怪人ゾフィー
4話 怪人ゾフィー
日曜の早朝。
一丈青さんのいう都内の山とは、高い山と言うより森林の小道。
やや、坂道になっていて登りだ。
途中細い道に、なのか?
人も通らない獣道じゃないのか、この道。
大丈夫なのか?
一丈青さんは、こんなトコへ毎週一人で来てるのか。見かけによらず度胸ある。
が、ソレは猪馬たちとの一件でもわかった。
「ココの小道さぁ。毎週歩いてるわりに獣道のまんまなのよね」
「それって自称宇宙人の力ですか?」
「そうかもね」
ウォーキングコースから外れてるので、もちろん人とは会わない。
獣道を15分くらい歩いただろうか、お堂らしきものが。
一丈青さんがお堂の前でパンパンと手をたたくとお堂の扉が開いた。
観音開きというやつだ。
中に人が。
長髪で髭面の老人のようにも見える人が坐禅のようなかっこうで座っていた。
そいつが立ち上がりお堂から出てきた。
確かに古そうなヨレヨレのコートに銀色の全身タイツ。
タイツなんだが素材がわからない。
布? ではない気がする、当然皮膚ではない。しっかり下腹部のモッコリはおおわれている。
なんとなく形がわかる。
「カレがゾフィー・マックスよ。会って三日でこんな髭面に。もったいないわよね。イケメンなのに」
カレ、ゾフィー・マックスとやらがボクを見た。
「自分が枯木春樹なん」
聞いたとおりの関西弁だ。
「はい……。あなたは宇宙人と聞きましたけど」
「そや、宇宙人以外のなんに見える?」
「ああ……怒らないでください」
「べつに怒らへんよ。言うてみ」
「妙なかっこうしたホームレス」
「そやな……自分、正直やな……。なんでもわいにコスモフィストを習いたいと」
「コスモフィスト?」
「宇宙拳法やな……」
「あのおもいっきり英語ですね」
「日本語よりカッコイイやろ。まあソレはいいとして、実はもう人には教えられんのよ。わいの拳法は一子相伝でな。弟子一人にしか授けんの」
「なら、なぜボクに会ってくれるのです?」
「自分にちょっと興味があってな。そこのマコちゃんなぁな、自分のコトを楽しげに語るのでどんな奴かと見たかったんよ」
一丈青さんが、ボクのコトを楽しげに語ったって。
「楽しげにって、べつにバカにしたり、ないコト、有るコトを面白おかしく話、しゃべったんじゃないわよ。誤解しないでね枯木くん」
一丈青さんがボクをバカにしてとかは思いません。
「わかっとるがなマコちゃん。あの語りは……愛やな」
「愛!」
ホントですか一丈青さんが、ボクを。
「やだなぁ〜師匠。愛だなんてぇ。変なコト言わないでください」
ですよね。一丈青さんがボクなんかに。
「あ〜マコちゃんわいがなぁ〜あと一万歳若けりゃ……。押し倒しとったわ。あ、ソレはいいわ。実はなぁマコちゃん。わいなぁマコちゃんにもう教えることないねん。だから後は教えた技にパワーを入れるために体力をな……」
「え、もうですかぁ。まだ……」
「それだけマコちゃんが賢いというわけ。あんた、コスモフィストの天才やで。しかしな、教えた技を100%使いこなせるパワーが、その体には足りない」
「あの、一丈青さんは大男を手のひらで押しただけで大男を飛ばし動けなく……」
「枯木くん、それは……」
「マコちゃん実戦を経験しはった?」
「実戦なんて大袈裟なものでは……」
「まあ今なら人間相手なら負けんやろ……」
お墨付きですか。一丈青さんは、それほどに。
「パワーつけてマコちゃんのマッチョな姿は、わし見たくは、ないねん……今の柔らかなモチモチ肌のキュートなプロポーションボディのままがええんや」
なんだかコイツ一丈青さんの裸を見たのか?
そのいやらしい言い方。
拳法を授けると手取り足取り教えていたんだろうが、なんだかスケベそうなやつだ。
関西の人には悪いがコイツの関西弁はスケベそうに聞こえる。
「師匠、なんだかいつもと違い、いやらしい目つきですよ」
「いや、わいはいつでも真面目や。そこでな、わいは、マコちゃんに秘伝中の秘伝を授けようと思うとるねん。明日の夕暮れ時に猛魎寺に来なはれ」
と言うとゾフィーはお堂に戻ると坐禅をした。
開いたときのように自動で扉が閉まった。
山道から出て街に行き。
ファーストフードの店で落ち着いた。
「残念だったね、せっかく会えたのに」
「ああ、でも面白い体験をした。あの人は確かに宇宙人とは言いきれないが、ナニか不思議な人だとは感じたよ。ちょっとスケベそうだったけど。あの人は何者なんだろう」
「わたしも同じ。初めて会ったときは変な人だとは思ったけど、あぶない人だとは……感じなかったのよね」
「あのさ、あの人が言っていた猛魎寺ってドコにあるの? 知ってるの一丈青さん」
「カレ、いかにもわたしが知ってるように言ったけど知らないわ。もうりょうってどんな字書くのかな? あと、まだ一丈青とマコトでいいと」
そんなコトを言いながら一丈青、あマコトさんはスマホを出し検索を。
「もうりょうじと、あ出た。毛の鞠でもうりょうって読むのかしら。でも、コレ岩手よ」
「魑魅魍魎の。その魍魎かも」
「そんな名の寺は出てこないわ。来いと言われてもドコだか……岩手の毛鞠寺じゃないわよね」
「多分……」
つづく




