お兄さんの夢
13話 お兄さんの夢
〘都内某市に現れた巨大生物は巨大な草体を食し現在某市のほぼ中心にあたる草体出没の小山の上で動かないままじっとしています。防衛軍はこのバッタのような巨大生物をイナゴメスと命名。生物学者の神居三平氏に話を……〙
紹介された白髪白髭の老人は、いかにもな怪獣物の博士だ。
〘神居先生。イナゴメスとは先生が命名したと〙
〘はい、アレは不思議な虫類ですな、体全体はイナゴのようだが、前足がオケラのような形をしています。あの太く長い後ろ脚。今は片方だけですがバッタのそれでオケラには有りません不思議な生物ですな。まさしく怪獣です〙
「あの爺さんは、毎度あの調子だよ、理解出来ない生物を見れば怪獣と言ってるのよね……あんなコト中学生も言わないよ」
「イナゴメスか……センスがあるんだか、ないのかわからんネーミングだな」
ボクらは今、避難所のテレビでソレを見ている。
これから防衛軍があの巨大バッタ、イナゴメスに攻撃するのだという。
「なるほど、あのバッタがただデカいだけなら普通の兵器で攻撃すれば海外のモンスター映画みたいに殺せるな。むこうの映画だとダイナマイトドカーンでサメやなんかのデカいだけのモンスターは倒せてしまう。そこがデカいだけモンスターと怪獣の違いだよ」
「そーだね。あんた語るね。オタク?」
「ただ好きなだけだよ。フィギュアとかは持ってない。ビデオや本は資料として持ってるけど」
「あら、枯木くん、ゴジラのフィギュアとか持ってると。父からも……」
「あ……。マコトさん、あのお父さんのゴジラは、芸術品だよ、ゴジラとか怪獣は立体物で持ってるけど、女の子キャラのフィギュアは……」
「枯木、なんだかいいわけっけぽいっわね。ホントに? 等身大のとか一体あるんじやないの女の子フィギュア」
「そんなの高価で、買えないよ」
「お金が有れば買うのね」
「おい、いよいよ攻撃が始まるぞ純子。見に行こう、キミたちも、来いよ」
森目純子の兄だ、現在高3で受験生だと。
かなりのアーミーオタクだと純子が言っていた。避難所の室内から出ていった。
ボクも本物の怪獣攻撃が見たくて外に。
「男って好きよね兵器とか」
「わたしも見たい」
「ええっあんたも。ちょっとぉ中でテレビで見た方が安全よ。あ、行っちゃったわ。やっぱ、珍しいのかしら」
ズゴォオオオ
ミサイルが飛んできて全部イナゴメスに命中。
怪獣、じゃないなアレは。
数本のミサイル攻撃でイナゴメスはバラバラに弾け飛んだ。
うわぁコッチにまでデカいイナゴメスの前足が飛んできた。
攻撃が終わると処理のための大型トラック等がやって来た。
モンスターの後始末ってやつか。
こんなに簡単に怪獣を倒せるのならウルトラマンの出る幕は無いな。
でも、ソレはそれで面白い世界だ。
こんなコト言っていいのか。
「久々だな、あんなにあっさりと終わるの」
隣で双眼鏡を見ている純子の兄だ。
「純子に聞いたけど、キミたち二人は別の世界から来たんだって」
「ええ、そうです」
「そっちの世界には怪獣が居ない世界とも聞いたけど、平和なんだね」
「あ、そうですね。あんなデカい生物は海のクジラくらいですから」
「クジラもデカいけど、陸には上がらないからな」
「ですね。この世界はよく怪獣が出るのですか。 台風みたいに?」
台風並みに出るんだろうか。マドカさんの質問に。
「台風か……。でも、出る季節は決まってないからな怪獣は。あっ、エクエスの新型装甲車だ。見てご覧。まえのよりスマートで普通車ぽいね」
ホントだ、ちょっとウルトラ警備隊のポインターみたいだ。メタリックシルバーで色も似ている。
「カッコイイなぁ。僕ね、防衛大ねらってるだ。で、大学出たら防衛軍に入りエクエスの隊員になるつもりなんだ」
ボクらの世界なら子供の夢だな。
ココでは現実にある特殊部隊だ。
ボクも子供の頃は憧れた。
よく、レプリカの子供服着てたなぁ。
「お兄さん、素敵な夢ですね」
「夢……まあ防衛軍に入るまでは現実だがエリートになりエクエスに入るのはたしかに夢かな……。キミ、知ってるかい、女性隊員も居て、それがまたみんな美人なんだ。一説には美人審査もあるらしいと……。あ、ゴメンゴメンそんなの知らないよね」
「会社と同じですね。美人社員が居た方が男性社員がイイとこ見せようとガンバルって」
「そうだな、キミは……」
「枯木です」
「枯木くん、イイ物を見せよう」
と、純子の兄がスマホの画面を見せてくれた。
「エクエスのモロボシ・カレン隊員だ。防衛軍一の美人と言われている」
「ハーフの人ですか?」
「そうだね。僕は彼女のファンで待ち受けにしている。防衛大にうかるお守りになるとも言われてるんだ」
この人、ミリタリーオタクというより違う方面では。
まさか、この女性隊員に会いたくてエクエスに。まあソレも一つの夢かな。
アイドルグループのプロデューサーになる夢とかみたいな。
「ところで、キミ。一丈青真さんだよね。僕とツーショット写真お願い出来る」
マコトさんの名はしっかり覚えてるんだ。
まあ、こっちは学校一の美少女だからな。
あ、ボクもお願いしとこうかな。
「いいですよ」
「じゃ孤独くん。頼む」
「枯木です」
スマホを渡された。
まだ、煙が上がってる小山をバックに撮った。
お兄さんはとても嬉しそうだ。
「おい、見ろ、アレはなんだ!」
避難所の人たちが空を見て騒ぎ出した。
ボクは思わずお兄さんのスマホで写真を。
「火球だ、アレは隕石か?!」
つづく




