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僕、婚約破棄されちゃったよ〜!(仮)  作者: 撫羽


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29.クレープを食べたよ〜!

「お義母様、ラティ、テテお帰りなさい。どうだったかしら?」


 母が出迎えてくれた。なんか甘い匂いがするよ? もしかして、また父上が何か作ったのかな?


「母上、たくさん採取してきましたよ。それより、母上。父上はもう帰っているのですか?」

「ええ。今日は早かったのよ。いい匂いがするでしょう? 着替えてきなさい。おやつにしましょう」


 やったー! 父のおやつは何だろなぁ? フフフン。

 ブランが亜空間から顔だけ出す。


「テテ、めちゃいい匂いしないか?」

「うん。きっと父上が何か作ったんだよ。母上がおやつにしよう、て言ってた」

「お、ラッキー!」


 ――ガチャ


 僕が部屋で着替えていると、ドアが開いた。ノックもなく。


「テテ……!?」

「あれ? 兄上、どうしました?」

「テテ、ブランはどこから顔を出しているんだ? ホラーか?」

「アハハハ、兄上。亜空間ですよ。今日はブランはずっと亜空間に入ってたんです」

「亜空間!? テテが作ったのか?」

「はい。マジックバッグと一緒に、今日薬草採取に出る前に作りました。作りたてです」

「作りたてって……! テテ! 私にもマジックバッグを作って!」


 え? えぇ!? 兄上、なんでそんなに食いつくの? 作るよ。全然いいよ。なんなら、いくつでも作っちゃうよ。


「テテ、街で買ったら凄く高いんだよ?」


 あら、そうなんだ。でも、僕が作れるんだから関係ないよ。


「兄上、マジックバッグにしたい鞄をください。作りますよ」

「父上にもいいか?」

「もちろんです」

「テテ! ありがとう! ああ、母上が用意できたら降りてきなさい。て言ってたよ。父上作のおやつだ」


 やったね!


「はーい! ブラン、良かったね」

「ああ、テテ。早く行こうぜ」


 ブランは甘いもの好きだからね。亜空間からまだ出てこないブランと一緒に僕は下に降りていった。


「あれ? ばーちゃん、姉上は?」

「もう、向こうの家に戻ったわよ」


 そっか。姉上も食べて行けば良いのにね。無理矢理、付き合ってくれたのかなぁ? それならちょっと悪いなぁ。


「テテ、そんな事ないわよ。ラティは楽しんでたわよ」

「母上、なら良いです。僕も久しぶりに採取に出て楽しかったです」

「そうだね。領地にテテがいた頃はしょっちゅう行ってたわね。採取もだけど、討伐もね」

「はい。ばーちゃん、懐かしいね」

「フフフ、ほんの数年前なのにもう懐かしいわね」


 メイドさんがワゴンを押してきたよ。うん、良い匂い。


「母上、これクレープですか?」

「そうなの。久しぶりでしょう? バナナと苺があるけど、どっちがいい?」

「僕、バナナ!」

「俺、いちご!」

「まあ! ブラン! どこから顔を出してるの!?」


 アハハハ、母上もびっくりしてるよ。


「ブラン、出ないと食べらんないよ」

「おう、テテ。俺、いちごな!」


 はいはい。分かってるよ。取らないよ。


「テティス!」

「父上、クレープ美味しそうです!」

「テティス! イデスから聞いた!」


 ん? 何だっけ? とりあえず、いただきまーす。


「うんまッ!」


 これは、ブランだよ。僕じゃないよ。でも、超美味しい。チョコが欲しいよねー。チョコバナナは定番だよね。

 でも、この世界はまだチョコが普及してないんだよ。ある事はあるんだけど、びっくりするお値段なんだ。かわりに父は蜂蜜を少し掛けてくれるんだ。甘くなり過ぎない程度にね。これがまた絶妙。


「父上、凄い美味しいです!」

「あ? ああ。それは良かった。いや、マジックバッグの話だ」


 ああ、それね。


「はい。父上も鞄をください。僕、作りますから」

「そうか! 頼んだ」

「はい……うまッ」


 父がバタバタと部屋を出て行った。


「な、テテ。めちゃうまだよな!」


 ブラン、お鼻に生クリームがついてるよ。アハハハ。夢中だね。

 あら、ばーちゃん静かだと思ったら、ばーちゃんもクレープに夢中だったよ。


「母上は食べないのですか?」

「私はもう頂いたの」


 なんだ、そうか。父上が作るそばから食べてたりして。


「うー、美味かった。満足だぜ」


 ブラン、お腹がポッコリしてるよ。小さいからすぐにお腹いっぱいになるんだね。


「ブラン、バナナも一口食べる?」

「お? テテ、いいのか?」


 あれ? 満足って言ってたのに、食べるんだね。僕はフォークで一切れブランにあげる。


「さんきゅ。ん〜、バナナも絶品だね……もきゅもきゅ」


 アハハハ、小さいから可愛いや。


「テティス、食べたか?」


 父上と兄上が鞄を手に部屋に入ってきた。


「父上、はい。美味しかったです」

「じゃあ、この鞄を頼む」


 父が持ってきたのは小さなポーチ。いつも剣帯につけてるやつだ。

 なるほど。小さくて沢山入ったら便利だね。元々、剣帯につけていたから邪魔にもならないしね。


「はい。父上」

「まあ、あなた。テテは今食べ終わったばかりですのに」

「あ? ああ、すまん。気が急いてしまった」

「父上、大丈夫です」


 父からポーチを貰う。空間拡張と、時空間魔法、重量軽減と物理耐性強化をエンチャントしていく。面倒だから、一気にやっちゃえ。


「テ、テテ……!」

「ん? ばーちゃん何? はい、父上。出来ました」

「テティス、もう終わりか?」

「はい。ちゃんと、空間拡張と、時空間魔法、重量軽減と物理耐性強化をエンチャントしてますよ。ドラゴンアイで確認しながらやってますから大丈夫です」

「テテ!」


 もう、だからばーちゃん何? さっきから。


「テテ、今全部同時にエンチャントした?」


 したよ? だって面倒でしょ?


「普通はね、一個ずつでも難しいのよ。だから、マジックバッグは高いの」


 へぇ、そうなの? でも、姉上も同じ事してたよ?


「もう、この姉弟は常識が無さすぎるわ」

「お祖母様、今更ですよ」

「イデス、そうね。そうだったわ」

「テテ、私もいいかな?」

「はい、兄上」


 兄も父と同じ、普段から剣帯につけている小さなポーチだった。それともう一個。僕のマジックバッグと同じ様な、肩から斜めに掛ける鞄。


「お祖母様、これはどれ位入るのですか?」

「イデス、そうね。その小さなポーチだと、この部屋1/3位かしら? 鞄の方はそれの3倍位だと思うわよ」

「凄い! 嬉しいよ。テテ、ありがとう!」


 いえいえ、兄上。これ位、いつでも言って下さい。はい、出来ましたよ。と、ポーチと鞄を渡す。


「テティス、うちの隊に出してくれているポーションがもう残り少ないんだ」

「父上、分かりました。今日、たくさん薬草を採取して来たので作ります」


 僕はね、父上の隊『特殊情報部隊』にポーション類を卸してるの。

 とっても良いお小遣いになるんだ。嬉しいよねー。父上の隊限定でマジックバッグも卸しちゃおうかな?

 さて、クレープも食べたし。ポーションも作らなきゃいけないし。部屋に戻ってサクサクッと作っちゃおう。

 あ、ブランが満腹でおネムだ。


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