草体vs巨大バッタ
12話 草体vs巨大バッタ
「ウルトラマン? なにそれ」
え、知らないのか。怪獣好きじゃなくても知ってるウルトラマンをこちらでは知らないの。
「怪獣退治特殊部隊が有るのら、ウルトラマンの存在する世界なのかと思ったんだ。ウルトラマンって宇宙から来た光の巨人だ。特殊部隊が危機に落ちると現れて助けてくれる存在なんだけど」
「そんなのがそちらの世界に居るの?」
「いや、居るのは特撮ドラマの中の存在で架空のキャラだ」
「こちらの『仮面ライダー』みたいなものか」
「ライダーは、あるんだな。ちなみに何作目」
「何作かなぁ毎年代わるからわからないや……」
「あの、もし怪獣が現れて倒せなかったらどうするのかなぁ……」
「はぁ〜。怪獣が倒されなかった、ためしはないわ。どんなのが現れても弱点をさがしだし、必ず倒すわよエクエスは」
なんという世界だ。だが、ウルトラシリーズのはじめの「ウルトラQ」はウルトラマンが居なくて、特殊部隊も居ないしなぁ。
でも、怪獣をなんとかしてるからな。
四次元怪獣とかいうジゲンも溶かしちゃたし。
「なるほどこの世界は怪獣が実在して、人間だけでなんとかする世界なのか」
ウルトラマンが、まだ出現してない世界なのかも。カレが出る前から科特隊やウルトラ警備隊は存在してたし。
「そちらは、怪獣は出ないの?」
「ああ、怪獣は架空の存在なんだ」
「そうか……いいわね、こちらは怪獣が現れては、休校になったり避難したりで、時には疎開もあったわよ。何日も怪獣が暴れて大変なときも……学校が休みで利点もなくわないけど」
「ソレは、大変な世界だな……。怪獣の出現を天気予報みたいに予想するとかいった小説をドラマ化したのがあったなぁ」
「ゴジラの動きを予想するとかいう映画あったよね枯木くん」
「ああ、なんだっけ『ゴジラ2000』だつけ……」
「ゴジラは、さすがに、こちらでも架空の生物よ、あんな不死身の怪獣なんていないわ」
「ゴジラは不死身じゃないよ。第一作目では骨と化し、死んでるよ……ってゴジラ映画はあるんだ」
「まあアレはね。昔は……」
「むこうの純子はあまりゴジラには興味なくて特撮ヒーロー物好きなのに、あなたはゴジラ詳しいのね」
「そうなんだ、そっちのあたしになんだか会ってみたいわ。ゴジラの映画はねぇ昭和の終わり頃まで作らてたの……。だから、詳しくはないわ大昔のことだもの」
「信じてもらえたから、あらためて自己紹介するわ。わたし一丈青真」
「ボクは枯木春樹です」
「オレは屋良志武だ」
「え、エクエスのヤラシ隊員。なんですか?」
「なんですかはないだろ。キミたち、早くココから出なさい! 危険だ」
「は〜い。行こう」
「おい、キミ。オレのサインはいらないか?」
「ゴメンね、あたしツガル隊員のファンだから」
「キミじゃない。そっちの……ショートヘアの彼女」
「わたしですか? ごめんなさい。いりません」
避難所に数時間。
あの、巨大な虫も現れず、草体の変化もなく。深夜にとりあえず皆家に帰れた。
ボクたちは話を信じてくれた森目純子の家に泊めてもらえることになった。
避難所で森目の両親や兄とも知り合ったので、あっさりと。良い人たちとは知ってたが。
朝、目が覚めると。
「おきて、あの草体のようすがかわったから、避難命令がでたわよ」
「変わった? 花でも咲いたの」
「いいえ、芽が成長して葉が開いたの」
なんか嬉しそうな森目だ。
「早く着替えて外に」
なれた感じだ。こういうコトはよくあるんだろう。
庭に出てみると、うようよとモヤシのような根がもっと増えて動いてる。
「気持ちわるいわね……小さいのは動くモヤシみたい」
マコトさんが言うように蠢くモヤシより動くゴボウの方がマシだ。
「ほら見て……蕾が」
早朝には、なかったらしい。
森目の家から離れた避難所へ歩いて向かった。
もう道路は渋滞してて、クルマでは避難出来ない状態だ。
「昨日の騒ぎで宿題してないのよね。休みで助かるわ」
「わたしたちが泊まったせいかしら。ごめんね」
「いやぁ関係ないよ。これからどうなるかわからないからね……。学校がいつ始まるやら、ヘタしたら学校が無くなって宿題どころじゃなくなるわ」
森目の話では夏休みに一度、学校が怪獣に壊され休みが延長になって宿題をやってなくて助かったと。
どんな利点だ。
怪獣様々とか。
昼になると草体の周りに根がたくさん顔を出し、ウネウネと。
「怪獣防衛軍が動き出したわ」
見るとドローンの数台が草体に液体を巻き出した。
すると、あの動く根がドローンを叩き落とし始めた。
「あれは、ナニをまいてるのかしら? 草体は嫌がってるのね。人を襲わなかっ根がドローンを」
普通に考えれば除草剤だろ。
「あっ、蕾が。花が咲くぞ!」
避難所から見ている住人たちが一斉に声をあげた。
赤黒いハイビスカスみたいな花が開いた。
「臭さぁ〜あの花の臭いかぁ」
花は、なんというか、生ゴミみたいな臭いを。
こっちは風下なだけに臭い。
「ん!」
「地震だ!」
公園があるあたりから、またあの巨大なバッタのようなのが現れた。
ヤツは臭いで花が咲いたのを知って現れたのかも?
公園から花に向かって動き始めた。
バッタに似てるけど跳ねない。
草体の花近くまで来た巨大バッタは動く根に捕まった。
根は花を守ってるのか。
「頑張れバッタ!」
あれ、みんなが巨大バッタを応援しはじめた。
バッタは、初めて跳ねると根を引きちぎり花に乗り、花を食べ始めた。
根たちは伸びバッタに襲いかかり花を守ろうとしている。が、バッタも移動したりと簡単にはあきらめず花を食べ続けてる。
めったに食べられない物なのか。
「森目さん、こんなコトがまえにも?」
「いいえ、初めてよ……」
「あの草体の開花は、あのバッタからすると、めったにないご馳走なのかも」
「そうかもね、守る方も必死だわ。あっバッタの足を掴んだ根が引きづり下ろそうと」
「あ、足が取れた!」
「それでもたべてるわ。防衛軍は液体の散布をどうしてやめたのかしら……」
「どちらかが負けるのを見てるんじゃないか、それから攻撃するんだよ、きっと」
「二匹以上の怪獣が出るとその戦法とるわね。防衛軍は怪獣を争わして弱ったとこへ攻撃しかけるのよ」
「バッタのヤツ、花を食べ尽くしたぞ、茎まで食べ始めた」
すると、根の動きが止まった。
「あの草体はバッタの食料ね……防衛軍の攻撃はバッタにしぼるわよ」
つづく




