おかえりなさい
59話 おかえりなさい
「イイダ隊員、おかえりなさい」
「ああ、一丈青さん。これ、お土産。みんなでおやつにでも」
「ありがとうございます。サルボボまんじゅうだぁカワイイ」
「そんなもので悪いね」
「いえ、ぜんぜん。先輩方、甘い物好きですから」
「イイダ隊員な、見合いしたそうだ。で、その相手がさ、マコトちゃん似で美人だったんだと」
「ヤラシ隊員、わたしは美人じゃ……」
「ヤラシ、よけいなことを言うな!」
「イイダ隊員、胸の大きいイイ女だって」
「わたしは小さいですけどね……」
変身時は少し大きくしてるけど、森目純子には負ける。あまり大きすぎるのも戦いづらい。
そのままだと、わたしとバレる可能性もあるからね。
「見合いしたのか、イイダ。私は聞いてないぞ。どうなんだ、うまくいったのか? カガミもだが、おまえも早く結婚しろ」
「隊長、僕は関係ないですよ」
「おまえら、もういい歳だろカガミ、私の妹を紹介しようか。アレもなんでか結婚しない。で、イイダどうなんだ」
「いや、返事はまだ……」
「イイダ隊員、一丈青さんに、似てて胸が大きいって、言う事ナスじゃないですか」
「失礼します!」
「バカ、グンマ。マコトちゃん怒って帰っちゃたじゃないか!」
「怒って? ボク、まだカフェオレ煎れてもらってないです」
「まったくグンマ隊員は、それだからモテないんですよ」
「え〜キョウゴクジさん、どういう事?」
ピュルルン
「ハイ」
〘一丈青です〙
「どうしたの? 忘れ物」
〘すみません、グンマ隊員のお茶を忘れてました〙
「ほら、グンマ。戻ったぞ、あやまれ。マコトちゃんはいい娘だなぁ」
あれからひと月後、また同日に休みがとれたボクとゾフィーは、茨城県の大洗町へ。
今回は二人ではない。
車中には。
清掃課のアイドルと呼ばれた一番若い娘、東伊波さんと彼女の先輩で仲の良い桜田美紀さんが。
ゾフィーの借りたレンタカーで、後部座席に二人が。
はじめに、ゾフィーは東さんだけを誘ったが、オジさんと二人きりはヤダと、ことわられたそうだ。
ソレからすぐに東さんは桜田さんも、一緒なら良いと言いに来たと。
ゾフィーは、それでボクも誘った。
中年の桜田さんの相手をボクにさせるつもりだ。
「大洗であんこう鍋を食べたいと枯木くんがいうさかい」
ボクはそんなコトを言った憶えはない。
「そう聞いてなぁ。わいも食べてみたくなったんや。イナミちゃん食べたことある?」
「ないです。桜田さんは?」
「あるよ、私、実は茨城県出身なのでも、子供のときに。でも小さい頃だから味を憶えなてないのよね」
「そーなんだー桜田さんって秋田じゃなかったの」
「生まれはね。でも、2歳で茨城に引っ越したから、秋田なんて居た記憶もないから出身は茨城と」
桜田さんは四十代だと聞いてるが正確な歳は知らない。
ぽっちゃりさんとまでは、いかないがスマートとは言えない。どっちかというと東さんよりゾフィーに会うタイプだ。
色白の美人ともいえる。
東さんは、年齢詐称のボクよりは年上。
でも、彼女は、ボクを同い年だと思ってる。
ハッキリ言ってゾフィーに興味はあるとは思えない二十代だ。
「ねぇ枯木くん。ポッチー食べる?」
と東さんがチョコお菓子を。
エクエス本部指令室。
「隊長、茨城県の大洗海岸付近に怪獣の死骸らしい物が流れ着いたと茨城県警から」
「茨城の大洗町か。よし、カガミ、ツガル。エクエストームで向かう」
「隊長、オレも」
「今回は死骸だというので、ヤラシは待機だ」
「そんなぁ。生き返ったら」
「来るんならビーグルで誰かと来い」
「隊長、私行きます」
「ヤラシ隊員、キョウゴクジ隊員とドライブですか。いいなぁ」
「グンマ隊員、遊びに行くんじゃないわよ」
大洗海岸付近。
「やっぱり怪獣ですよね~」
「通報があったときはクジラかなんかだと。尻尾も背びれもあるしな。クジラではないだろ。しかしデカいなぁ」
「部長、水族館の方が」
「通せ」
「『大洗マリンパラダイス』の野々井と申します。大きいですね……海獣には、あ、海のケモノの方です。これほど大きのはいませんよ。シロナガスクジラでもここまでのは。尻尾に大きなゴツゴツとした背びれ、こいつはやはり」
「向こう周って見て下さい、足のようなヒレがありましたよ」
「見たところ頭がありませんねぇ」
「他の怪獣に喰われたのかもしれません」
「あなたは?」
「私は防衛軍、怪獣研究所の津軽です」
「早いですな県警の森永です」
「たまたま、他用で水戸に来ていたもので」
「おーい見たかぁ」
「なんか、向こう側の警察官が騒いでますね」
「無線が。おい、何があった?」
〘なんだか、漂流物の腹のあたりが動いたのを見たと〙
「腹が動いた? こいつは生きてるのか?」
つづく




