大人のライダー
45話 大人のライダー
生活課室内。
夏樹さんが。
「一丈青さん、今日は夜あいてる?」
「特に予定はありませんけど……」
「清掃課の人たちと飲みに行くの。一丈青さんも、どう?」
「あ、わたし飲めないので、すみません」
「そうか……。ホントは合コンなの。清掃課のイケメンを揃えたからどう?」
「いえ、おさそいだけで。ありがとうごさいます。いけません」
「あ……そう」
たしか、彼女と親しい清掃課の新入りの子。
合コンに参加してたらヤバそうだし。
「浜辺さんは、行きません?」
「行きませんよ」
「まあいいか、誰か適当な娘を誘って行こ」
ついに、清掃課のイケメン外国人に会えるわ。
でも、少なくても、あと一人は女の子連れていかないと。
「クリーニング課の娘でも誘うか」
「夏樹さんクリーニング課って清掃課じゃないんですか?」
「清掃課とクリーニング課はべつよ。清掃課は、お掃除専門。クリーニング課は、洗濯専門」
「まとめて生活課じゃないんですか?」
「まあ、ホントはそうなのよ。清掃係や洗濯係じゃなんかしょぼいでしょ。小学生みたいで。だからみな、課と言ってるの」
「しょぼいですか?」
「エクエス本部、生活課清掃係って言いたくないでしょ。生活課だけだと中じゃ、ナニしてるかわからないしぃ」
「そうですか……」
生活課お茶係か。わたしは。
まあいいんだけど。エクエスのみなさんと直接会えるし。夏樹さんは、まだ誰とも会ったコトないと同じ建物内なのに。
「合コン、楽しんできて下さい」
合コンかぁ。師匠も行くだろうなぁ好きそう。
本部横の寮に帰ると。
枯木くんからメールが。
《純子から『ライダーシリーズ』のソフトを借りたけど見る?》
そうなんだ。枯木くん、純子と会ってるのか。幼なじみだものね。
特撮ドラマか。わたしたちが居た世界とは違うと。まあ見てないから違いは、わからないけど。
「見たい。と返信した」
すぐに。
《女子寮の前に持ってくから》
と返信が。
わたしは二階部屋なんで、階段を降りて女子寮の入口に。
あ、もう。
「やあコレ、BOXで『仮面ライダークロウ』。向こうのシリーズにはないホラー風の大人のライダーだったよ。意外と怖かった」
「そうなの。わたし、ホラー苦手なの」
「そうなんだ……でも、テレビだから。グロやスプラッターはあまりないよ」
「枯木くん。あまりないって、コトはあるのね」
「まあ少し……放送時はカットされ、ソフト化には入ってるのも売りなんだ」
「枯木くん、怖いから一緒に観てくれる」
「そ、ソレは大歓迎だけど……お互い寮だし、マズイんじゃ」
「大丈夫だよ、べつに男子禁制でもないから。来て」
って、おい。マコトさん、いいの。
ボクは彼女について寮の階段を登り二階の彼女の部屋の前へ。
その時、隣の部屋のドアが開き。
「あら、一丈青さん。お客さん?」
「こんばんは。ハイ。清掃課で友人の枯木くんです」
「清掃課の……」
隣のメガネの女性は三十代くらいか。
ボクを上から下まで見て。
「私、寮長の長篠です。よろしく。あら、そのBOXは『仮面ライダークロウ』じゃない!」
「友人から借りて彼女、あ、いや一丈青さんと見ようと……」
「それ、深夜にやってて見れなかったの。私も一緒に観てもいいかしら?」
「わたしはいいわよ。枯木くんは?」
「ボクは一丈青さんがいいなら……」
二人だと。仕方ない。
「じゃ、すぐ行くわ」
と、長篠さんは一度部屋に入り、すぐにお菓子の袋をかかえて出て来た。
「カウチしましょ。あ、飲み物。あなたたちは? ビールあるわよ」
「わたしたちはコーラで、部屋に有りますから」
事実上はボクらは未成年だ。アルコールはヤバい。し、ビールは苦手だ。ちょっと飲んだことある。
長篠さんはビールを取りにまた部屋に。
これは、どうなのか。隣の女の参戦。
ボクはマコトさんと二人きり部屋で、かと大緊張してたが。
まさか寮長さんが一緒になるとは。ホントに男子禁制じゃないんだ。
まあココは学生寮ではなく大人の寮だからかな。
ボクらは寮長さんが持ってきたポテチをつまみながらDVDを見始めた。
初回から。
「いやぁ~」
と、マコトさんがボクの背に。
「けっこう怖いわね……こんなのひとりで深夜見たら寢らないかも。グビグビッはぁ〜」
長篠さんは片手にビール缶。片手にポテチで。
この人も特撮ドラマ好きなんだ。
「お子様向けじゃないわよねコレ……。枯木くん」
「だから深夜にか……しかもソフト版はノーカットなのよね。スプラッターもだけど裸もあるわ。ライダーシリーズ初の濡れ場ね。ライダーも男よね。彼、胸板厚くて抱かれたいわ」
あらためて観てホントに大人のライダーだな。向こうじやありえない。
夕食のカップ麺を食べながら観てると。
ブゥウウウウン
「警報ね。何処かに怪獣が出たのね。まあ私らは」
《怪獣出現。エクエス隊員は指令室に集合》
「いいんですか?」
「私たちは戦闘に関係ない生活課だからね」
「でも、気になりません?」
「今はこっちの方が、あ、ライダーがハニートラップに……」
「枯木くん、怪獣が高尾山に」
マコトさんが、スマホで見て。
「こっちには親戚が……」
そうなのマコトさん。でも、ボクらの親戚は。
「親戚筋は存在しないから……」
「うそ、この女戦闘員がライダーの元カノって……。しかも記憶喪失。韓国ドラマかよ! あれ、二人は?」
つづく




