面倒くさい
翌日の朝。
起床する前に腹に重さを感じて、瞼を上げる。
「おはよー、ともくぅ〜〜ん!!お寝坊さんだね〜私と朝イチのキスをしよう!!」
「しないよ!!いつ来てんの市川さんは?」
「いつでもいいじゃない。ささぁ、早くキスを」
「しないって!!早く降りて、重いからね」
「えぇ〜酷い」
市川が俺の腹から降りて、肩を揺すってきた。
「ともくんともくん、早く降りてキスしよう」
俺は上半身を起こし、ベッドから降りた。
階段を降りた俺たちはリビングで朝食を摂り始めた。
母親が「あなた達、仲がいいわね」と感想を漏らした。
俺は白米を口に運んで咀嚼した。
市川は今にもキスを迫ってきそうな勢いだった。
朝食を食べ終わると、着替えをしに自室に戻った。
「キスしたいんでしょ?ねぇキスしたいんでしょ?」
「そういうのは間に合ってるからしないよ」
「私以外の女とキスでもしたっていうの!?信じられない……私が居ながら。誰とキスしたのよ!!早く白状しなさいよ!!」
「人妻と」
「ひぃ……人妻とぉ?どうやったら人妻とキスなんてする羽目になんの?」
「なりゆき」
「なりゆき……で人妻とキスなんて。ともくんがおかしくなり出したわ。お母様に報告しなきゃ」
今にも飛び出しそうな市川の片腕の手首を掴み、飛び出すのを防ぐ。
「待て待て待て!!市川さんとキスがしたくないから言った冗談だ。忘れてくれ」
「偽ってなかったわ。ほんとなのよ。お母様ーっっ!!ともくんがひとづぅっ——うぶほぉぶぉほ」
「やめろー!!俺を破滅させたいのか?分かった、今日だけキスするから。キスだけでいいんだろ?」
叫び始めた彼女の口を塞ぎ、投げやりにキスをすることに同意した。
「キスだけじゃない。一緒に登校しましょ」
「キスと一緒に登校すれば良いんだな」
「うん」
俺は彼女の両肩を掴んで、顔を彼女の顔に近づけ、キスをした。
「ふはぁ〜ともくんとキスしちゃった〜!!はぁーんあぁ〜キスができた。」
「着替えるから外で待ってろ」
煩わしく強引に、自室の外に突き飛ばし、扉を閉めた。
制服に着替え終えたタイミングでスマホにSNSのアプリのメッセージが受信された。
『鷹槻くん、今日の夜ボウリングで遊ばない』
『ボウリングじゃなくて身体目当てでしょ?』
『鷹槻くんだって出来る相手が居なくて欲求不満でしょ?私とじゃ不満?』
『そんなこと、ないですけど。何処のボウリング場に集合ですか?』
『——のボウリング場で良いかな?』
『分かりました』
上条との放課後の予定が出来た。
俺は渋々市川との登校をするのだった。




