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寺へ

5話 寺へ


 昨日は、スマホで近所も探したがもうりょう寺なる寺は見つからなかった。


「おはよう」


 叔父が、眠そうな顔で現れた。

 叔父は母の弟で隣に住んでいる。

 叔父はもうすぐ六十になる独身貴族だが。

 

 ボクには叔父がいう独身貴族の意味はよくわからない。

 

 独身だから朝ご飯を作ってくれる奥さんが居なくて、食事はウチに来る。主に夕食だが、今日は朝だ。


「ふわぁ〜夕べは徹夜でね。寝てないんだよ。やっぱりアシスタント雇おうかなぁ」


 叔父さんは唐田寿史からたひさしという漫画家なんだ。

 四コマ漫画とかイラストの仕事が多いから一人で描いている。


「美人のアシスタントとがいいな、で嫁にでもするか」


「ナニ言ってんの、還暦のじじぃに美人の嫁さんなんて……こないわよ。なんで早く結婚しなかっの若い頃にいい娘いたんじゃないの?」


「姉さん、オレはまだ還暦じゃねーよ。若い頃って? デビューしたての頃か?」


「そうスケベ心で女の子ばかりの漫画サークルに入ってたのよね、あの頃あんた」


「そうなんだ叔父さん。漫画サークルのコトは聞いてたけど女の子ばかりだったの」


「そう昔は少女漫画描いてたのよ」


「そうなんだ母さん。じゃ今みたいなエロ四コマ漫画描き始めたのはデビューしてから?」


「姉さん、余計なコト言うなよ……」

「あんたの頭の中は女の子と怪獣だけでしょ。若いときからまったく変わらないのよね。はい、コーヒー」


「あ、叔父さんはウチよりまえからこの辺に住んでるんだよね」


 叔父さんの家は母の実家だった。

 昔はウチはアパート住まいだったから、たまたま売りに出された叔父さんチの隣の家を父が買ってボクが幼い頃に越してきた。

 で、叔父との交流が増え、ボクは叔父さんの影響で特撮怪獣マニアに。


「生まれたときからココだからな」


「じゃ、もうりょう寺って知ってるかな?」


「魍魎……化け物寺か?」


「知ってるの?」


「そう呼ばれた寺があるな。が、今は廃寺でガキどもの心霊スポットになってるって噂だ。行くのか?」


「べつに行く気はないけど。話に聞いて、そんな寺があるって。廃寺で心霊スポットなのか……」


 なるほど廃寺ならスマホで探しても出ないわけだ。


「その寺はドコに?」


「実はだな、その寺の話しは都市伝説なんだよ。ネット内では、この辺にあるようなコトをあげられてるが俺の知り合いでは行った奴は誰もいないんだよ。俺は誰かが作ったホラ話だと思ってる」


「都市伝説の寺か……」



 学校で昼休み。

 弁当を食べてると、朝はとりまきが居て声をかけられなかった一丈青さんが。


「枯木くん見つかった?」

「もうりょう寺は、やはりこの近くに……」

「あったの!」

「実は、都市伝説なんだ。廃寺で心霊スポットになってる寺が、あるらしいのだけれど……」

「都市伝説の心霊スポット寺!」


「都市伝説でも、あやしいのに心霊スポットってわけわからないよ。なんでそんな場所に来いなんて、あの人は。もうりょう寺かぁ……」


「おい、ボッキー。今、もうりょう寺とか言ったよな」


 おわ、現れたのは猪馬(いのば)だ。


「ナニ、まだなんか……」


「いや、ナニも。まさかマコトちゃんがあんなに強いとは……オレを弟子に」


「そんな気ないわよ」


「あ、はい……。が、もうりょう寺の話をしていたよな今」

「猪馬くん知ってるの?」

「ああ、一度行ったことがある」


「え、あるの。都市伝説の寺だよ」

「ああ、野黒と古川も一緒だった。夏休みにな。怪奇サイトのとおりに幸田の田んぼのあぜ道を通り森の中へ入ったんだ。でもよ、いくら歩いても寺なんか見つからなかった。廃寺だというし暗かったからな。で、やっぱり都市伝説だと引き返し始めたら森から出る頃に霧が出てきてよ、出口がわからなくなっちまっただ」


「それは夜なの?」


「ああ、心霊スポットに昼間行くほど度胸のない奴らと違うからなオレらは」


「しばらく迷ってたら出たんだ」


「森から?」


「い〜や……。なんなのかわからんロン毛のヨレヨレのコート着たおっさんが歩ってたんだよ。闇の中を」


「ねぇ闇の中で歩いてたのがロン毛でコートのおっさんて。なんでわかったの? 暗かったんでしょ。それに霧も」


「それがさ、そのおっさんの両脇に光る玉が浮いていたんだ。で、わかったよ。あのふたつの灯りはなんだったのか、不思議な玉だった。オレたちは、おっさんが森から出るんじゃないかと、あとをつけたん」


「で」


「出なかった逆に森の奥に。そして森の中に有る石段を登りはじめたんだ」


「石段もその脇に浮かんだ玉の光りで見えたの」


「ああ、そして上まで行くとデカい門が会ったんだ。野黒がよ、もしかしてアレが噂の寺じゃないかと。おっさんの入った門にしっかりと猛魎寺と……」


「猪馬さん、カツサンド買えましたよ」


「ひっ! 驚くじゃねぇか、急に声を出すな!」


「?! 猪馬さん、一丈青たちとナニ話してるんです」


「この前の夜のことだ。おまえも行ったよな」


「あの夜のことは……」


 野黒は青くなった、ナニか恐ろしい経験でもしたかのか?


「どうした野黒。シチューパンも買えたぞ」

「あ、古川。猪馬さんがあの夜のことを」

「え、ソレは……」


「猪馬さん、ソレ言っちゃダメなヤツですよね」


「あ〜大丈夫だよ。てめえら意気地ねぇな」


「寺でナニか?」


「おっさんにあとつけてたのバレたんだよ」


「猪馬さん、オレは関係ないすっからね。パンは机に。古川、見なかったことに。行くぞ」


「おい、おまえらも同罪だぞ!」


「その……ロン毛のおっさんにナニかされたの?」


「まあ……オレたちは奴に捕まって寺に」


「あんたたち三人がおっさん一人に……」


「それが、やたらに強くてよ、あっという間にオレたちは捕まり、気がついたら寺の本堂に逆さ吊りだ。相手はバケモノだ。喰われると思った」


「それで、なんで助かったの?」


「おっさんが寺のコトは誰にも言うなと。もし言ったら魂を取りに来ると言って変な匂いの御香をかがされたんだ。気がついたらオレたちは田んぼのあぜ道に寝ていたんだ」


「魂を……そのおっさんは妖怪かナニかですか?」

「ねえ枯木くん、ロン毛のおっさんって、まさか」


 あの自称宇宙人のゾフィーなのか。


「野黒たちは妖怪とか言ってたけどな。魂取りに来るなんて漫画だよなハハハ」


「どうかしら……。あなたが明日、学校を休んだら先生にその話言っておくわ」


 ボクも、一丈青さんも、もうりょう寺の詳しい都市伝説は知らなかった。


 帰りにボクは一丈青さんと猪馬が言っていた幸田の田んぼのあぜ道へ。

 そこは学校からそんなに遠くない場所だ。

 まだ3時半だから明るい。


 あぜ道を通って森の入口へ。

 入口と言っても門が有るわけじゃない。ただそこのトコだけ草木が無く森へ入りやすくなっているだけだ。

 この奥に廃寺が有るのだろうか?


「ねえ、もし寺が違ってたらわたしたちカレの約束通りの場所に行かなかったことにならない?」


「まあむこうもあいまいに言ってきたんだ。わからなかったと言えば……」


「なんか、モヤがかかってない?」


 森へ入って5分くらいか。森の中にモヤが。

 コレは猪馬の言っていた霧?


 周りが見えないほど濃くはないが、なんか妙だ。夕方にモヤって。


「あ、見て。あそこに」


 一丈青さんが指さした方向へ行ってみると石段が。


「コレが、寺に通じる石段かしら……登りましょ」


 先に一丈青さんが石段を。


 けっこうあるな。このあたりにこんな高い場所あったかな?


「百段くらいあるのかしら」

「あ、空が見えてきましたよ」


 ボクは駆け上った。


 階段の頂上へ着くと木はなく空が見えた。


 森へ陽が沈みかけてるのが見える。やはり高い場所だ。

 あっちは赤い空。

 こっちはまだ青空が。


 もう夕方だよな。たしかあの自称宇宙人は。


「見て、門が」


 石段登った先には大きな門が。アレが猪馬の言ってた。

 そばまで行くと、たしかに猛魎寺という大きな文字が。


「猛魎寺ってこういう字なのね」


 大きな門の横に戸があったから。


「戸は閉まってるよ。開くのかな? この大きな門。廃寺なんだよね。わあっ門が開いた!」


「待ってたで、マコちゃん」


              つづく

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