良い友だち
64話 良い友だち
ボクと東さんが、お昼を食べにイタリアン大衆食堂に行ってたのをマコトさんに見られた、夜。
ボクのスマホに電話が。
〘枯木くんまだ、起きてる?〙
マコトさんから電話が。
「今、布団に入ろうと……」
〘変なタイミングで、ごめんね。お昼のことなんだけど、今頃で……気になって眠れなかったから〙
ナニが気になったのマコトさん。
まさか、ボクにヤキモチ。なんてないよね。
ボクはマコトさんと付き合ってるわけじゃないし。
「あの後さ、夏樹さんに。あ、夏樹さんは一緒に店に来た人ね。彼女が『彼氏の浮気現場、見ちゃたね』とか、言われちゃて。ね、わたしは彼氏では、ないって」
そうだよね。ボクがマコトさんの彼氏のわけないよね。
〘わたしが、よく枯木くんと仲良く話してるから、周りからそう思われてるみたいで。枯木くん、わたしのせいで、変なウワサが立っちゃてるのよね。ごめんなさい。枯木くんにはちゃんとした彼女が居るのに〙
ごめんって、なんでマコトさんが。
まあたしかにボクとマコトさんが付き合っては居ないけど。彼女も。
「違うんだマコトさん。べつにボクと彼女は、あの人は同じ清掃課の仲のイイだけの同僚で。今日はたまたま先に彼女にお昼誘われたから……。マコトさんのお誘いは……。彼女とかじゃないから、あの人は。あの人は、ただ歳が近いから仲良くしてくれるだけのおねえさんだから。ボクら歳誤魔化してるだろ……。年上の人なんだ」
あれ、ボクは何を言ってんだろう。彼女に年上も下もないけど。
「彼女さんじゃないの? でも、大洗町に一緒に」
あのときはゾフィーに。
「ゾフィーさんが、あの娘を気に入ってて誘ったんだよ。ボクはゾフィーさんに誘われてくっついて行っただけさ。べつに特別な関係じゃない。それにボクとマコトさんが付き合ってるなんて、ウワサは。ボクには、ありがたいけど有り得ないウワサ話だよね。ボクなんかと。マコトさんが迷惑なんでは。ボクたちは向こうでは、ただの同級生だったじゃないか……」
そうだ、ちょっとまえまでボクとマコトさんは。存在さえ知られてなかった同級生。
〘ただの同級生……。友だちじゃなかったの? 怪獣好きの〙
「そ、そうだよね。ボクはマコトさんと怪獣好きの友だちだったよ……」
うわぁ~なんだぁ。ボク涙が。
ボクは学校でNo.1の美少女と友だちになれたんだ。しかも二人で異世界に。
そして秘密も共有していて今はパートナーみたいに。
向こうでのただの友だちじゃなくなってるんだ。
今は。
〘枯木くん、わたしたち、ただの友だちじゃないわよ。枯木くんはわたしの秘密を知るただ一人の友だちだよ〙
秘密を知ってるのはゾフィーも。
でも、ヤツはマコトさんの師匠で友だちじゃないか。
〘枯木くんとは、向こうに帰れても良い友だちでいたいわ……。夜おそくごめんね。おやすみなさい〙
「おやすみマコトさん」
最後の「良い友だちでいたい」は、ちょっと悲しいなぁ。
まあボクなんか、マコトさんの彼氏になれるのはこちらのウワサの中だけだよなぁ。
お昼の帰り道に、ボクに東さんが。
「あたし枯木くんが好きなの……。あの生活課の娘には見た目じゃ負けるかもしれないけど……」
ボクは生まれて初めて告白された。
しかも、彼女はボクとマコトさんの噂話をしりつつ。
「すまない、キミとは交際出来ない、実はボクはココとは別の世界から来た異世界人なんだ。やがて帰るときが来るから君を悲しませてしまう。だから……」
とか、言いそうになった。
まるで「ウルトラセブン」の最終回で、アンヌ隊員がセブンであるダン隊員に告白したシーンみたいだ。
ボクはモロボシ・ダンみたいに、マコトさんのように、変身して飛んで消えることは出来ない。
けど、多分ずっとこの世界には居れない。
いくら告白されたのが、嬉しいからと安易に交際なんて出来ない。
別れのときが来るからだ。
それが明日かも十年先かも、わからない。
昼間のボクは。
「ありがとう。凄く嬉しいよ。けど、ボクは……。キミとは交際出来ない体なんだ」
とか、言ってごまかした。
今、思うと「交際出来ない体」は、変だった。
はっきり言ってボクは、舞い上がっていた。
あの後、二人は黙ったまま本部へ帰って東さんとは話してない。
けして嫌いなタイプでもない。
向こうの世界だったなら付き合いたい人だ。
でも、ボクはマコトさんが好きだ。
良い友だちでもイイ。
はじめは。
エクエス指令室。
「隊長、群馬県の草津に白い熊のような怪獣が出現しました。モニター映します」
「スキー場か……。熊だなアレは……しかし、なんでまたこんな時間に」
「ヤツは夜行性なんですかね。熊……。マントヒヒみたいな顔してますね。尻尾は大蛇みたいだ。まさしく怪獣だなありゃ」
「よし、エクエストーム発進だ!」
つづく




