帰るまでが遠足
ダンジョンに到着し、結構進んできたので休憩タイムを取る中、俺のストレスは限界を迎えていた。
「いやぁ、戦闘は任せきりにしちゃって悪いね!僕力もないし、魔法も使えなくてさぁ…でも僕は罠解除の方で役に立ってるし、問題ないよね?あ、そういえば、君たちってどんな関係なの?単に友達?保護者とかはいないの?兄弟…にしては似てないよね?僕は一人っ子なんだけどさぁ、弟とかほしいなって思ってたから、今君たちと冒険できて楽しいよ!」
「はは、そうなんですね」
臨時パーティー組んだやつがノンデリおしゃべり自己中野郎だった。イヤほんとマジ地雷感あると思ったから避けようと思ったのにマジでこいつマジさぁ…
(語彙力が著しく低下してますね、マスター)
(お前も俺に会話任せてないで喋ってくれるか?)
(頼りにしてます、マスター)
こいつ…!
(いやぁ、すげぇやつがいたもんだな。柔らかい口調で罵倒も一切発してないのに不快感が凄まじい)
感心してんじゃねぇ、スヴェン。
最初は何とか会話をしようと試みてたんだが、俺の賢い頭脳も流石に疲れて「流石~」「知らなかった~」「そうですね~」botになった。あともう少しでさしすせそコンプリートだ。
「あ、」
べらべらと喋り続けてた男(名前忘れた)が、突然声を上げ、黙る。目は見開かれたままで、通路の暗くなっている奥を見つめていた。
「どうかし──」
たんですか、まで言えなかった。男が急に走り出したからだ。来た道を戻るようにして。
「は?」
思考が追い付く前に、何かが物凄い勢いで横切った。
追い付いた頃には、男はキメラに食われていた。
あー、そういやあの男、《気配察知》ができるとかなんとか言ってたな。今まで役立たずだったけど。
てことはあれか、ヤベェ気配を見付けて俺らを見捨てて逃げようとしたけど、普通に失敗したと。
なるほど…
ありがとう!!!!殺す手間が省けた!!!!!ここのダンジョンマスターとモンスターに心からの感謝を!!!!!!!!
「良かったですね、マスター」
「おう、でも俺にアレの対応任せきりにしてた件については後でお話しようか」
「はて…?」
ここまで来てシラを切るとか豪胆すぎるだろお前。
てかこんなことしてる場合じゃなかったんだったわ。キメラの食事が遅くて助かってるけど。食べ方きれいだな、あのキメラ。飼い主の躾が良いんだろうか。
「良し、トーチ、スヴェン」
「はい」
(おう)
「逃げようか」
「引き際を理解なさっているマスターが大好きです」
やったぜ。
「では、失礼します」
「あ?」
お姫様だっこされた。
「こちらの方が早いので」
まぁ、俺スピード捨ててるししゃーねぇか。
「スヴェンは《憑依》解いて良いぞ」
(良いのか?)
「ポイントもったいないけど、リビングアーマーくらいなら良いや。お前のが大事だし」
(主…!)
ガチャでまた出てくるとは限らないからな。
(最低です)
大好きなんじゃねぇの?
(ええ、そういうところが)
良い女だなぁ。スライムだけど。
「帰るぞー」
「「はーい」」




