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株主との板挟みなんです

 株主総会。

 という名の社長フルボッコ会。

 会議室にはファンドの担当と重役、そして俺しかいない。


「氷上社長、今月三人も辞めさせて、来期の売上目標は達成できそうなんですか?」

 

 あーはいはい。俺は用意しておいた答えをすらすら述べる。


「辞めたのはもともと生産性の低い人間でしたから、たいした影響はありません」

「人員の流動性が高いというのに何か問題があるのでは? 組織の安定性や文化への影響は?」


 他人事だと思って好き勝手言うな。


「……仲良しの甘々組織と、厳しさはあれど売れる組織、どちらがお好みですか? 私が就任してまだ二年、入れ替わりは当然必要な痛みだと、大目にみてくださいよ」


 苛立ちをこらえ、へらっと笑って弁明する。

 ファンドの担当者が「あ」と声を出した。


「そういえば先日の報告メールにあった、人事コンサルはどうですか?」

「……」


 俺の脳裏に、ほよほよと笑うモモさんが再生される。モモさんは今のところ癒しキャラくらいしか役立ってない。ただその一方で、毎日朝から夜遅くまで応援したくなるくらいひたむきに職務に励んでいるのも知っている。


「……なかなか、根性のある人間のようです」

「それは良かった。今後は大きな問題が起きないといいですね」


 担当者が何の気なしに放った言葉が、その後まさか現実になるとは、さすがにこの時点では予想できていなかった。






 †




 帰社してオフィスチェアに背中を預け、ため息をつく。

 社長業なんて、簡単だと思ってた。でも実際は上は好き勝手言うし、下はついてこない。


 ことん、とコーヒーが置かれた。

 顔を上げると、モモさんがいつもの笑顔でそこにいる。


「ため息つくようなこと、言われたんですか?」

「別に。落書きしてないで給料以上に働いてくださいよ」


 若干八つ当たりだが、この状況、モモさん頼りなのは確かだ。あとは俺が営業ないし開発して新しい事業案を作るか。


「もちろん、了解です」


 モモさんはふふ、とにこやかに敬礼のポーズをとった。

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