回はかなりエネルギーを。ボクはカノジョの下着と着替えが入ってるリュックを持ち、本部の瓦礫の中に。


 マコトさんはドコに戻るんだろう。とりあえず女子寮へ。

 瓦礫と怪獣の肉片で、中々進めない。


「おお、枯木くん。はよ」


 女子寮入口にゾフィーの姿が。


 なんとか、たどり着くと。


「女子寮のロビーでこんな物拾ってしまった。ど〜しよ〜」


 と、ボクに拾ったバッグを開けて見せた。


「ソレは……女性の下着じゃありませんか」

「誰のかな? 皆、高級品だな……もしかしてカレン隊員のかも……」


 ゾフィーは中のパンツを広げて見てニヤニヤと。


「残念ですね、師匠。カレン隊員は女子寮でなく幕張のマンションですよ」


 マコトさんは顔だけいつものマコトさんで身体は白いスーツ姿まんま。背丈は当然人間大。


 あんなに怪獣どもを斬りきざんだのにスーツはキレイだ。


「マコトさん、スーツが薄くなりかけてます」


 下腹部のあたりが黒ずんできた。


「あら、まずいわ。枯木くん。リュック!」


 ボクはあわてて背中のリュックを渡したら、リュックで身体を隠すようにしてマコトさんは、ロビーの奥に走って行った。


「うそ、お尻が……」

「え、ナニが見えたって」


 拾った下着を見てたゾフィーは見てないようだ。

 あんたは見ちゃいけない。


「カレン隊員は寮には居ないなら、ソレは別の誰かのですね。ゾフィーさん、さっき標準語でしたよ」

「だから、テレビで覚えたと。ねぇ、これもしかして夏樹ちゃんのじゃ……」

「臭いとか嗅がないでください、それは……」

「フローラルの香りが……」

「柔軟剤の香りですよ」


 

 本部は半壊状態だった。

 ケガ人は多かったが亡くなった方はエクエス本部も防衛軍にも出なかった。


 流石だと、お偉い上層部の人たちがテレビで話していた。


 ボクとマコトさんは、本部の修築が終わるまで、しばらく森目家から本部に通うことに。


 行き帰りはお父さんかお母さんのクルマで、時間が合う方に乗った。



 森目家リビング。


「嬉しいなぁ大学は受かったし、一丈青さんたちは帰ってきたしで、いい事づくしだ」

「兄貴は、四月から大学の寮じゃなかったけ」 


「そうなんだよなぁ〜せっかくまた一丈青さんと……」

「兄貴、変なとこで、話し止めないでよ」


「春休みだけでも楽しもう一丈青さん」


「ごめんなさい。お兄さん。会社……あ、エクエスは休日が決まってないから」


「だよね。エクエスは年中無休よ兄貴。兄貴と遊んでる暇ないのよ。枯木くんもでしょう?」


「わっ、純子がくんとか付けて……どうした?」


「あ、なんでだろ久しぶりだから……」

「いや、こっちで初めて会ってからも枯木だったよな……」


「まあ……そんなの気にしない。そうだ、枯木。エクエス本部って美人が多いってホント?」


「ホントですよ。みなさんおキレイな方ばかりで、お兄さん早く入隊して下さいね」


「やはり、それは頑張らねば。防衛大を首席で卒業して、いざエクエスへ!」


             つづく

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