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八甲田山

31話 八甲田山


「昔の八甲田山とは違うしな、この雪中用モービル内なら制服だけでもいけるなぁ」


「雪中訓練とか言うからどうなるかと。ホント、防寒服もいらないわ」


「まあわかるが、ヤラシ、キョウゴクジさん油断はいけません。何がおこるかわかりませんから防寒服は」


「ツガル隊員、ソレ着てて熱くないですかぁ?」


 八甲田山訓練ルートを登る雪中用モービル内のエクエス隊員たち4名。


 モービルは訓練ルートの、中間地点あたりに。


〘モービルへこちら待機中のエクエストー

ム。異常ありませんか?〙


「あらヤラシ隊員。なんで停めたんです?」


「あ〜、このあたりは昔の八甲田山雪中訓練のときに被害者たちの遺体が多く……。外に出て線香でもとな」


「あっ、カレンさん。ごめんなさい異常ありません」


「おい、グンマ、ツガルも降りて手を合わせて、いこうや」


「天気が良くってよかったです。ヤラシ隊員、線香を。ツガル隊員も」


   グォオオオ〜


「今、何か聞こえなかったか? ヤラシ!」

「ああ、風かな? なんか妙な雲が出てきたぞ」


「ヤラシ隊員、雪が……」



 モービル内。


「うわぁ~山の天気は変わりやすいとか、いうが……」


「どうしたんです?」


「シズナちゃん、窓の外を見てみろ!」


「あら、さっきまで晴れてましたよね。吹雪いてるわ」


「なんだか、急に寒くなりました」


「グンマ、だから言っただろ。防寒服を着ろ。ヤラシもキョウゴクジさんも」


  グォオオオ〜グオォ〜


「また、聞こえた。アレは風じゃないんじゃ?」

「怪獣かな……ウワサの」



 青森県酸ケ湯温泉。


「いやぁゾフィーさんが温泉に連れていってくれるなんて……。イイ湯ですね~」

「喜ぶのは、まだ早いでぇ〜ココな、男女混浴なんや」

「でも、入ってるのボクらだけだから……」


 キャツキャと若い女性の声がした。


「ほら、来たで〜。若い娘や。おおっ一番後ろにマコちゃんもおるで」


「ゾフィーさん、ホントですか!」


 ボクは脱衣場の方を振り返ると、大胆にもタオルで隠してない女性三人の後ろにタオルを巻いた恥ずかしそうなマコトさんが。



 八甲田山。エクエスの待機機内。


〘待機中のストーム機へ、雪中行軍中のモービルです。突然外の天気が荒れだして、怪獣の声のようなのを聞きました〙


「キョウゴクジ隊員、ソレは確かに怪獣の声なのか?」


〘待って下さいツガル隊員が集音機で。どうですかツガル隊員?〙


「隊長、飛びますか?」

「待て、カガミ。モービルの応答を聞いてからだ」


〘隊長、やはり結果は風ではなく生物の声らし……あっ!〙

「隊長、切れました!」

「モービルに何かあったのか?」



 モービル内。


「どうした灯りが消えたぞ、シズナちゃん!」


「灯りだけじゃない、すべての計器、電力が……」


「はあぁ〜どういうコトだ!」


「ヤラシ隊員も防寒服を、なんか急激に寒くなってません」


「そうだな、寒っ。怪獣のせいかな?」


  ググッ


「なんだ、モービルがゆれたぞ!」


「ヤラシさん、見て。前方にあんな山があったかしら」


 電力が落ちて暗くなったが幸いシャッターを上げといたフロントウィンドウのおかげで前は見えて明るいが、外は吹雪いてる。

 わずかに見える外の景色。

 雪山で真っ白なのだが、シズナちゃんが言うように。

 前方の山は見覚えがない。


  グォオオオ〜グオォ〜


「山の上に角が生えた!」

「その下が開いたわ、アレは口?」

「あの山は怪獣ですよぉ」


「見ればわかるグンマ。よし、一発くらわしてやるぜ」

「無理よヤラシ隊員。ナニも使えないんだから」


「動きもしないんじゃヤバいですよ!」


  ググッ


「また、動いたわ?」


「外に前の怪獣と違うナニかが、居るのか?」


  ググッ


「モービルが後退してません?」


「ウィンドウを見ろ白い手が!」

「ホワイティーナか!」


「よく見ろヤラシ、ホワイティーナの腕があんなに毛むくじゃらか?」

「白い毛におおわれてる……雪男?」


「まさか、そんなの聞いたことがないわ日本の山にイエティやビッグフットが居るなんて」

「いいや、広島にヒバゴン、新潟にはガタゴンが」

「ココは青森県よ」

「じゃモリゴンだ」


「ふざけてる場合かヤラシ、外の怪獣はモービルをどうする気だ!」


「べつにふざけてはいない。おお、本当に後退してるぞ、崖下にでも落とされたら……」


 モービルが停まった。


「見て前に、長い毛むくじゃらの巨人の後ろ姿が!」


  クォオオオーッ


            つづく

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