八甲田山その後
33話 八甲田山その後
酸ケ湯温泉。
結局、一台しかない卓球台は他の客が先にプレーしてて、ボクたちは外にあると聞いたカラオケスナックへ行くことに。
始めは未成年だからとことわられたが、頼んで入れてもらった。
ボクとマコトさん。
でも、ホントはボクは旅館に居たかった。
ゾフィーが、三人相手は一人ではきついとボクらを。
三人の女性たちは埼玉県の某うどん屋チェーン店で働いてるそうだ。
卓球よりカラオケが出来て、楽しそうだ。
ボクとマコトさんは、ゾフィーが、酔って三人の女性とノリノリになって歌ってる。
一人でも大丈夫じゃないか。
そこでボクとマコトさんは店から出た。
「枯木くん、あっちに甘味屋さんがあったわ、おしるこでも」
「ああ、冷たいウーロン茶より、おしるこがイイな」
八甲田山訓練地。
「訓練も終わり、年末休暇がもらえて良かったわね。隊長たちは飲みに行っちゃたし。ヤラシ隊員はドコへ?」
「例の声が気になり、聞き込みに出かけたぞ」
「わざわざ休暇なのに? あの声のコトは報告書に書いて出しましたけど、上からはナニも……」
「だな、 まあ僕も気にはなっていたんだが」
「おお、ツガルとシズナちゃんじゃないか。デートか」
「違いますよ、ヤラシさん」
「そうだ。たまたま行き先が一緒になってな」
「シズナちゃんとツガルがぁ? 何処へ」
「温泉よ」
「ヤラシ。例の事を調べてると?」
「ああ、声のコトだろ」
「そうだ。ナニかわかったか?」
「土地の老人たちがな、皆声を揃えて言ったのが、その声は雪女の声だと」
「雪女。それはまた非科学的な……」
「この辺に伝わる昔話でな、山に雪女が居るそうだ」
「昔話でしょ。その話は?」
「ああ、そうだ。昔は雪女は自分の家に迷い人をな。旅人や猟師などだを、家に泊めてたと。でな、夜に眠ってるトコを襲い殺して食ってたんだそうだ」
「よくある人食い妖怪、あるある話ね」
「それは鬼婆の話じゃないのかヤラシ……」
「まあな、オレもそう思ったよ。ココは雪国だからな。で、鬼婆じゃなく雪女になったんじやないか。それでな、あるとき雪女は旅の坊さんを泊めたんだそうだ。その坊さんも食おうと雪女が襲おうとしたら坊さんは実は神通力の持ち主でな、雪女をこらしめて改心させたそうだ」
「その坊さんは、実は弘法大師だったとかいうオチかな」
「いいやツガル、違うな。坊さんは雪女の美しさに惚れてしまいなぁ坊主をやめて山で一緒に暮らしたと」
「え〜俗ぽいっ坊さんね。どんだけ美人だったのかしら、その雪女」
「でな、二人に子供が生まれたんだと。ソレがさ、とんだ鬼っ子で人間離れしてたそうだ。が、悪さとかは、しないで迷い人を里まで導いたり荷物を運んだりしていたと。だが里にはおりては来なかったんだとさ」
「そうなんだ鬼っ子ってわりにいい奴だったのね。で?」
「ここまでだ。まだ妖怪な親子は山に住んでるとも……。だから山で聞こえる女の声は雪女だと」
「やはり非科学的な話だな。雪女とは」
「ねえあの白い毛むくじゃらの獣人って雪女と坊さんの子供かしら……。鬼っ子っていう」
「かもな……。アレは悪さはしなかった」
町中の甘味屋。
「ごちそうさま〜」
「枯木くん、おしるこ美味しかったねぇ」
ボクたちが甘味処から出ると。
「うん。あっ、ヤラシ隊員だ!」
「おつこんなトコで、会うとは奇遇だなマコトちゃん」
「ヤラシさん、ツガルさん。キョウゴクジさんも。皆さん、訓練ってこのあたりで?」
「ああ、そうだ。八甲田山でな。マコトちゃん。こんなとこで会うなんて奇遇だなぁ〜オレたち実は赤い糸とかで。イテッ、シズナ、なんで人の尻を蹴る!」
「ヤラシさん、セクハラよ。それに、ちゃんと彼女を見なさいよ。彼氏連れてるじゃない」
「あ、どうも。ヤラシさん。それから、はじめまして。ボク、枯木と」
ボク、彼氏なんてモンでは。
エクエスの人なんだろう。あのカレン隊員よりも若い人だな。ちよっとツンデレそうだけどキレイな人だな。
お兄さんが、エクエスに入りたいのもわかる。カレンさんとはまた違う魅力のある人だ。
マコトさんがキョウゴクジさんと。
「エクエスの京極寺ですはじめまして。枯木くん」
ヤラシ隊員がシズナと呼んでたな。
京極寺シズナさんか。
写真撮ってもらおうかな。
「ツガルだ僕は二度目だよな。よろしく」
「あの、友人に送りたいので写真を……」
キョウゴクジさんだけでイイのにみんなで撮った写真を森目純子のお兄さんへ送った。
つづく




